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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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自己紹介

  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
  嫌い:イタい子
  イチオシ:安元洋貴ボイズ

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「……にい、ちゃん…………」
そう呟いた自分の声で、オレはゆっくりと目を覚ました。
布団の上に起き上がって、ぼんやりと辺りを見渡すと、窓の外はすっかりオレンジ色に染まっていた。
「兄ちゃん……?」
オレはもう一度呼んだ。
薄暗い室内はシンと静まり返って、人が居る気配はなかった。
オレは、おかしいな、と首をひねった。
ここは、ユニットバスが付いてるのが奇跡みたいな、ボロアパートのワンルームだから、誰か居ればそれは全部筒抜けなんだ。
確かに、兄ちゃんの手がオレを撫でていたと思ったんだけど……あれは夢だったのかな。
優しい声で名前を呼ばれたような気がしたんだけど……あれも夢だったのかな。
そう言えば、何だかずいぶん長い間眠っていたような気がする、不思議な夢も沢山見たような気がする。
えーっと、なんだっけ…………。
まだ夢から覚めきらないような、ボーっとした頭のまま、布団の上に座っていると、突然目の前を大きな黒い影がよぎった。
「うわぁっ!!」
オレは思わず悲鳴を上げて身を仰け反らせた。
ばさっという羽音と共に、カラスが一匹、窓の外を飛んで行った。
「っ――――驚かすなよ、もう、オレそういうの嫌いなんだから」
あっというまに姿を消した闖入者に文句を言いながら、オレはのそのそと布団の上に立ち上がった。
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夢を見てた。
遠いような近いような、知ってるような知らないような、そんな不思議な夢。
*
「気を失うまで走らせるなんて、非常識にも程がある」
兄ちゃんが怒ってる。
「お前は見ていたくせに、止めもしなかったなんて、どこまで役立たずなんだ」
凄く怖い声を出して。
脅してるみたいに、低く地を這うぞっと冷たい声で怒ってる。
こんな兄ちゃん、オレは知らないから、やっぱりこれは変な夢だ。
*
「酸欠でめまい起こしただけだって、先生の話し聞いてなかったのかよ」
諒も怒ってる。
「目を覚ましたら、俺が家まで送るから、あんたはとっとと仕事もどれよ」
ガラスを引っかくみたいに、神経質な声で。
オクターブ高くなったヒステリックな響きは、パニックを起こしかけてる証拠だ。
こういう諒を、オレは良く知ってるから、早く助けてあげないといけない。
「脈拍測定、一分間いくぞ!」
ピッと先生が吹いた笛の号令に従って、グラウンドに整列した生徒全員が、自分の脈をカウントし始めた。
持久走の前と後に、こうやって計測した心拍数をグラフに付けて、期末にレポートを書くのが、冬の体育のカリキュラムなんだ。
オレもみんなと同じように、ジャージの腕をまくって肘の内側で計ってるんだけど、これがけっこう難しくて、いつもなかなか上手くできない。
血管を捜すのに時間がかかって、最初のうち数え逃してしまうんだ。
「終了!」
一分経過の合図に、ピィーっと長く吹かれた笛の音に、オレは焦った。
だって、まだ58しか数えてなかったから。
成人男子の脈拍は、70~80の間が普通で、58なんて、どう考えても数え間違でしかありえないんだ。
「わわ……ど、どうしよう…………」
オレはおろおろと周囲を見渡した。
みんなもうノートに数字を書き込んで、勝手にストレッチ始めてるやつまでいる。
しょうがないから、ここはもう適当に数字を足して…………と考えていたら、突然バシンと背中を叩かれた。
「んだよ、藍川! 走る前から、気合が足りてねえぞ!」
「うゎあっ!」
飛び上がって振り返ると、この寒空の下、半袖に短パンの芳賀が、腰に手をあてて仁王立ちしていた。
「藍川はさ、長距離向きの体してるから、気合入れてけば、けっこう良い線いけると思うぜ!」
「え?! そ、そうかな……」
思いもよらない指摘に目をぱちくりさせたオレに、芳賀は自信たっぷりな顔でドンと胸を叩いた。
「おう! マラソン選手はみんな、藍川みたいにひょろっとしてるだろ。長い距離走るのは、体軽いほうが有利なんだぜ」
だからガンバレよ、と芳賀はオレの肩をがっちりと掴んだ。
「う、うん……」
今までそんな風に考えたことはなかったけど、スポーツ万能の芳賀が言んだから、そうなのかもしれない。
オレの心の中に、なんだか急に自分はやれる、という根拠のない自信がみなぎってきた。
「オレがんばる、気合入れてくよ……!」
思わず力んでそう答えたオレに、芳賀はニッと大きく歯を見せて笑った。
「よおし! その意気だ、藍川! 男はそうじゃないとな!」
返事に満足したのだろう、芳賀はまたその大きな手のひらで、オレの背中をバシバシと叩いた。
あまりの勢いに吹っ飛ばされそうになったけど、オレはなんとか踏ん張った。
心拍数ノートには、シャーペンの先にうんと力を込めて、「78」と書いておいた。
「諒、飲み物は?」
オレは鞄から財布を取り出しながら、そう聞いた。
お昼の準備に机を動かしていた諒は、意味が分らないという顔で、えっと聞き返した。
「だから、昨日迷惑かけたお詫びにさ、おごるよ」
何でも好きなの言って、とオレは胸を張った。
とはいっても、学校の100円自販機には、緑茶と、牛乳と、オレンジジュースと、レモンティーしかないんだけど。
「ああ、なるほどね……うーんと、なら……お茶」
「お茶ね、わかった」
二つ返事で頷くと、オレは財布から取り出した百円玉二枚を握って、教室を飛び出した。
「おー藍川、お前、体は大丈夫なのか」
始業の合図と共に教室に入ってきた先生は、黒板の前に立つと、白髪交じりの胡麻塩頭をかき混ぜながらそういった。
「え?! あ、はい、もう大丈夫です」
突然の名指しに驚いて、オレは思わず席を立ち上がった。
「おう、そうか? ならよかった」
「はい、あの……すみませんでした、昨日無断で帰ったりして」
諒が言い訳しておいてくれたことに感謝しつつ、オレは先生に頭を下げた。
「ま、しょうがないわ。廣瀬から理由は聞いたし、保護者からも電話貰ったしな、あんまり無理するなよ」
「え……保護者って――――ま、まさか、兄ちゃん?!」
思わず声を裏返したオレに、クラスがどっと沸いた。
兄ちゃんが学校に弁当を届けてくれた一件以来、オレのブラコンと、兄ちゃんの過保護は、ちょっとしたからかいのネタになってるんだ。
「おっ、出た! 藍川の兄貴!」
「なに何、先生、藍川の兄ちゃん、何て言ってきたの?」
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