BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/06/03 (Tue)
コースの締めくくりは紅茶だった。
裕太はプチフールのイチゴタルトを指で摘まむと、あーんと口に運んだ。
「裕太君って、見かけのわりに良く食べるんだね」
「うーぅ?」
裕太はもぐもぐと口を動かしながら、首を傾けた。
「んー……っと、そうかな。兄ちゃんには、もっと食べなきゃダメだって、よく言われるんだけど……」
「裕太は細すぎるから、もうちょっと太ったほうが良いんだよ」
「なるほど、子豚は太らせてから食べる主義――――」
グリグリッと京屋の革靴を踏みつけた周平の足は、裕太からは見えなかった。
「え? 何の主義?」
「いや、いや、いや、いや、つまり「人間の体は何で出来ているのか」ってことだよ」
「えー、またそれ?」
裕太は不満そうにぷうっと頬を膨らませた。
裕太はプチフールのイチゴタルトを指で摘まむと、あーんと口に運んだ。
「裕太君って、見かけのわりに良く食べるんだね」
「うーぅ?」
裕太はもぐもぐと口を動かしながら、首を傾けた。
「んー……っと、そうかな。兄ちゃんには、もっと食べなきゃダメだって、よく言われるんだけど……」
「裕太は細すぎるから、もうちょっと太ったほうが良いんだよ」
「なるほど、子豚は太らせてから食べる主義――――」
グリグリッと京屋の革靴を踏みつけた周平の足は、裕太からは見えなかった。
「え? 何の主義?」
「いや、いや、いや、いや、つまり「人間の体は何で出来ているのか」ってことだよ」
「えー、またそれ?」
裕太は不満そうにぷうっと頬を膨らませた。
「そう、またそれー。なんかさ、裕太君見てると、この質問が頭に浮かんでくるんだよなぁー、不思議なんだけど、なんでだろうね?」
「何でって……そんなのオレが聞きたいよ、ねぇ、それって何なの? 正解は何?」
「正解……って、そんなに期待されると、さすがの俺も言いにくいんだけどさぁー」
京屋は困ったように頭をかいた。
「要するにギリシャ神話からの引用でね、プロメテウスが土と水をこねて人間を作ったって話があるだろ、だから正解は「泥」……」
「ギリシャ神話? プロ――? なに? なにそれ」
知らない、と裕太は首を振った。
「お、裕太君は知らないの? なら、おニイさんが、昔話をしてあげようか」
「うん」
大きく頷いた裕太に、京屋はウキウキと手もみした。
「ノリいいなー。よし、それじゃあ、昔々あるところに――」
「あるところ? ギリシャじゃないの?」
「そう、そう、そのギリシャという、あるところに、プロメテウスという神様がいました」
「その神様が、人間を作ったの?」
「そうらしいね、ギリシャ神話の世界では。つまり、プロメテウスが土と水をこねて作った泥人形、それが人間というわけ」
「へぇー、そっか……」
裕太は不思議そうな顔で、手のひらを明かりにかざした。
「おっと、ちょっと待って裕太君。そこで納得しないでよ、この話にはまだ続きがあるんだ」
「続き? 人間を作った後の続き?」
「そう、人間を作った後、プロメテウスはその人間に火を与えちゃったんだ。絶対にダメって言われてたのにね、その約束を破っちゃったんだ」
「約束を破った……? どうして、そんなことしたの?」
「うーん、そうだねぇー、きっと、暗闇の中で縮こまって暮らしている人間がかわいそうになったんじゃないかな」
「そっか、じゃあ、プロメテウスはいいことしたんだね」
「いや、いや、いや、いや、残念ながら、この話はそう単純じゃあないんだな。火を手に入れた後、人間はね……なんと、森を焼き、武器を作り、戦争を始めて、互いに殺しあうんだよ」
「え?!」
「どう、それでも、プロメテウスは、いいことをしたんだと思う?」
「う……わ、わかんない……」
「そっか……うーん、実はね、俺も分からないんだよなぁー。人間が火を手に入れたのは、果たしていいことだったのか、悪いことだったのかね」
話し終えて、京屋はふっと周平に視線をやった。
周平は黙ったまま、冷ややかな目で見返した。
「お前なら、人間に火は与えないんだろうな」
「ああ、当然だろう」
多少皮肉めいて聞こえる京屋の言葉にも、周平は迷わず頷いた。
全てを飲み込んだ上で、それでも、自信を持って揺るがないと宣言する、強い瞳だった。
京屋はふーんとからかうような笑みを浮かべると、俯いて考え込んでいる裕太に、わざとらしく呼びかけた。
「おーい、裕太君。君のプロメテウスは、君に火を与える気は全然ないって――――」
ガッと思い切り向こう脛を蹴り上げられて、京屋は椅子の上で身もだえした。
「え? 何? 惣ちゃん、なんか言った?」
「京屋は、もう帰りたいそうだ」
「あ、そうなの? うん、いいよ、帰ろっか」
裕太は立ち上がった。
ととっと、窓際に駆け寄ると、名残を惜しむようにガラスに張り付いて、夜景を見下ろした。
「綺麗だね、これもプロメテウスがくれた火のおかげなのかな」
「…………」
周平は無言のまま裕太の肩を抱いた。
「気に入ったのなら、またいつでも連れてきてやるから」
「うん」
睦まじい兄弟の後ろで、京屋は涙目になって飛び跳ねた。
「く――――っそ、手加減なしに蹴りやがって……」
片足でぴょんぴょん跳ねる京屋を、心遣いの行き届いたウエーターは、礼儀正しく見ない振りをした。
「何でって……そんなのオレが聞きたいよ、ねぇ、それって何なの? 正解は何?」
「正解……って、そんなに期待されると、さすがの俺も言いにくいんだけどさぁー」
京屋は困ったように頭をかいた。
「要するにギリシャ神話からの引用でね、プロメテウスが土と水をこねて人間を作ったって話があるだろ、だから正解は「泥」……」
「ギリシャ神話? プロ――? なに? なにそれ」
知らない、と裕太は首を振った。
「お、裕太君は知らないの? なら、おニイさんが、昔話をしてあげようか」
「うん」
大きく頷いた裕太に、京屋はウキウキと手もみした。
「ノリいいなー。よし、それじゃあ、昔々あるところに――」
「あるところ? ギリシャじゃないの?」
「そう、そう、そのギリシャという、あるところに、プロメテウスという神様がいました」
「その神様が、人間を作ったの?」
「そうらしいね、ギリシャ神話の世界では。つまり、プロメテウスが土と水をこねて作った泥人形、それが人間というわけ」
「へぇー、そっか……」
裕太は不思議そうな顔で、手のひらを明かりにかざした。
「おっと、ちょっと待って裕太君。そこで納得しないでよ、この話にはまだ続きがあるんだ」
「続き? 人間を作った後の続き?」
「そう、人間を作った後、プロメテウスはその人間に火を与えちゃったんだ。絶対にダメって言われてたのにね、その約束を破っちゃったんだ」
「約束を破った……? どうして、そんなことしたの?」
「うーん、そうだねぇー、きっと、暗闇の中で縮こまって暮らしている人間がかわいそうになったんじゃないかな」
「そっか、じゃあ、プロメテウスはいいことしたんだね」
「いや、いや、いや、いや、残念ながら、この話はそう単純じゃあないんだな。火を手に入れた後、人間はね……なんと、森を焼き、武器を作り、戦争を始めて、互いに殺しあうんだよ」
「え?!」
「どう、それでも、プロメテウスは、いいことをしたんだと思う?」
「う……わ、わかんない……」
「そっか……うーん、実はね、俺も分からないんだよなぁー。人間が火を手に入れたのは、果たしていいことだったのか、悪いことだったのかね」
話し終えて、京屋はふっと周平に視線をやった。
周平は黙ったまま、冷ややかな目で見返した。
「お前なら、人間に火は与えないんだろうな」
「ああ、当然だろう」
多少皮肉めいて聞こえる京屋の言葉にも、周平は迷わず頷いた。
全てを飲み込んだ上で、それでも、自信を持って揺るがないと宣言する、強い瞳だった。
京屋はふーんとからかうような笑みを浮かべると、俯いて考え込んでいる裕太に、わざとらしく呼びかけた。
「おーい、裕太君。君のプロメテウスは、君に火を与える気は全然ないって――――」
ガッと思い切り向こう脛を蹴り上げられて、京屋は椅子の上で身もだえした。
「え? 何? 惣ちゃん、なんか言った?」
「京屋は、もう帰りたいそうだ」
「あ、そうなの? うん、いいよ、帰ろっか」
裕太は立ち上がった。
ととっと、窓際に駆け寄ると、名残を惜しむようにガラスに張り付いて、夜景を見下ろした。
「綺麗だね、これもプロメテウスがくれた火のおかげなのかな」
「…………」
周平は無言のまま裕太の肩を抱いた。
「気に入ったのなら、またいつでも連れてきてやるから」
「うん」
睦まじい兄弟の後ろで、京屋は涙目になって飛び跳ねた。
「く――――っそ、手加減なしに蹴りやがって……」
片足でぴょんぴょん跳ねる京屋を、心遣いの行き届いたウエーターは、礼儀正しく見ない振りをした。
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