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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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自己紹介

  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
  嫌い:イタい子
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「世間は狭い」と良く言うけれど、それって本当なんだな――――。
交差点の向こう側に、思い出したくもない…………けれど、忘れることもできない、嫌な男の顔を発見して、俺はぎっと唇を噛んだ。
*
あれは今から4年前。
小学校6年生になった俺たちのクラスに、あの奇妙に首の長い、額の出っ張った男が、教生としてやってきた。
初日に着ていたシャツが黄色だったことと、そのどこか間延びした風貌から、俺たちは、男に「キリン」というあだ名を付けた。
キリンは子供好きな男だった。
中でも、特にお気に入りだったのは裕太で、何かと言うと、側に寄って話しかけたり、体に触って気を引こうとしてた。
今思えば、あれはちょっとおかしかったな、と気付く部分もあるけれど、当時の俺はまだ子供過ぎて、そういう行動が何を意味しているのか、すぐに理解することはできなかった。
だだ「嫌な感じがする」と、キリンが醸し出す不快な空気みたいなものを、ぼんやりと感じ取っていただけだった。
――――そう、あの日の放課後、キリンが、職員用のトイレに裕太の手を引いて入って行くシーンを、目撃するまでは…………。
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兄ちゃんは、オレのワガママが好きみたいだ。
オレが「あれして」「これして」なんて頼むと、すっごく嬉しそうな顔をする。
「しょうがないな」なんて、口ではちょっと困ったようなことを言うときもあるけど、でもやっぱり目が笑ってるんだ。
うんと甘えて、ワガママ言って、兄ちゃんが一体どこまでオレを許すのか――――、試してみたい気もするけど、やっぱり止めておいたほうがいいよね。
だって、洒落じゃあ済まなくなりそうで、怖いもん。
兄ちゃんは滅多なことでオレを叱ったりしないけど、その代わりに周囲を責めるから、それが本当に困るんだ。
*
例えば、諒の家で酔いつぶれて寝ちゃったオレを迎えに来たときも、兄ちゃんはオレじゃなくて諒を責めた。
それから、遊びに夢中になって帰りが遅くなったり、羽目を外してふざけすぎたときだって、兄ちゃんはいつもオレを叱らずに、一緒に居たほかの人を責めるんだ。
「どうして、もっとちゃんと見てやらなかったんだ」「俺が付いてれば、お前にそんなことはさせなかったのに」って、まるでオレが被害者みたいな口ぶりで相手を責めるから、側で聞いてるほうが居た堪れなくなる。
結局オレは追い詰められて、兄ちゃんに「もう止めて」って、「ごめんなさい、もうしないから」って、謝るしかなくなるんだ。
*
これが、兄ちゃんが計算してやってることなら、オレだって「もう引っ掛からないぞ」って、強気に出てもいいんだけど…………多分、本気なんだよね。
ううん、絶対本気だよ、あれは。
だから、やっぱりオレには、兄ちゃんを試すなんてマネ、とうていできそうにないよ。
一体何を言い出すか分らないもん、そんなの怖すぎるだろ?
このお話は、周平ベストエンド「永遠の月夜」で、「体育の前の日は入れてくれない」と不満を漏らしていた裕太に、「お前どんだけやりたいんだよ!」っと突っ込みを入れるつもりで書きましたw
「裕太、それじゃ何も出来ない」
耳元で兄ちゃんがクスッと笑った。
オレがあんまりぎゅうぎゅうしがみ付いてるのが、おかしかったらしい。
「裕太?」
もう一度甘い声で呼ばれたけど、オレは兄ちゃんのシャツに顔を埋めたまま、聞こえない振りをした。
今自分がどんな顔をしてるのか全然想像できなくて、それを兄ちゃんに見られるのが凄く恥ずかしかったから。
兄ちゃんはしばらくオレの返事を待っていたけど、いつまでも答えなでいると、そっとつむじにキスをした。
「いいよ、じゃあそうしておいで」
「裕太、もういいよ」
兄ちゃんに言われて、オレは目を開けた。
カーテンが閉められ、蛍光灯の眩しい光に照らされた室内からは、さっきのおどろおどろしい雰囲気が嘘みたいに消えていた。
「ありがと、兄ちゃん」
オレはほっとして笑った。
こういうとき兄ちゃんは、何にも聞かずにオレの気持ちを分ってくれる。
目を閉じておいで、と手のひらでさっとまぶたを撫でられたとき、一人じゃないってやっぱりいいな、とオレは改めて思った。
端から見たら、本当に小さくて、くだらないことなんだろうけど、兄ちゃんはそれを馬鹿にしたりしない。
いつも、オレを大切にしてくれる。
「兄ちゃん、大好き……」
無意識のうちに、ぽろりと口から出た言葉に、オレは自分で赤面した。
「あ……あの――――」
「ありがとう、裕太」
何て言って誤魔化そうかと、しどろもどろになっていると、兄ちゃんはふっと笑った。
「兄ちゃんも、裕太が大好きだよ」
その言いかたが、つんとオレの心臓を突っついた。
オレは決して感のいいほうじゃない。
自分で言うのもなんだけど、鈍いし、ぼんやりしてるから、諒や兄ちゃんみたいに、声のトーンや表情の変化から相手の心理を読み取るなんて、そういう繊細ことは本当に苦手なんだ。
でもどうしてだろう。
何故だかわからないけど、このときオレは兄ちゃんの気持ちがわかった。
兄ちゃんが何をしたいと思ってるのか、はっきりとわかった。
だからオレは兄ちゃんの目を見て、小さく……でも、しっかりと頷いた。
「いいよ」
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