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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
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『廣瀬か夜分遅くにすまない、藍川はそっちに居るか?』
櫻井から裕太の所在を確認する電話が入ったのは、俺がそろそろ床に付こうかと、読みかけの本に栞を挟んだときだった。
「え、裕太? いや、家には来てないけど、どうしたの何かあったの」
『さっきまで外で食事してて、今家に帰った所なんだが、藍川が居ないんだ。そっちに帰ったのかと思って電話してみたんだが』
「裕太が居ない」という言葉を聴いただけで、自分が酷く動揺してしまうのがわかった。
「――来て、ない。裕太は来てないよ」

落ち着け、落ち着けよと自分に言い聞かせる。別に何かあったと決まったわけじゃない。
『そうか、荷物が無くなってるからてっきり廣瀬の家に戻ったんだと思ったんだが。ひょっとすると何処かに遊びに行ってるのかもしれないな』
危機感の欠片も無い物言いに、一瞬言葉をなくした。
「あ、遊びにって……何言ってんだよ、櫻井。今、何時だと思ってんの、12時過ぎてんだよ。裕太から何か連絡は? 携帯には掛けてみたの?」
俺は何とか自分を冷静に保とうと、湧き上がる感情を必死に抑えた。
『ああ、掛けたが電源が切ってあるみたいで繋がらないんだ』
携帯を握る手に嫌な汗が滲む。
「じゃあ、何かメモとか書置きは、何処に行くとか何か無いの?」
『さて、見当たらないなそういうのは』
俺は冷静さを保とうと息を大きく吸い込んだ。吐き出す息が思わず震えた。
「……ね、ねえ櫻井、何落ち着いてんの、裕太が荷物持って出て行って、こんな時間になっても帰らない、連絡も何もないなんて、どう考えてもおかしいよね」
『そうなのか? 俺は廣瀬ほど藍川との付き合いは長くないからな』
そういう問題じゃないと櫻井を怒鳴りつけないためには、最大限の努力を要した。
「あのさ、人の家に世話になっておいて無断で居なくなるなんて、普通に考えてありえないだろ。櫻井は裕太を何だと思ってるわけ」
『ふうん、そういうものなのか?』
櫻井のトンチンカンぶりに、俺は次第に自分のイライラを抑えきれなくなる。
「なにを悠長なこと言ってるんだよ。今日裕太に学校休ませたの櫻井だろ、昨日熱が出たからって。その裕太が居なくなってんだぞ。少しは慌てろよ!」
『慌てろも何も、こんな事は初めてだからな。どうすればいいんだ』
「はあ? 頼むよ、櫻井。とにかく、お互い心当たりに、片っ端から電話掛けてみよう」
『心当たりといっても……そうだな、もしかすると兄さんの所に帰ったのかもしれないな』
櫻井のその言葉に、俺は後頭部をガツンと殴られたようなショックを受けた。
「――えっ。何、それ……何でそんな、アイツの所なんか」
『昨日、藍川にそういう話をしたんだ。そうするのが一番良いんじゃないかって』
「そ、んな……櫻井なら大丈夫だと思って預けたのに、それは無いだろ」
頭が混乱する。なにが起こったんだ、俺は裏切られたのか。
『廣瀬が何を心配しているのか分からないが、客観的にそれが一番正しいあり方だろ』
「正しいって、そんなわけ無いだろ! 櫻井はアイツを知らないから、そんな事いえるんだよ。アイツは、アイツはとんでもない――」
自分の声がヒステリックに高まってくるのが分かる。ああ、まずいと思うが止められない。
『廣瀬、落ち着けよ。そんな風だから藍川がお前の家に居づらくなったんじゃないのか』
「え……何、それ」
思いがけない台詞に、血が上りかけた頭が一瞬冷える。
『俺から見ると、お前が藍川の家庭事情に首を突っ込んで、兄弟の間に波風を立てているように見えるんだが』
裕太を連れ戻しにきたアイツとのやり取りが思い出される。
アイツは家族で、俺は他人だと言われたあの時が。
「そ、んな……なんで、櫻井までアイツと同じ事を言うんだよ。俺は、裕太の事を思って」
言葉が喉に詰まる。息が苦しい。
『友達思いは結構だが、本当にそれが藍川のためになっているのかな』
まるで櫻井は俺が駄々をこねて、問題を起こしているとでも言いたいような口ぶりだった。
「何を……」
『たしかに藍川の兄さんは過保護で、本人にしてみれば息苦しく感じるかもしれないが、それこそ藍川のためを思ってしている事だろう。そんな兄さんの元に居るよりも、他人の家を転々として暮らす方が良いなんて、廣瀬は本当にそう思うのか。それが藍川のためだと?』
「それは、だから、櫻井はアイツのことを知らないからだよ、アイツは変なんだ。とにかくアイツは――」
冷静になって事情を説明しなくてはと焦るほと、言葉が巧く出てこない。
『まあとりあえず、お兄さんには俺が連絡してみるよ。廣瀬は少し冷静になったほうが良いみたいだからな』
「――――」
『それじゃあ、また明日学校で』
あまりに一方的な解釈に俺が絶句していると、そのまま返事を待たずに回線は切られた。
違う、チガウ違う!
お前は何も分かってない。お前は何も知らないんだ。
アイツと居ると裕太は駄目になる。アイツは裕太を喰らい尽くすモンスターなんだ。
俺は通信の切れた携帯電話を握り締めて、心の中で叫び続けた。
*
結局その後一睡も出来ずに登校した俺を、さらに衝撃的な知らせが打ちのめした。
藍川裕太失踪。
結局裕太は、アイツの元にも帰っては居なかったのだ。
俺は自分の足元が地獄へ向かって崩れていくのを感じた。
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