BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2008/07/25 (Fri)
「今日は裕太、ずいぶん機嫌が悪いんだな」
一人遅い食卓に付いた父親は、かいがいしくご飯をよそってくれる妻に、ヒソヒソと問いかけた。
「そうなの、周平から電話が無いって、もう、すっかりすねちゃってるのよ」
「周平から? なんだ、もう8時過ぎてるじゃないか」
「でしょ? だから先にお風呂入っちゃいなさいって言ってるのに、ダメなの。電話が来るまで、絶対にあそこから動かないんですって」
母親は温め直した夕食を並べ終えると、夫の正面の椅子を引いて腰掛けた。
父親がチラリと視線をやると、裕太は先程からずっと動かず、クッションを抱えてTV画面と向かい合っている。
ときおり思い出したかのようにチャンネルを変えては、つまんない、と一人で文句を言っているが、実際は何も見えてはいないのだろう。
その視線は笑いが弾ける四角い画面よりも、むしろ静かに沈黙する電話機の方により多く注がれているように見えた。
一人遅い食卓に付いた父親は、かいがいしくご飯をよそってくれる妻に、ヒソヒソと問いかけた。
「そうなの、周平から電話が無いって、もう、すっかりすねちゃってるのよ」
「周平から? なんだ、もう8時過ぎてるじゃないか」
「でしょ? だから先にお風呂入っちゃいなさいって言ってるのに、ダメなの。電話が来るまで、絶対にあそこから動かないんですって」
母親は温め直した夕食を並べ終えると、夫の正面の椅子を引いて腰掛けた。
父親がチラリと視線をやると、裕太は先程からずっと動かず、クッションを抱えてTV画面と向かい合っている。
ときおり思い出したかのようにチャンネルを変えては、つまんない、と一人で文句を言っているが、実際は何も見えてはいないのだろう。
その視線は笑いが弾ける四角い画面よりも、むしろ静かに沈黙する電話機の方により多く注がれているように見えた。
「ねえ裕太、TVなんか面白くないんでしょう? だったら、早くお風呂入っちゃいなさい、電話が来たら呼んであげるから」
「やーだ」
「お兄ちゃんは仕事が忙しいのよ、電話が掛けられないときもあるの。裕太ももう六年生なんだから、一日ぐらい我慢できるでしょ?」
「そんなのダーメ」
「明日も諒君と遊ぶ約束してるんでしょ? 朝起きられないわよ?」
「べつにいいもん」
「もー、裕太ってば! 本当にお母さん知らないんだからね!」
「おい、おい、落ち着けよ」
息子と同レベルで喧嘩し始めた妻に、夫は苦笑した。
「なあ裕太、兄ちゃんから電話がないんだったら、こっちからかけてみたらどうだ?」
「こっちから……?」
「そう、裕太が兄ちゃんに電話すればいいだろう?」
「それは……でも、やっぱり、そんなのダメ」
「なんでだ」
「だって……だって、約束なんだもん! 毎日電話するって、兄ちゃんが約束したんだもん! だから兄ちゃんがかけなきゃダメなの! オレがかけちゃダメなの!」
「うーん、なるほど、一応、筋は通ってるな」
「ちょっと、ちょっと、貴方ってば感心しないでよ」
「ま、しょうがない。どうせ夏休みなんだし、裕太の好きにさせればいいさ」
父親はそう言って話にけりを付けると、湯気の立つ温かなご飯に向かって、いただきますと手を合わせた。
「そんな…………もう……みんな裕太には甘いんだから」
周平が家を出てから格段に扱いづらくなった裕太に、反抗期かしら、と母親は一人で気をもんでいた。
母親に対してはいつも友達気分で、最近では言う事を聞かないこともある裕太だったが、なぜか周平の言うことならば素直に聞くのだ。
周平がこの場にいたなら、きっと上手に説得して、今頃はもう裕太を寝かせているに違いない。
本当に周平ってば何してるのかしら、と母親はイライラした気持ちで壁に掛かった時計を見上げた。
針は9時10分前を指していた。
「やーだ」
「お兄ちゃんは仕事が忙しいのよ、電話が掛けられないときもあるの。裕太ももう六年生なんだから、一日ぐらい我慢できるでしょ?」
「そんなのダーメ」
「明日も諒君と遊ぶ約束してるんでしょ? 朝起きられないわよ?」
「べつにいいもん」
「もー、裕太ってば! 本当にお母さん知らないんだからね!」
「おい、おい、落ち着けよ」
息子と同レベルで喧嘩し始めた妻に、夫は苦笑した。
「なあ裕太、兄ちゃんから電話がないんだったら、こっちからかけてみたらどうだ?」
「こっちから……?」
「そう、裕太が兄ちゃんに電話すればいいだろう?」
「それは……でも、やっぱり、そんなのダメ」
「なんでだ」
「だって……だって、約束なんだもん! 毎日電話するって、兄ちゃんが約束したんだもん! だから兄ちゃんがかけなきゃダメなの! オレがかけちゃダメなの!」
「うーん、なるほど、一応、筋は通ってるな」
「ちょっと、ちょっと、貴方ってば感心しないでよ」
「ま、しょうがない。どうせ夏休みなんだし、裕太の好きにさせればいいさ」
父親はそう言って話にけりを付けると、湯気の立つ温かなご飯に向かって、いただきますと手を合わせた。
「そんな…………もう……みんな裕太には甘いんだから」
周平が家を出てから格段に扱いづらくなった裕太に、反抗期かしら、と母親は一人で気をもんでいた。
母親に対してはいつも友達気分で、最近では言う事を聞かないこともある裕太だったが、なぜか周平の言うことならば素直に聞くのだ。
周平がこの場にいたなら、きっと上手に説得して、今頃はもう裕太を寝かせているに違いない。
本当に周平ってば何してるのかしら、と母親はイライラした気持ちで壁に掛かった時計を見上げた。
針は9時10分前を指していた。
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