BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/05/26 (Mon)
車は地下の駐車場から黄昏時の地上へと滑り出た。
ダークブルーの車体が、明治通りの緩やかな流れに合流すると、後部座席からウキウキと京屋が身を乗り出した。
「さあて、どこに連れて行ってくれるのかなー」
「…………」
「最近接待で和食ばっかりだからさぁー、今日は洋食がいいんだよねー」
「…………」
「まあ、中華でも良いけど」
「…………」
上機嫌で話し続ける京屋に対して、周平は不機嫌な無表情で押し黙っている。
助手席の裕太は、ハラハラと二人を見比べた。
「えっと、惣ちゃん……あのね、多分、うちのホテルのレストランだと……」
「お、セレスチャル・ホテル?」
「う、うん。あそこだったら、ちょっと無理がきくから、予約無しでも大丈夫だと思うんだ」
「そっかー、悪いね。何か無理に付いて来ちゃったみたいで」
「う……」
裕太は返事に詰まった。
実際、京屋は無理やり付いてきたのだが、悪気のない笑顔を向けられて、その通り、お前が悪い、と言えるような裕太ではなかった。
「そ、そんなこと……ない、よ…………」
「そう? 裕太くんは、やっぱりイイコだなぁー」
京屋はシート越しに手を伸ばして、裕太の頭をぐりぐりと撫でた。
ダークブルーの車体が、明治通りの緩やかな流れに合流すると、後部座席からウキウキと京屋が身を乗り出した。
「さあて、どこに連れて行ってくれるのかなー」
「…………」
「最近接待で和食ばっかりだからさぁー、今日は洋食がいいんだよねー」
「…………」
「まあ、中華でも良いけど」
「…………」
上機嫌で話し続ける京屋に対して、周平は不機嫌な無表情で押し黙っている。
助手席の裕太は、ハラハラと二人を見比べた。
「えっと、惣ちゃん……あのね、多分、うちのホテルのレストランだと……」
「お、セレスチャル・ホテル?」
「う、うん。あそこだったら、ちょっと無理がきくから、予約無しでも大丈夫だと思うんだ」
「そっかー、悪いね。何か無理に付いて来ちゃったみたいで」
「う……」
裕太は返事に詰まった。
実際、京屋は無理やり付いてきたのだが、悪気のない笑顔を向けられて、その通り、お前が悪い、と言えるような裕太ではなかった。
「そ、そんなこと……ない、よ…………」
「そう? 裕太くんは、やっぱりイイコだなぁー」
京屋はシート越しに手を伸ばして、裕太の頭をぐりぐりと撫でた。
「裕太、危ないから、ちゃんと前向いてなさい」
周平が突然口を開いた。
視線は車道を睨んだままだった。
「あ、うん」
裕太が慌てて向き直ると、何が面白かったのか、京屋がぷっと吹き出した。
「そういえばさぁー、裕太君、知ってる? 周平が、なんで国産車に乗ってるか」
「え?」
「こいつの趣味なら、絶対左ハンドル乗ってそうだろ?」
「そう……かな……」
「ああ。頭の天辺から爪先まで、主張ありまくりの、嫌味な格好してるくせにさぁ。車は、何でか国産にこだわるんだよ」
「う、うん……」
裕太は戸惑いながら相槌を打った。
以前、諒も同じようなことを言たことがあったが、そういうことにあまり関心がない裕太には、どちらもピンと来なかった。
「それでさ、俺、言った訳、どうせ親の金なんだから、ポルシェでも、ジャガーでも好きなの乗ればいいだろって……まぁ、半分はやっかみなんだけど」
「そ、そう……」
「そうそう、それでさぁ、コイツなんて答えたと思う?」
「え……なに、何だろ……」
裕太は首を傾けて、運転席をうかがった。
周平は目線は動かさないまま、口元だけを微笑ませた。
「裕太が危ないから……だよ」
「え?」
「左ハンドルだと、助手席のお前は、車道側に座ることになるだろ。だから危ないんだよ」
周平はコツコツとガラス窓を叩いた。
反対車線を銀色のセダンが、ゆっくりとすれ違っていった。
「そんなの――――」
裕太は目を見張った。
初めて聞く話だった。
おそらく、周平もこんな機会でもなければ、あえて口にすることもなかっただろう。
周平にとって裕太を優先させるのはそれぐらい自然な、意識するまでもない、当然のことだからだ。
「ま、俺は周平のブラコンは良く知ってたからさ、驚きもしなかったけど、裕太君が高校生になった今も、相変わらず国産だもんな、笑ったよ」
「変える理由がないからな」
裕太は、膝の上に置いた手のひらをギュッと握った。
目を閉じると、周平から、優しい何かが、さんさんと降り注いでいるような気がした。
遠い昔からずっと絶え間なく降り続けるそれが、確かに裕太の内側を満たしていた。
「はいはい、ブラコンぶりも相変わらずで」
「変わる理由がないからな」
「どうなの裕太くん、こんな兄貴でいいの」
「いいに決まってる、裕太におかしなことを吹き込むな」
二人の不毛な会話に、裕太は声を上げて笑った。
周平が突然口を開いた。
視線は車道を睨んだままだった。
「あ、うん」
裕太が慌てて向き直ると、何が面白かったのか、京屋がぷっと吹き出した。
「そういえばさぁー、裕太君、知ってる? 周平が、なんで国産車に乗ってるか」
「え?」
「こいつの趣味なら、絶対左ハンドル乗ってそうだろ?」
「そう……かな……」
「ああ。頭の天辺から爪先まで、主張ありまくりの、嫌味な格好してるくせにさぁ。車は、何でか国産にこだわるんだよ」
「う、うん……」
裕太は戸惑いながら相槌を打った。
以前、諒も同じようなことを言たことがあったが、そういうことにあまり関心がない裕太には、どちらもピンと来なかった。
「それでさ、俺、言った訳、どうせ親の金なんだから、ポルシェでも、ジャガーでも好きなの乗ればいいだろって……まぁ、半分はやっかみなんだけど」
「そ、そう……」
「そうそう、それでさぁ、コイツなんて答えたと思う?」
「え……なに、何だろ……」
裕太は首を傾けて、運転席をうかがった。
周平は目線は動かさないまま、口元だけを微笑ませた。
「裕太が危ないから……だよ」
「え?」
「左ハンドルだと、助手席のお前は、車道側に座ることになるだろ。だから危ないんだよ」
周平はコツコツとガラス窓を叩いた。
反対車線を銀色のセダンが、ゆっくりとすれ違っていった。
「そんなの――――」
裕太は目を見張った。
初めて聞く話だった。
おそらく、周平もこんな機会でもなければ、あえて口にすることもなかっただろう。
周平にとって裕太を優先させるのはそれぐらい自然な、意識するまでもない、当然のことだからだ。
「ま、俺は周平のブラコンは良く知ってたからさ、驚きもしなかったけど、裕太君が高校生になった今も、相変わらず国産だもんな、笑ったよ」
「変える理由がないからな」
裕太は、膝の上に置いた手のひらをギュッと握った。
目を閉じると、周平から、優しい何かが、さんさんと降り注いでいるような気がした。
遠い昔からずっと絶え間なく降り続けるそれが、確かに裕太の内側を満たしていた。
「はいはい、ブラコンぶりも相変わらずで」
「変わる理由がないからな」
「どうなの裕太くん、こんな兄貴でいいの」
「いいに決まってる、裕太におかしなことを吹き込むな」
二人の不毛な会話に、裕太は声を上げて笑った。
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