BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/02/12 (Tue)
信号が青に変わった。
一斉に動き出した人の波に押されるように、ズイと一歩踏み出した周平の指を、斜め後ろにいた裕太が不意に握ってきた。
思いがけないサインに、周平がはっと振り返ると、裕太は手を握ったまま、二人の横を早足にすり抜けてゆく人たちを、面白そうに、けれどとこかぼんやりとした風情で眺めていた。
自分のとった行動に、まったく気が付いていないようだった。
*
こういうふとした瞬間に、周平は自分の弟、裕太の事が、たまらなく愛おしいのだと、心の底から愛しているのだと、再確認する。
おそらく裕太は、雑踏の中、人の波に押されて一足先に出た周平が、自分の事を忘れてしまっているように感じて、不安になったのだ。
そして、親からはぐれそうになった子供がそうするように、置いて行かれないようにと、周平の手を握ったのだ。
それも、無意識に。
*
こういった無意識の甘え、無自覚な依存に、周平は、自分がいないと生きていけないのだと、言われているようで恍惚となる。
本人に自覚はないだろうけれど、その小さな仕草ひとつ、目線ひとつで、裕太はいつも周平を世界で一番、幸福な男に仕立て上げるのだった。
*
「兄ちゃん、どうしたの?」
立ち止まったまま、いつまでも歩き出そうとしない周平を、裕太が不思議そうに見上げてきた。
周平は蕩けそうなほど緩んだ頬を、更ににっこりと微笑ませた。
「別に、何もないよ」
周平は静かに答えた。
そして、裕太の手が離れてしまわないように、今度はゆったりと、次の一歩を踏み出した。
一斉に動き出した人の波に押されるように、ズイと一歩踏み出した周平の指を、斜め後ろにいた裕太が不意に握ってきた。
思いがけないサインに、周平がはっと振り返ると、裕太は手を握ったまま、二人の横を早足にすり抜けてゆく人たちを、面白そうに、けれどとこかぼんやりとした風情で眺めていた。
自分のとった行動に、まったく気が付いていないようだった。
*
こういうふとした瞬間に、周平は自分の弟、裕太の事が、たまらなく愛おしいのだと、心の底から愛しているのだと、再確認する。
おそらく裕太は、雑踏の中、人の波に押されて一足先に出た周平が、自分の事を忘れてしまっているように感じて、不安になったのだ。
そして、親からはぐれそうになった子供がそうするように、置いて行かれないようにと、周平の手を握ったのだ。
それも、無意識に。
*
こういった無意識の甘え、無自覚な依存に、周平は、自分がいないと生きていけないのだと、言われているようで恍惚となる。
本人に自覚はないだろうけれど、その小さな仕草ひとつ、目線ひとつで、裕太はいつも周平を世界で一番、幸福な男に仕立て上げるのだった。
*
「兄ちゃん、どうしたの?」
立ち止まったまま、いつまでも歩き出そうとしない周平を、裕太が不思議そうに見上げてきた。
周平は蕩けそうなほど緩んだ頬を、更ににっこりと微笑ませた。
「別に、何もないよ」
周平は静かに答えた。
そして、裕太の手が離れてしまわないように、今度はゆったりと、次の一歩を踏み出した。
藍川裕太は口が余り達者でない。
小さい頃から甘やかされてきたから、自分の意志や感情を、言葉にして伝えるのが得意でない。
そんなことを何も口にしなくても、周囲を取り巻く人達がみな先回りして、あれこれと世話を焼いてくれるのが、裕太にとって当たり前だった。
幼馴染の廣瀬諒は、そんな裕太を「甘えん坊」だと言って良くからかうが、その諒にしたって、ふらふらと危なっかしい裕太のことを放って置けずに、何くれとなく面倒を見てまわっているのだから、人のことを笑えた義理ではない。
*
そして裕太は、争いごともまた苦手だ。
裕太を取り巻く世界は、常に愛情と善意とに満たされていたから、人を疑ったり、警戒したりするのは、まったく得手でない。
そんなことをする必要がないほど、過保護に、過剰に守られて育ってきたから、何かを得るために人と争うとか、大切なものを守るために誰かと戦うという発想そのものがない。
むしろそういう面倒ごとに巻き込まれるぐらいなら、ちょっとぐらい自分が我慢して、周囲に流されておいたほうが楽だと考えるくらい、裕太は苦労知らずの甘えん坊だった。
*
兄の周平は、そんな裕太がたまらなくかわいいと相好を崩し、親友の諒は、そんなんじゃあ一人で生きていけないぞと眉をしかめるのだった。
小さい頃から甘やかされてきたから、自分の意志や感情を、言葉にして伝えるのが得意でない。
そんなことを何も口にしなくても、周囲を取り巻く人達がみな先回りして、あれこれと世話を焼いてくれるのが、裕太にとって当たり前だった。
幼馴染の廣瀬諒は、そんな裕太を「甘えん坊」だと言って良くからかうが、その諒にしたって、ふらふらと危なっかしい裕太のことを放って置けずに、何くれとなく面倒を見てまわっているのだから、人のことを笑えた義理ではない。
*
そして裕太は、争いごともまた苦手だ。
裕太を取り巻く世界は、常に愛情と善意とに満たされていたから、人を疑ったり、警戒したりするのは、まったく得手でない。
そんなことをする必要がないほど、過保護に、過剰に守られて育ってきたから、何かを得るために人と争うとか、大切なものを守るために誰かと戦うという発想そのものがない。
むしろそういう面倒ごとに巻き込まれるぐらいなら、ちょっとぐらい自分が我慢して、周囲に流されておいたほうが楽だと考えるくらい、裕太は苦労知らずの甘えん坊だった。
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兄の周平は、そんな裕太がたまらなくかわいいと相好を崩し、親友の諒は、そんなんじゃあ一人で生きていけないぞと眉をしかめるのだった。
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