BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
好き:甘々、主人公総受け
嫌い:イタい子
イチオシ:安元洋貴ボイズ
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2008/05/30 (Fri)
「呉服は、どこも長い付き合いがあるからな、新規参入は難しいだろう」
「そうなんだよー、やっぱ百貨店はハードル高いわ。三越とか高島屋とかはさぁ、呉服系だから、まあ相手にされないだろうとは思ってたけど。天国屋は鉄道系だろ、話ぐらいは聞いてもらえるかと思ってたけど、甘かったわ」
通りに面した窓の外には、テールランプの赤い帯が、どこまでも続いていた。
点々と地上を覆った白い光の中、ゆっくりと流れて行く車の列は、まるで血液のようで、裕太は、眼下に広がる大きな街が、例えば一つの生命体であったなら……、と一人想像を膨らませた。
「…………裕太君は、変わらないね」
「え?」
突然話を振られて、裕太ははっと我に返った。
「いつもさ、そうやって俺たちの話を聞いてただろ? 裕太君にとっては、きっと難しくて理解できないような話ばっかりだったと思うけど、退屈して、ぐずるでもなく、だだこねるでもなくさ、周平の隣にくっつくみたいに座って、会話を目線で追ってた」
「そ、そう、だったかな……?」
「そうだったよ。子供なんて、わがままで、うるさくて、汚いもんだとばっかり思ってたからさ、裕太君は衝撃だったよ。世の中には、こんな、かわいいイイ子もいるのかってね」
「そうなんだよー、やっぱ百貨店はハードル高いわ。三越とか高島屋とかはさぁ、呉服系だから、まあ相手にされないだろうとは思ってたけど。天国屋は鉄道系だろ、話ぐらいは聞いてもらえるかと思ってたけど、甘かったわ」
通りに面した窓の外には、テールランプの赤い帯が、どこまでも続いていた。
点々と地上を覆った白い光の中、ゆっくりと流れて行く車の列は、まるで血液のようで、裕太は、眼下に広がる大きな街が、例えば一つの生命体であったなら……、と一人想像を膨らませた。
「…………裕太君は、変わらないね」
「え?」
突然話を振られて、裕太ははっと我に返った。
「いつもさ、そうやって俺たちの話を聞いてただろ? 裕太君にとっては、きっと難しくて理解できないような話ばっかりだったと思うけど、退屈して、ぐずるでもなく、だだこねるでもなくさ、周平の隣にくっつくみたいに座って、会話を目線で追ってた」
「そ、そう、だったかな……?」
「そうだったよ。子供なんて、わがままで、うるさくて、汚いもんだとばっかり思ってたからさ、裕太君は衝撃だったよ。世の中には、こんな、かわいいイイ子もいるのかってね」
「い、いい子って……、そんなこと、ないと思うけど……」
裕太は居心地悪そうに、もぞもぞと体を動かした。
「イイ子だな」は、周平の口癖のようなものだが、さすがにそれが他人の口から出ると、どうにも背中がむずがゆかった。
「でもさ、惣ちゃんと最後にあったのって……えーっと、たしか兄ちゃんが大学生のときだったから……、オレがまだ小学生のときだよ? 今はもう高校生なんだから、オレだって成長して、あのときとは全然違ってるよ」
「いやぁ、変わらないよ。君はいつまでたっても、周平の――――」
京屋はそこで言葉を切った。
言ってはならないことを言ってしまった人間がそうするように、はっと目線をそらして、取り繕うように笑った。
「あーっと……、その、つまり、周平のカワイイ弟だよ」
「えー? そんなの当たり前じゃんか。オレが兄ちゃんの弟なのは、ずっと変わる訳ないんだから」
「……そっか、変わる訳ないんだ」
京屋はひどく何か言いたそうな目で、じっと裕太を見た。
哀れみや憐憫ではなく、もっと状況を面白がるような、好奇心に溢れた目だった。
「――そういえばさ、裕太君、覚えてる? あのときの問題」
「あのときの問題……? なに? なんだっけ?」
「ほら、ずーっと前にさ、聞いたことあったろ、人間の体は何で出来てるか知ってるかって」
「人間の……? そんなこと聞かれたかな、覚えてないけど」
「そう? アイスクリーム事件のときなんだけど、覚えてないならまあいいよ。それなら、今はどう思う、人間の体は何で出来てると思う?」
「えー? そんなの…………」
裕太は銀色のデザートスプーンを握ったまま、うーんと考え込んだ。
目の前の真白な皿には、チョコレートソースで美しい模様が描かれている。
ふんわりと柔らかなバニラアイスを一匙すくって、裕太はぱっと顔を上げた。
「わかった、ごはんだ!」
そうでしょ、と裕太は自信ありげに胸を張った。
周平と京屋は、一瞬呆けた顔で動きを止め、視線を合わせると、くくっと二人揃って笑い出した。
「な、なに? 惣ちゃん……兄ちゃんまで、何で笑ってるの?」
「同じなんだよ」
「同じ? 何が?」
スプーンをくわえたまま、コトリと首をかしげた裕太に、周平が優しく目を細めた。
「10年前と同じ答えを、今、お前が言ったんだよ」
「えぇっ?! じゅ、10年前っ?!」
裕太は言い訳するように、あわあわと両手を振った。
「で、でもっ……、だって、そうでしょ、人間の体作ってるのは、食べ物の栄養なんだから、ごはんであってるんじゃないの?」
裕太が視線を向けると、京屋はひーひーと苦しそうにわき腹を押さえ、眦に滲んだ涙をぬぐった。
「いやー、ホンットに、裕太君は変わってないんだねぇー」
「う、うぅ…………」
裕太は首まで真っ赤になった。
周平がテーブルの下でぎっと足を踏ん付けると、京屋はまだ少し肩を震わせながらも、ゴメン、ゴメンと謝った。
「いや、いや、いや、いや、裕太君がおかしいんじゃなくてさ、おかしいのは周平。俺は周平を笑ってるんだよ」
京屋はワイングラスを掴むと、周平に向かって高く掲げた。
笑いを堪える手はかすかに震えて、半分ほどになった中身がくるくると回った。
「参った、参った、さすがは周平、参ったよ」
京屋は感動したように言うと、さあ乾杯しよう、と周平に無理やりグラスを握らせた。
「何に、乾杯するつもりだ」
迷惑そうな顔で杯を上げた周平に、京屋はにんまりと白い歯を見せて笑った。
「もちろん、お前の人生の成功にさ」
京屋はそう言うと、勢い良く立ち上がった。
乾杯を叫んで、揃ってワインを飲み干した京屋と周平を、裕太は呆気に取られて見上げた。
裕太は居心地悪そうに、もぞもぞと体を動かした。
「イイ子だな」は、周平の口癖のようなものだが、さすがにそれが他人の口から出ると、どうにも背中がむずがゆかった。
「でもさ、惣ちゃんと最後にあったのって……えーっと、たしか兄ちゃんが大学生のときだったから……、オレがまだ小学生のときだよ? 今はもう高校生なんだから、オレだって成長して、あのときとは全然違ってるよ」
「いやぁ、変わらないよ。君はいつまでたっても、周平の――――」
京屋はそこで言葉を切った。
言ってはならないことを言ってしまった人間がそうするように、はっと目線をそらして、取り繕うように笑った。
「あーっと……、その、つまり、周平のカワイイ弟だよ」
「えー? そんなの当たり前じゃんか。オレが兄ちゃんの弟なのは、ずっと変わる訳ないんだから」
「……そっか、変わる訳ないんだ」
京屋はひどく何か言いたそうな目で、じっと裕太を見た。
哀れみや憐憫ではなく、もっと状況を面白がるような、好奇心に溢れた目だった。
「――そういえばさ、裕太君、覚えてる? あのときの問題」
「あのときの問題……? なに? なんだっけ?」
「ほら、ずーっと前にさ、聞いたことあったろ、人間の体は何で出来てるか知ってるかって」
「人間の……? そんなこと聞かれたかな、覚えてないけど」
「そう? アイスクリーム事件のときなんだけど、覚えてないならまあいいよ。それなら、今はどう思う、人間の体は何で出来てると思う?」
「えー? そんなの…………」
裕太は銀色のデザートスプーンを握ったまま、うーんと考え込んだ。
目の前の真白な皿には、チョコレートソースで美しい模様が描かれている。
ふんわりと柔らかなバニラアイスを一匙すくって、裕太はぱっと顔を上げた。
「わかった、ごはんだ!」
そうでしょ、と裕太は自信ありげに胸を張った。
周平と京屋は、一瞬呆けた顔で動きを止め、視線を合わせると、くくっと二人揃って笑い出した。
「な、なに? 惣ちゃん……兄ちゃんまで、何で笑ってるの?」
「同じなんだよ」
「同じ? 何が?」
スプーンをくわえたまま、コトリと首をかしげた裕太に、周平が優しく目を細めた。
「10年前と同じ答えを、今、お前が言ったんだよ」
「えぇっ?! じゅ、10年前っ?!」
裕太は言い訳するように、あわあわと両手を振った。
「で、でもっ……、だって、そうでしょ、人間の体作ってるのは、食べ物の栄養なんだから、ごはんであってるんじゃないの?」
裕太が視線を向けると、京屋はひーひーと苦しそうにわき腹を押さえ、眦に滲んだ涙をぬぐった。
「いやー、ホンットに、裕太君は変わってないんだねぇー」
「う、うぅ…………」
裕太は首まで真っ赤になった。
周平がテーブルの下でぎっと足を踏ん付けると、京屋はまだ少し肩を震わせながらも、ゴメン、ゴメンと謝った。
「いや、いや、いや、いや、裕太君がおかしいんじゃなくてさ、おかしいのは周平。俺は周平を笑ってるんだよ」
京屋はワイングラスを掴むと、周平に向かって高く掲げた。
笑いを堪える手はかすかに震えて、半分ほどになった中身がくるくると回った。
「参った、参った、さすがは周平、参ったよ」
京屋は感動したように言うと、さあ乾杯しよう、と周平に無理やりグラスを握らせた。
「何に、乾杯するつもりだ」
迷惑そうな顔で杯を上げた周平に、京屋はにんまりと白い歯を見せて笑った。
「もちろん、お前の人生の成功にさ」
京屋はそう言うと、勢い良く立ち上がった。
乾杯を叫んで、揃ってワインを飲み干した京屋と周平を、裕太は呆気に取られて見上げた。
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