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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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自己紹介

  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
  嫌い:イタい子
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「世間は狭い」と良く言うけれど、それって本当なんだな――――。
交差点の向こう側に、思い出したくもない…………けれど、忘れることもできない、嫌な男の顔を発見して、俺はぎっと唇を噛んだ。
*
あれは今から4年前。
小学校6年生になった俺たちのクラスに、あの奇妙に首の長い、額の出っ張った男が、教生としてやってきた。
初日に着ていたシャツが黄色だったことと、そのどこか間延びした風貌から、俺たちは、男に「キリン」というあだ名を付けた。
キリンは子供好きな男だった。
中でも、特にお気に入りだったのは裕太で、何かと言うと、側に寄って話しかけたり、体に触って気を引こうとしてた。
今思えば、あれはちょっとおかしかったな、と気付く部分もあるけれど、当時の俺はまだ子供過ぎて、そういう行動が何を意味しているのか、すぐに理解することはできなかった。
だだ「嫌な感じがする」と、キリンが醸し出す不快な空気みたいなものを、ぼんやりと感じ取っていただけだった。
――――そう、あの日の放課後、キリンが、職員用のトイレに裕太の手を引いて入って行くシーンを、目撃するまでは…………。

「諒?」
交差点の向こう側を睨んで顔色をなくした俺を、裕太が不思議そうな顔で見上げた。
「誰? 知ってる人?」
俺の視線の先を追って、同じように顔面蒼白で立ち尽くしているキリンを見つけた裕太は、きょとんとして首をかしげた。
「え…………」
何言ってるんだよ、キリンだよ、お前にイタズラして捕まった、アイツだよ――――と、俺は思わず肩を揺さぶって、裕太を問い詰めそうになった。
けれどもすぐに、はっと我に返った。
そうだ、これが…………これこそが、裕太の「復讐」なんだ。
*
職員用のトイレに入るのは、少し勇気がいった。
けれども、頭の毛が逆立つような悪寒が俺を突き動かした。
裕太の身に起こっているだろう恐ろしいことが、過去の経験から俺には想像できた。
「あ、藍川くん……こ、声を出したらだめだよ……し、静かにね……」
三つ並んだ個室の一番奥から、キリンのうわずった声が聞こえた瞬間、俺は喉が裂けるほどの、大声を上げた。
「だれか、きてぇぇぇぇ――――――っ!!」
その声に驚いて、脱兎のごとく逃げだしたキリンを、俺は追わなかった。
それよりも裕太のほうが心配だった。
「裕太っ、大丈夫か?!」
駆けつけた俺を、裕太は蓋の閉まった便座に半裸の状態で腰掛けたまま、ぽかんと見上げた。
自分が何をされそうになったのか、まだよく理解できていないようだった。
…………それから一週間、裕太は熱を出して学校を休んだ。
裕太が再び登校したとき、その記憶からキリンとそれに関する全ての物事は消し去られていた。
*
「いや、全然知らない人……行こう、裕太」
俺は裕太の背中を押して、方向を変えた。
まさか、キリンのほうから俺たちに向かって声をかけてくるなんてこと、あるはずないとは思ったけれど、万が一と言うこともある。
あの時のことを逆恨みしてたり、あるいは、また裕太に目を付けてストーカーまがいのことでもされたらたまらない。
あの手の変質者は、本当に何をしでかすか分ったものじゃないんだから、用心にこした事はないんだ。
「ふーん、そう? なんか、二人でじーっと熱く見詰め合ってたから、すっごい親しい仲なのかと思った」
裕太は明るい調子で笑った。
俺はその無邪気な笑顔に、すうっと背筋が冷たくなる思いだった。
本当に、なにも覚えてないんだ…………。
*
「藍川くんがあまりにかわいくて、好きになってしまったんです」と、キリンは警察で供述したらしい。
俺にも、それが単なる変質者の言い訳である事は良く分かる。
良く、分かるけれども…………、ふと「もしも」と考えてしまう瞬間がある。
「もしも、あれが自分だったなら」
「もしかしたら、あれは、いつかの自分なのかもしれない」
ちょうど今みたいに、裕太の「静かな復讐」を目の前に突きつけられると、俺はいつも、「次に裕太の中から消え去るのは、自分なのかもしれない」と、そう考えずにはいられない。
*
「諒ってば、ねえ、どうしたんだよ」
裕太の人差し指が、俺の眉間をちょんとつついた。
「難しい顔して、またなんか変な心配でもしてるんだろ」
隣で小さく舌を出した裕太を、俺は恐れを抱きながら見下ろした。
「裕太…………」
「なに?」
裕太が俺を見た。
「ゆうた…………」
「なに、諒?」
裕太が俺を呼んだ。
――――大丈夫、まだ、俺は消されてない。
「よかった…………」
ほっと胸をなでおろした俺を見て、裕太は「諒って、時々ヘンだよね」と、吹き出すようにして笑った。
*
でも、裕太。
本当に、本当に……、それは奇跡みたいなこと。
お前が俺を呼ぶなんて、俺がそれに答えるなんて、それは本当に、奇跡みたいなことなんだ。
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