BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
自己紹介
名前:うさこ
萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
好き:甘々、主人公総受け
嫌い:イタい子
イチオシ:安元洋貴ボイズ
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2008/06/06 (Fri)
ポーンというクラシックな響きと共に、エレベーターの扉が開いた。
一階のロビーは、蛍光灯とは違う暖かな光が溢れていた。
吹き抜けになった天井から釣り下がる、光の柱のようなシャンデリアが、一面を橙色に照らしている。
エレベーターから降りると、京屋はふと思い付いたように周平を振り返った。
「あー、そうだ、お前も飲んじゃっただろ、帰りどうするの?」
「お前が無理やり飲ませたんだろ」
眉をしかめて、忌々しそうに言った周平に、京屋は外国人俳優のような大げさな仕草で肩をすくめた。
「おー、なんだよそれ、また俺が悪者なわけ」
「もういいから、早く帰れ」
「はいはい、帰ります、帰ります」
しっしっと、野良犬でも追うように手を振った周平を軽く受け流して、京屋は裕太に向かって右手を差し出した。
長身の陰から、なんだか少し他人事のように会話を見上げていた裕太は、慌ててその手を握り返した。
「ありがとう裕太くん。今日は楽しかったよ」
「あ……う、うん。オレもありがとう、惣ちゃん」
ぎこちなく笑った裕太の手のひらを、京屋は不意打ちに引きよせた。
あっ、と前のめりになった裕太を抱きとめて、耳元でぼそっと呟く。
「今度はさ、周平ぬきで行こう」
「え?」
とっさに内容が理解できず、思わず聞き返した裕太から、京屋はぱっと体を離した。
上から伸びた周平の腕が、襟首を掴む寸前のタイミングだった。
「京屋っ!」
声を荒らげた周平に、裕太が思わずびくっと身をすくませると、京屋はイタズラ成功とでもいうように、にっと白い歯を見せて笑った。
「ホント、怖いお兄ちゃんだねぇー、裕太くん」
「…………」
周平は無言のまま、ずいずいと京屋に近付いた。
京屋は後ろ向きの姿勢のまま、それに合わせて更に下がる。
「うっわ、コワッ。コワいよお前、その顔止めろって」
「…………」
「みんな見てるぞ? 裕太君も見てるぞ? いいのか? 知らないぞ?」
「…………裕太」
周平は京屋から視線を外さず、背中で呼びかけた。
「えっ、オレ? なに、兄ちゃん」
「…………今から京屋を、ちょっと送ってくるから、お前はここで待ってろ」
「いや、いや、いや、いや、いやっ! 送らなくていいから! 一人で帰るから、帰る、帰る、もう、今すぐ帰る」
じゃあねっ、と京屋は裕太に向かって手を振ると、ほとんど駆け足の速さでその場から逃げ出した。
ドアマンが扉を開く間も待ちきれず、バタバタと騒々しく走り去った京屋の背中を、裕太は呆然と、周平は舌打ちでもしたそうな苦々しい顔で見送った。
一階のロビーは、蛍光灯とは違う暖かな光が溢れていた。
吹き抜けになった天井から釣り下がる、光の柱のようなシャンデリアが、一面を橙色に照らしている。
エレベーターから降りると、京屋はふと思い付いたように周平を振り返った。
「あー、そうだ、お前も飲んじゃっただろ、帰りどうするの?」
「お前が無理やり飲ませたんだろ」
眉をしかめて、忌々しそうに言った周平に、京屋は外国人俳優のような大げさな仕草で肩をすくめた。
「おー、なんだよそれ、また俺が悪者なわけ」
「もういいから、早く帰れ」
「はいはい、帰ります、帰ります」
しっしっと、野良犬でも追うように手を振った周平を軽く受け流して、京屋は裕太に向かって右手を差し出した。
長身の陰から、なんだか少し他人事のように会話を見上げていた裕太は、慌ててその手を握り返した。
「ありがとう裕太くん。今日は楽しかったよ」
「あ……う、うん。オレもありがとう、惣ちゃん」
ぎこちなく笑った裕太の手のひらを、京屋は不意打ちに引きよせた。
あっ、と前のめりになった裕太を抱きとめて、耳元でぼそっと呟く。
「今度はさ、周平ぬきで行こう」
「え?」
とっさに内容が理解できず、思わず聞き返した裕太から、京屋はぱっと体を離した。
上から伸びた周平の腕が、襟首を掴む寸前のタイミングだった。
「京屋っ!」
声を荒らげた周平に、裕太が思わずびくっと身をすくませると、京屋はイタズラ成功とでもいうように、にっと白い歯を見せて笑った。
「ホント、怖いお兄ちゃんだねぇー、裕太くん」
「…………」
周平は無言のまま、ずいずいと京屋に近付いた。
京屋は後ろ向きの姿勢のまま、それに合わせて更に下がる。
「うっわ、コワッ。コワいよお前、その顔止めろって」
「…………」
「みんな見てるぞ? 裕太君も見てるぞ? いいのか? 知らないぞ?」
「…………裕太」
周平は京屋から視線を外さず、背中で呼びかけた。
「えっ、オレ? なに、兄ちゃん」
「…………今から京屋を、ちょっと送ってくるから、お前はここで待ってろ」
「いや、いや、いや、いや、いやっ! 送らなくていいから! 一人で帰るから、帰る、帰る、もう、今すぐ帰る」
じゃあねっ、と京屋は裕太に向かって手を振ると、ほとんど駆け足の速さでその場から逃げ出した。
ドアマンが扉を開く間も待ちきれず、バタバタと騒々しく走り去った京屋の背中を、裕太は呆然と、周平は舌打ちでもしたそうな苦々しい顔で見送った。
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2008/06/03 (Tue)
コースの締めくくりは紅茶だった。
裕太はプチフールのイチゴタルトを指で摘まむと、あーんと口に運んだ。
「裕太君って、見かけのわりに良く食べるんだね」
「うーぅ?」
裕太はもぐもぐと口を動かしながら、首を傾けた。
「んー……っと、そうかな。兄ちゃんには、もっと食べなきゃダメだって、よく言われるんだけど……」
「裕太は細すぎるから、もうちょっと太ったほうが良いんだよ」
「なるほど、子豚は太らせてから食べる主義――――」
グリグリッと京屋の革靴を踏みつけた周平の足は、裕太からは見えなかった。
「え? 何の主義?」
「いや、いや、いや、いや、つまり「人間の体は何で出来ているのか」ってことだよ」
「えー、またそれ?」
裕太は不満そうにぷうっと頬を膨らませた。
裕太はプチフールのイチゴタルトを指で摘まむと、あーんと口に運んだ。
「裕太君って、見かけのわりに良く食べるんだね」
「うーぅ?」
裕太はもぐもぐと口を動かしながら、首を傾けた。
「んー……っと、そうかな。兄ちゃんには、もっと食べなきゃダメだって、よく言われるんだけど……」
「裕太は細すぎるから、もうちょっと太ったほうが良いんだよ」
「なるほど、子豚は太らせてから食べる主義――――」
グリグリッと京屋の革靴を踏みつけた周平の足は、裕太からは見えなかった。
「え? 何の主義?」
「いや、いや、いや、いや、つまり「人間の体は何で出来ているのか」ってことだよ」
「えー、またそれ?」
裕太は不満そうにぷうっと頬を膨らませた。
2008/05/30 (Fri)
「呉服は、どこも長い付き合いがあるからな、新規参入は難しいだろう」
「そうなんだよー、やっぱ百貨店はハードル高いわ。三越とか高島屋とかはさぁ、呉服系だから、まあ相手にされないだろうとは思ってたけど。天国屋は鉄道系だろ、話ぐらいは聞いてもらえるかと思ってたけど、甘かったわ」
通りに面した窓の外には、テールランプの赤い帯が、どこまでも続いていた。
点々と地上を覆った白い光の中、ゆっくりと流れて行く車の列は、まるで血液のようで、裕太は、眼下に広がる大きな街が、例えば一つの生命体であったなら……、と一人想像を膨らませた。
「…………裕太君は、変わらないね」
「え?」
突然話を振られて、裕太ははっと我に返った。
「いつもさ、そうやって俺たちの話を聞いてただろ? 裕太君にとっては、きっと難しくて理解できないような話ばっかりだったと思うけど、退屈して、ぐずるでもなく、だだこねるでもなくさ、周平の隣にくっつくみたいに座って、会話を目線で追ってた」
「そ、そう、だったかな……?」
「そうだったよ。子供なんて、わがままで、うるさくて、汚いもんだとばっかり思ってたからさ、裕太君は衝撃だったよ。世の中には、こんな、かわいいイイ子もいるのかってね」
「そうなんだよー、やっぱ百貨店はハードル高いわ。三越とか高島屋とかはさぁ、呉服系だから、まあ相手にされないだろうとは思ってたけど。天国屋は鉄道系だろ、話ぐらいは聞いてもらえるかと思ってたけど、甘かったわ」
通りに面した窓の外には、テールランプの赤い帯が、どこまでも続いていた。
点々と地上を覆った白い光の中、ゆっくりと流れて行く車の列は、まるで血液のようで、裕太は、眼下に広がる大きな街が、例えば一つの生命体であったなら……、と一人想像を膨らませた。
「…………裕太君は、変わらないね」
「え?」
突然話を振られて、裕太ははっと我に返った。
「いつもさ、そうやって俺たちの話を聞いてただろ? 裕太君にとっては、きっと難しくて理解できないような話ばっかりだったと思うけど、退屈して、ぐずるでもなく、だだこねるでもなくさ、周平の隣にくっつくみたいに座って、会話を目線で追ってた」
「そ、そう、だったかな……?」
「そうだったよ。子供なんて、わがままで、うるさくて、汚いもんだとばっかり思ってたからさ、裕太君は衝撃だったよ。世の中には、こんな、かわいいイイ子もいるのかってね」
2008/05/28 (Wed)
「裕太、おいで」
車から降りると、周平は指を曲げて裕太を呼んだ。
トコトコと近付いてきた裕太の顎に手を添えて上向かせる。
「タイは?」
シャツの襟を上げながら周平が聞いた。
「ん、ポケット」
周平の長い指が、制服の胸ポケットに丸めて押し込まれていた濃紺の塊りを摘みげる。
しゅるりと首の後ろに回された、ネクタイの結び方を、裕太はもうすっかり忘れているだろう。
目を閉じて、されるがまま身を任せている。
襟を戻し、シャツのボタンをはめ、大きな手がするすると流れるような動きで、ウィンザー・ノットの正三角形の結び目を作り上げて行く。
「さあ、いいぞ」
「うん」
周平の言葉を合図に、裕太は目を開けた。
視線を合わせてにっこりと微笑みあった兄弟を、車の屋根に肘をついた京屋が、面白そうに眺めていた。
車から降りると、周平は指を曲げて裕太を呼んだ。
トコトコと近付いてきた裕太の顎に手を添えて上向かせる。
「タイは?」
シャツの襟を上げながら周平が聞いた。
「ん、ポケット」
周平の長い指が、制服の胸ポケットに丸めて押し込まれていた濃紺の塊りを摘みげる。
しゅるりと首の後ろに回された、ネクタイの結び方を、裕太はもうすっかり忘れているだろう。
目を閉じて、されるがまま身を任せている。
襟を戻し、シャツのボタンをはめ、大きな手がするすると流れるような動きで、ウィンザー・ノットの正三角形の結び目を作り上げて行く。
「さあ、いいぞ」
「うん」
周平の言葉を合図に、裕太は目を開けた。
視線を合わせてにっこりと微笑みあった兄弟を、車の屋根に肘をついた京屋が、面白そうに眺めていた。
2008/05/26 (Mon)
車は地下の駐車場から黄昏時の地上へと滑り出た。
ダークブルーの車体が、明治通りの緩やかな流れに合流すると、後部座席からウキウキと京屋が身を乗り出した。
「さあて、どこに連れて行ってくれるのかなー」
「…………」
「最近接待で和食ばっかりだからさぁー、今日は洋食がいいんだよねー」
「…………」
「まあ、中華でも良いけど」
「…………」
上機嫌で話し続ける京屋に対して、周平は不機嫌な無表情で押し黙っている。
助手席の裕太は、ハラハラと二人を見比べた。
「えっと、惣ちゃん……あのね、多分、うちのホテルのレストランだと……」
「お、セレスチャル・ホテル?」
「う、うん。あそこだったら、ちょっと無理がきくから、予約無しでも大丈夫だと思うんだ」
「そっかー、悪いね。何か無理に付いて来ちゃったみたいで」
「う……」
裕太は返事に詰まった。
実際、京屋は無理やり付いてきたのだが、悪気のない笑顔を向けられて、その通り、お前が悪い、と言えるような裕太ではなかった。
「そ、そんなこと……ない、よ…………」
「そう? 裕太くんは、やっぱりイイコだなぁー」
京屋はシート越しに手を伸ばして、裕太の頭をぐりぐりと撫でた。
ダークブルーの車体が、明治通りの緩やかな流れに合流すると、後部座席からウキウキと京屋が身を乗り出した。
「さあて、どこに連れて行ってくれるのかなー」
「…………」
「最近接待で和食ばっかりだからさぁー、今日は洋食がいいんだよねー」
「…………」
「まあ、中華でも良いけど」
「…………」
上機嫌で話し続ける京屋に対して、周平は不機嫌な無表情で押し黙っている。
助手席の裕太は、ハラハラと二人を見比べた。
「えっと、惣ちゃん……あのね、多分、うちのホテルのレストランだと……」
「お、セレスチャル・ホテル?」
「う、うん。あそこだったら、ちょっと無理がきくから、予約無しでも大丈夫だと思うんだ」
「そっかー、悪いね。何か無理に付いて来ちゃったみたいで」
「う……」
裕太は返事に詰まった。
実際、京屋は無理やり付いてきたのだが、悪気のない笑顔を向けられて、その通り、お前が悪い、と言えるような裕太ではなかった。
「そ、そんなこと……ない、よ…………」
「そう? 裕太くんは、やっぱりイイコだなぁー」
京屋はシート越しに手を伸ばして、裕太の頭をぐりぐりと撫でた。
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作中登場する組織名、人物名等は創作であり、実在のものとはいっさい関係ありません。
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コイビト遊戯・しおり-短編・他-
コイビト遊戯・しおり-長編-
長編
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