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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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自己紹介

  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
  嫌い:イタい子
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syuuhei_and_yuuta_08.gif「俺の側に居てくれ」
間髪を入れずに、周平は答えた。
「うん、居るよ。それで?」
「ずっと、ずっと…………ずっと――居てくれ」
「うん? ずっと、ずっと、ずーっと、居るよ。だから、それから?」
じれて身を揺すった裕太に、周平はくすぐったそうに、目を細めた。
「そうだな、それから……俺が家に帰ったら、おかえりって言って、迎えて欲しいな」
「? それ……いつも、してるけど……」
「そして、家を出るときには、いってらっしゃいって、送り出して欲しい」
「え……でも、朝出るの俺のほうが先だし――どうしよう……」
「じゃあ、まあ……これは、お前が学校を卒業してからで良いか」
困惑して考え込んでしまった裕太に、周平は苦笑して肩をすくめた。
「うん、わかった、卒業したらね……で、それから?」
もっとないのと、裕太は目を輝かせた。
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「……滝沢って、俺と同い年なんだよ? でもこうやって、兄ちゃんに認められるぐらい、もうちゃんと、一人前なんだよ……すごいよね……」
俺とは違ってと、最後に消え入るような声で付け加えられた言葉を、周平は聞き逃さなかった。
「裕太……お前は、滝沢君と自分を比べてるのか?」
「比べてる? そうなのかな……どうなんだろ、わかんない…………」
周平の質問に、裕太は小さく首をかしげた。
「裕太、前にも言ったと思うけど、滝沢君とお前は住む世界が違うんだ。彼の価値観に引きずられるな。お前は、お前らしくあればそれでいいんだ」
断固とした強い口調で言い切った周平に、裕太はびくっと肩を震わせた。
「お、俺らしく…………?」
わからないと、不安げに瞳を揺らした裕太に、慈しむような視線で周平は答えた。
「滝沢君の代わりは幾らでもいる。例えば、今日彼が死んでも、明日にはその空いた席に、次の誰かが座ってる。モデルって言うのはそういう世界だ……でも、お前は違う、お前の代わりはいない、そうだろう?」
勝手に殺されてしまった滝沢は、いい面の皮だが、しかし周平の思いだけは確実に伝わった。
「兄ちゃん……兄ちゃん、でも……でも、俺……なんにもわかんないし、なんにも出来ないし…………」
裕太は涙をこらえるように、くっと下唇を噛んて俯いた。
「裕太には、裕太にしか出来ないことがあるのに、それも、わからないのか?」
ぐずる子供をあやすように、ほら笑ってと、周平は裕太の耳たぶを優しく、くすぐった。
「冗談だよ」
まったく冗談ではない調子で周平は言った。
「じょ、冗談……なの?」
裕太は、はあっと気が抜けたような声を上げた。
自分よりも遥かに大きい周平の体を路上の影に押し込んだ裕太は、ぜいぜいと、肩で息をしながら、脱力してその場に座り込みそうになった。
「そう……本当は、お前を鍵のかかる宝石箱に入れて、大事にしまっておきたい。誰にも取られないように、傷つかないように……一生、閉じ込めておきたい」
周平が、ぐっと腕を掴んで、裕太の体を引き寄せた。
顔を近づけてくる周平に、裕太は何とか二人の距離を保とうと、腕を突っ張って抵抗した。
「ちょ、ちょっと、兄ちゃん……やめてよ、また冗談っ」
「……さあ、それはどうかな…………でも、お前をずっと、大切に、守ってやりたいと思ってるのは、本当だよ」
意外なほどひっそりとした調子の声に、裕太は思わず顔を上げた。
頭上から漏れるLED看板のオレンジ色の光に横顔を照らされた周平の瞳は、裕太にはとてもその真意を読み取れないほど、静かに深い色をたたえていた。
「裕太、そんなに怒るなよ。兄ちゃんが悪かったから」
腕を掴んで先を行く裕太に大人しくつき従いながら、周平は謝罪を繰り返した。
最初のうちは、弟に手を引かれて歩くという珍しい状況を楽しんでいた周平だったが、しかし今は、自分の声など聞こえないと言う風に俯いたまま、ずんずんと必死になって前を歩く裕太が、かわいそうに思えてきた。
裕太の手のひらは、掴んだ周平の手首を一回りもできないほど、小さかった。
夜になって眩しいほどに輝く繁華街の中、喧騒を楽しむ人々の波を掻き分ける裕太の背中は、その圧力に押しつぶされそうなほど頼りなく見えた。
周平は裕太と二人でいるときには、仕事の話は滅多にしない。
聞けば答えてはくれるが、それも裕太に分る範囲を、ごく簡単に、噛み砕いて説明するだけで、組織だとか、経営だとか、そういった難しい話は絶対にしない。
天国屋グループは一族支配の固い結束で成り立っている同族企業だから、家族や親戚が集まれば、必ずそういった話になる。
だが、何も分らない裕太は、どんな話題にも遅れることなく付いていく周平の隣で、一人、お茶とお菓子に専念するのが慣例だった。
「除け者にされているみたいでつまらない」と不満を漏らすと、周平はいつも笑って「それじゃあ、もっと楽しい話をしよう」と、裕太にも分るような、学校や、季節や、食べ物の話に話題を切り替える。
「理解できるよう勉強しろ」とは決して言わない。
むしろ周平は、裕太にそういうことを知ってほしくないと思っているふしがある。
「お前にはまだ早い」「もっと他に学ぶべきことがあるだろう」と言われてしまえば、知識のない裕太は「そんなものかな」と納得するしかない。
*
あの「現場主義」「実力主義」を貫く祖父自ら「私の跡継ぎ」と公言するぐらいだから、周平は親族の中でも秀抜なのだろう。
しかし、それも裕太には良く分らない。
「営業企画部」が何の仕事をしている部署なのか、その中で「主任」というのがどういった立場にあるのか、この間周平が言った「来春から係長になる」という言葉の意味も……裕太には何も分らない。
ただ、「一緒に居る時間が少なくなるかもしれない」といって、ごめんなと謝った周平が、酷く辛そうだったと……裕太分ったのは、それだけだった。
だから裕太は「大丈夫だよ」「心配ないよ」と、殊更明るく振舞って見せた。
本当は、「主任」と「係長」では、何が違うのかも良くわかってはいなかったけど。
周平を元気付けようと、一生懸命笑って見せた。
いつも、自分の為に何もかもを犠牲にしようとする周平に、何かしてあげられることがあればいいのだけれど、そう思った裕太にできる、それが精一杯だった。
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