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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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自己紹介

  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
  嫌い:イタい子
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ホテルの窓から見下ろす名古屋駅周辺の夜景は、暗く沈んだ空と、それと対比するように輝く地上の星といった、さして東京と違いのない……あえて言うなら、それのミニチュア判といった印象の……ごく平凡な都市の顔だった。
周平は女がバスルームに消えたのを確認すると、上着の胸ポケットから携帯電話を取り出した。
裕太はもう寝ている時間だったが、今日も何事もなかったという、ただそれだけを確認したいために番号を押した。
呼び出し音を聞きながら、ベッドのふちに腰掛ける。
ネクタイを緩めてほっと息を付いた自分は、酷く疲れて見えるに違いないと、周平は目を閉じ、自嘲した。
『はい、藍川です』
電話に出たのは、少し緊張したような硬い声だった。
「……裕太?」
思わず確認すると、電話口からクスクスとイタズラっぽい笑いが零れた。
その声に周平の頬が自然と緩む。
自分の幸福のありかを、周平はいつでもそうやって小さな弟から教えられた。
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「今日は裕太、ずいぶん機嫌が悪いんだな」
一人遅い食卓に付いた父親は、かいがいしくご飯をよそってくれる妻に、ヒソヒソと問いかけた。
「そうなの、周平から電話が無いって、もう、すっかりすねちゃってるのよ」
「周平から? なんだ、もう8時過ぎてるじゃないか」
「でしょ? だから先にお風呂入っちゃいなさいって言ってるのに、ダメなの。電話が来るまで、絶対にあそこから動かないんですって」
母親は温め直した夕食を並べ終えると、夫の正面の椅子を引いて腰掛けた。
父親がチラリと視線をやると、裕太は先程からずっと動かず、クッションを抱えてTV画面と向かい合っている。
ときおり思い出したかのようにチャンネルを変えては、つまんない、と一人で文句を言っているが、実際は何も見えてはいないのだろう。
その視線は笑いが弾ける四角い画面よりも、むしろ静かに沈黙する電話機の方により多く注がれているように見えた。
「約束だぞ、裕太――ああ、それじゃあ、おやすみ……」
周平が通話を切ると、まるでそのタイミングを計ったかのように、バスルームの扉が開いた。
女は風呂上りのはずなのに、髪も化粧も隙なく完璧に整えた姿で出てくると、真っ赤な唇をひるがえして、艶やかに微笑んだ。
「また、弟さんに電話してたの?」
「ああ、あの子は、俺の「おやすみ」がないと寝ないんだよ」
周平は酷くやさしい目をして、携帯の待ち受け画面を見詰めていた。
女はそこに写っているのが、自分ではなく、小さな男の子であることを知っていた。
名前は裕太。
いま11歳で、小学校六年生。
血液型はO型。
チョコレートが好きで、暗いところが嫌いで、ちょっとした事で熱を出す虚弱体質で…………。
会った事もない、周平の弟のプロフィールを、女はもうすっかり暗記してしまっていた。
「裕太、おいで」
そう呼ばれて真っ直ぐに駆けて行く背中を、俺は何度見送っただろう。
差し出された手を迷い無く握ってから、裕太はようやく思い出したように振り返る。
「諒、バイバイ」
手を振る裕太はいつも笑顔で、俺はそれが少し寂しかった。
だから、アイツが迎えに来そうな時間を見計って、わざと裕太の好きなゲームを始めたり、本を広げたりしたこともあったけど、そんなことは結局全部無駄だった。
「おいで」と呼ばれれば、それまでどんなに楽しそうに遊んでたって、裕太はいつも通り、アイツの元に駆けて行くんだ。
迷い無く、嬉しそうに。
*
その背中に向かって、「行くな」と、「行かないでくれ」と、呼び止める言葉なんか、俺にあるはずがなかった。
だって、俺は「他人」なんだから。
裕太は、ここじゃない場所に、ちゃんと帰る家があって、俺じゃない家族が、その帰りを待っている。
それが本当で、あるべき姿で、俺はただの友達で……さようならと言われれば、さようならと別れるしかない、単なる人生の通りすがり。
家族であるということが、共に生きることを許される公の資格なら、俺には永久に、そんな許可は下りない。
「行くな」と呼び止めることを、許されていない。
*
背伸びが必要なほどいっぱいに伸ばした腕の先を見上げて、楽しそうに話しだす裕太。
夢中になりすぎて手が離れると、アイツは少しかがんで、もう一度その手を握る。
「危ないよ」とでも言われたのだろうか、裕太が少し慌てたように、アイツの足に張り付いた。
薄暗い通りに立ち尽くして、そうして小さくなって行く背中を、いつも、いつも、いつも……俺はただ黙って見送った。
俺には、それを止める言葉がなかったから。
ただ、黙って見送った。
このお話は、「年上のお兄さんに可愛がられる裕太」……が、見たいなーと思って書きました。
ゲームの冒頭、つまりメインキャラ達の紹介シーンで、裕太が櫻井に資料を届ける場面がありますよね。
あの後、裕太が自分のことを「兄ちゃん子だった」と回想するじゃないですか。
「兄ちゃんの友達に可愛がってもらってて、ずっと自分よりも年上の人たちに囲まれて来た」という、裕太の生い立ちに、激しく萌えるものを感じたんです。
年上のお兄さん囲まれ、可愛がられる裕太……なんて、もう、ハアハアなシチュエーションなんでしょう!
ところがですね……残念ながらその肝心の「兄ちゃんの友達」は、ゲーム中にいっさい登場しません。
まあ、『コイビト遊戯』は裕太が主人公の物語なので、それは仕方がないんでしょう。
というわけで、もう私が勝手に「兄ちゃんの友達」を作りました。
このお話の中に、京屋惣太郎(きょうやそうたろう)という名前で登場しています。
今までも何人かオリジナルキャラクターは登場させていましたが、それは全員名無しさんでしたので、名前まで付けた本当のオリキャラは今回が初めてです。
「オリキャラは嫌い」という方は注意してください。
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