BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/03/08 (Sat)
「冗談だよ」
まったく冗談ではない調子で周平は言った。
「じょ、冗談……なの?」
裕太は、はあっと気が抜けたような声を上げた。
自分よりも遥かに大きい周平の体を路上の影に押し込んだ裕太は、ぜいぜいと、肩で息をしながら、脱力してその場に座り込みそうになった。
「そう……本当は、お前を鍵のかかる宝石箱に入れて、大事にしまっておきたい。誰にも取られないように、傷つかないように……一生、閉じ込めておきたい」
周平が、ぐっと腕を掴んで、裕太の体を引き寄せた。
顔を近づけてくる周平に、裕太は何とか二人の距離を保とうと、腕を突っ張って抵抗した。
「ちょ、ちょっと、兄ちゃん……やめてよ、また冗談っ」
「……さあ、それはどうかな…………でも、お前をずっと、大切に、守ってやりたいと思ってるのは、本当だよ」
意外なほどひっそりとした調子の声に、裕太は思わず顔を上げた。
頭上から漏れるLED看板のオレンジ色の光に横顔を照らされた周平の瞳は、裕太にはとてもその真意を読み取れないほど、静かに深い色をたたえていた。
まったく冗談ではない調子で周平は言った。
「じょ、冗談……なの?」
裕太は、はあっと気が抜けたような声を上げた。
自分よりも遥かに大きい周平の体を路上の影に押し込んだ裕太は、ぜいぜいと、肩で息をしながら、脱力してその場に座り込みそうになった。
「そう……本当は、お前を鍵のかかる宝石箱に入れて、大事にしまっておきたい。誰にも取られないように、傷つかないように……一生、閉じ込めておきたい」
周平が、ぐっと腕を掴んで、裕太の体を引き寄せた。
顔を近づけてくる周平に、裕太は何とか二人の距離を保とうと、腕を突っ張って抵抗した。
「ちょ、ちょっと、兄ちゃん……やめてよ、また冗談っ」
「……さあ、それはどうかな…………でも、お前をずっと、大切に、守ってやりたいと思ってるのは、本当だよ」
意外なほどひっそりとした調子の声に、裕太は思わず顔を上げた。
頭上から漏れるLED看板のオレンジ色の光に横顔を照らされた周平の瞳は、裕太にはとてもその真意を読み取れないほど、静かに深い色をたたえていた。
「……兄ちゃん……あ、でも……俺は……」
裕太は、しんしんとそそがれる視線の圧力に耐えかねたように、大きく胸をあえがせた。
「……うん、裕太?」
「俺、俺は……そんなにしてもらっても、なんにも返せない……兄ちゃんに、にそんなにしてもらえる価値、ないよ……」
苦痛に耐える表情で、裕太はギュッとシャツの胸元を掴んだ。
「価値……? 価値って……なんだそれは」
裕太の口からかつて一度も聞いたことがないその言葉に、周平は耳を疑った。
いつもなら、どんなに含みのある言葉も、思わせぶりな台詞も、裕太は素直な笑顔で受け止めてしまう。
「閉じ込めたい」も「食べてしまいたい」も、裕太にとっては「愛している」の同義語でしかない。
ところが今日は、周平のそれを聞き流せない何かが、裕太の胸にわだかまっているようだった。
*
「裕太……どうした急に……」
「だって……だって俺、馬鹿だから……会社のことも、なんにもわかんないし、兄ちゃんの足引っ張るだけで……全然役に立てない……さっきだって、皆に笑われたし……滝沢のことも知らなかったし……」
「滝沢? ……滝沢君が、どうかしたのか」
突然出てきた珍しい名前を、周平は聞きとがめた。
「え、あ……うん、滝沢って……知ってた、兄ちゃん? これ、このモデル、ほら、学校で一回会ったよね、俺のクラスメイトの……滝沢だよ、気が付いてた?」
裕太は握り締めすぎてくしゃくしゃになったブローシャーを、手のひらで伸ばした。
「ああこれか、一応な。新館のイメージモデル候補として名前が上がった段階で気が付いたけど……でも、それとこれとは別だぞ。お前の同級生だってことで、手心を加えたりはしてない。彼が最も相応しいと判断したから、選んだだけだ」
「兄ちゃんが、選んだの?」
裕太はハッと、胸を突かれたような目で周平を見上げた。
「え? それは、まあ……こういうことを企画するのも俺の仕事の内だから、選者の一人ではあるけど……」
裕太の受けた衝撃の理由が掴めずに、周平は語尾を濁した。
「そっか、そうなんだ……俺、そういうのも、良くわかんないや……」
「裕太、お前さっきから、どうしたんだ?」
屈託の訳を教えてくれと、周平は裕太の肩に置いた手にぐっと力を込めた。
裕太は道に迷った子供のように、ぼんやりと途方にくれた顔で、周平を見上げた。
裕太は、しんしんとそそがれる視線の圧力に耐えかねたように、大きく胸をあえがせた。
「……うん、裕太?」
「俺、俺は……そんなにしてもらっても、なんにも返せない……兄ちゃんに、にそんなにしてもらえる価値、ないよ……」
苦痛に耐える表情で、裕太はギュッとシャツの胸元を掴んだ。
「価値……? 価値って……なんだそれは」
裕太の口からかつて一度も聞いたことがないその言葉に、周平は耳を疑った。
いつもなら、どんなに含みのある言葉も、思わせぶりな台詞も、裕太は素直な笑顔で受け止めてしまう。
「閉じ込めたい」も「食べてしまいたい」も、裕太にとっては「愛している」の同義語でしかない。
ところが今日は、周平のそれを聞き流せない何かが、裕太の胸にわだかまっているようだった。
*
「裕太……どうした急に……」
「だって……だって俺、馬鹿だから……会社のことも、なんにもわかんないし、兄ちゃんの足引っ張るだけで……全然役に立てない……さっきだって、皆に笑われたし……滝沢のことも知らなかったし……」
「滝沢? ……滝沢君が、どうかしたのか」
突然出てきた珍しい名前を、周平は聞きとがめた。
「え、あ……うん、滝沢って……知ってた、兄ちゃん? これ、このモデル、ほら、学校で一回会ったよね、俺のクラスメイトの……滝沢だよ、気が付いてた?」
裕太は握り締めすぎてくしゃくしゃになったブローシャーを、手のひらで伸ばした。
「ああこれか、一応な。新館のイメージモデル候補として名前が上がった段階で気が付いたけど……でも、それとこれとは別だぞ。お前の同級生だってことで、手心を加えたりはしてない。彼が最も相応しいと判断したから、選んだだけだ」
「兄ちゃんが、選んだの?」
裕太はハッと、胸を突かれたような目で周平を見上げた。
「え? それは、まあ……こういうことを企画するのも俺の仕事の内だから、選者の一人ではあるけど……」
裕太の受けた衝撃の理由が掴めずに、周平は語尾を濁した。
「そっか、そうなんだ……俺、そういうのも、良くわかんないや……」
「裕太、お前さっきから、どうしたんだ?」
屈託の訳を教えてくれと、周平は裕太の肩に置いた手にぐっと力を込めた。
裕太は道に迷った子供のように、ぼんやりと途方にくれた顔で、周平を見上げた。
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