BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
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好き:甘々、主人公総受け
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イチオシ:安元洋貴ボイズ
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2008/03/27 (Thu)
「諒、飲み物は?」
オレは鞄から財布を取り出しながら、そう聞いた。
お昼の準備に机を動かしていた諒は、意味が分らないという顔で、えっと聞き返した。
「だから、昨日迷惑かけたお詫びにさ、おごるよ」
何でも好きなの言って、とオレは胸を張った。
とはいっても、学校の100円自販機には、緑茶と、牛乳と、オレンジジュースと、レモンティーしかないんだけど。
「ああ、なるほどね……うーんと、なら……お茶」
「お茶ね、わかった」
二つ返事で頷くと、オレは財布から取り出した百円玉二枚を握って、教室を飛び出した。
オレは鞄から財布を取り出しながら、そう聞いた。
お昼の準備に机を動かしていた諒は、意味が分らないという顔で、えっと聞き返した。
「だから、昨日迷惑かけたお詫びにさ、おごるよ」
何でも好きなの言って、とオレは胸を張った。
とはいっても、学校の100円自販機には、緑茶と、牛乳と、オレンジジュースと、レモンティーしかないんだけど。
「ああ、なるほどね……うーんと、なら……お茶」
「お茶ね、わかった」
二つ返事で頷くと、オレは財布から取り出した百円玉二枚を握って、教室を飛び出した。
「わぁ!」
廊下の角を曲がったところで、オレは柔らかい壁にぶつかった。
ボンッと跳ね返されて引っ繰り返りそうになったオレを、前から伸びた手が引っ張った。
「――っと。んだよ、藍川か」
「うぇ? ……あ、滝沢」
パシパシしと目をしばたたかせたオレに、滝沢はいつも通りのニヤニヤ笑いを浮かべた。
「走ってんなよ、っとにガキだなお前は」
「ご、ごめん…………」
滝沢の口の悪さは相変わらずだったけど、オレは素直に謝った。
だって、今は滝沢の言い分があきらかに正しいと思ったから。
「何焦ってんの? 昼飯ねぇんなら、これ持ってけば」
滝沢は、たぶん女の子から貰った弁当なんだろう、ピンクの花がプリントされた可愛らしい包みを、俺に突きつけた。
「やるよ、邪魔だから」
「え? ――あ、違うよ、飲み物買いに行こうとしてただけで……」
オレはそのぶっきらぼうな振る舞いに面食らって、思わずその手を押し返したけど、すぐにそれが滝沢流の親切なんだって気が付いた。
「あの、心配してくれてありがと、滝沢。でも、オレ自分のあるから大丈夫」
くすっと笑った俺に、馬鹿にされたと思ったのか、滝沢はムッと不機嫌な顔をした。
「笑ってんなよ……今まで散々人にたかっといて」
「うん、ホントにありがと滝沢。オレもう大丈夫だから、安心して」
オレは心の底から、滝沢にお礼を言った。
貧乏のどん底で、満足にご飯も食べられなかったとき、滝沢には本当に何度も助けられたんだから。
どんなに感謝したって足りない、恩人なんだ。
「……ふーん、今日もあの兄貴の、手製弁当なわけ?」
「そうだよ。滝沢もさ、それ、ちゃんと食べてあげなよ。きっと心を込めて作ってくれたんだよ」
兄ちゃんがそうしてくれるみたいに、とはオレは言わなかったけど、滝沢には分ったのかもしれない。
オレが指差した包を面倒くさそうに片手で掴み直すと、ふんと鼻で笑った。
「麗しき兄弟愛ってか……くだらねぇ」
「滝沢…………」
オレがちょっと非難めいた声を上げると、滝沢はその視線を避けるようにくるりと背を向けた。
「俺、午後サボるわ」
「え――――?! 午後サボるって……お前、午前中だって出てなかったじゃん!」
だるそうに歩き去ってゆく後姿にオレは叫んだけど、滝沢はひょいと片手を上げただけで振り返らなかった。
「そのお弁当、絶対、ちゃんと食べろよ! 捨てたりなんかしたら、許さないからな!!」
もう聞こえてないってわかってたけど、俺はもう一度滝沢に念押しした。
だって、あの弁当を包んでいたピンクの花柄のハンカチには、きちんと糊が効いていて、ぱりっとアイロンがかけてあったから。
形良く結ばれた結び目には、送り主の細やかな愛情が、溢れていたから。
だから、絶対に食べてあげて欲しいと思ったんだ。
*
一人暮らしする前だったら、きっとこんな小さなことになんか気が付かなかったと思う。
母さんや、父さんや……そして、兄ちゃんが、いつも当たり前の顔でしてくれてた些細なことが、どんなにありがたいかなんて、自活する前は、オレ全然気が付いてなかったんだから。
でも、今はちゃんと分ってる。
全部一回自分でやってみたから、今はちゃんとわかる。
汚れのないシャツや、アイロンの効いたハンカチや、彩り鮮やかな弁当が、どんなに優しい愛情なのかって。
だから、滝沢にもそれに気が付いて欲しいと、オレは思ったんだ。
廊下の角を曲がったところで、オレは柔らかい壁にぶつかった。
ボンッと跳ね返されて引っ繰り返りそうになったオレを、前から伸びた手が引っ張った。
「――っと。んだよ、藍川か」
「うぇ? ……あ、滝沢」
パシパシしと目をしばたたかせたオレに、滝沢はいつも通りのニヤニヤ笑いを浮かべた。
「走ってんなよ、っとにガキだなお前は」
「ご、ごめん…………」
滝沢の口の悪さは相変わらずだったけど、オレは素直に謝った。
だって、今は滝沢の言い分があきらかに正しいと思ったから。
「何焦ってんの? 昼飯ねぇんなら、これ持ってけば」
滝沢は、たぶん女の子から貰った弁当なんだろう、ピンクの花がプリントされた可愛らしい包みを、俺に突きつけた。
「やるよ、邪魔だから」
「え? ――あ、違うよ、飲み物買いに行こうとしてただけで……」
オレはそのぶっきらぼうな振る舞いに面食らって、思わずその手を押し返したけど、すぐにそれが滝沢流の親切なんだって気が付いた。
「あの、心配してくれてありがと、滝沢。でも、オレ自分のあるから大丈夫」
くすっと笑った俺に、馬鹿にされたと思ったのか、滝沢はムッと不機嫌な顔をした。
「笑ってんなよ……今まで散々人にたかっといて」
「うん、ホントにありがと滝沢。オレもう大丈夫だから、安心して」
オレは心の底から、滝沢にお礼を言った。
貧乏のどん底で、満足にご飯も食べられなかったとき、滝沢には本当に何度も助けられたんだから。
どんなに感謝したって足りない、恩人なんだ。
「……ふーん、今日もあの兄貴の、手製弁当なわけ?」
「そうだよ。滝沢もさ、それ、ちゃんと食べてあげなよ。きっと心を込めて作ってくれたんだよ」
兄ちゃんがそうしてくれるみたいに、とはオレは言わなかったけど、滝沢には分ったのかもしれない。
オレが指差した包を面倒くさそうに片手で掴み直すと、ふんと鼻で笑った。
「麗しき兄弟愛ってか……くだらねぇ」
「滝沢…………」
オレがちょっと非難めいた声を上げると、滝沢はその視線を避けるようにくるりと背を向けた。
「俺、午後サボるわ」
「え――――?! 午後サボるって……お前、午前中だって出てなかったじゃん!」
だるそうに歩き去ってゆく後姿にオレは叫んだけど、滝沢はひょいと片手を上げただけで振り返らなかった。
「そのお弁当、絶対、ちゃんと食べろよ! 捨てたりなんかしたら、許さないからな!!」
もう聞こえてないってわかってたけど、俺はもう一度滝沢に念押しした。
だって、あの弁当を包んでいたピンクの花柄のハンカチには、きちんと糊が効いていて、ぱりっとアイロンがかけてあったから。
形良く結ばれた結び目には、送り主の細やかな愛情が、溢れていたから。
だから、絶対に食べてあげて欲しいと思ったんだ。
*
一人暮らしする前だったら、きっとこんな小さなことになんか気が付かなかったと思う。
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でも、今はちゃんと分ってる。
全部一回自分でやってみたから、今はちゃんとわかる。
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だから、滝沢にもそれに気が付いて欲しいと、オレは思ったんだ。
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