BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2008/02/08 (Fri)
「あっ」
大きなショーウィンドウを飾る、楽しげなディスプレイに気をとられていた裕太は、ほんの数センチの、僅かなおうとつに足をとられて、ぐらりと前のめりになった。
転ぶっ、と泳ぐように前に突き出した腕を、横からぐっと力強い手が支えた。
「あ、ありがと、兄ちゃん」
裕太は、周平の腕にぶら下がるようになりながら、ほっと安心したように笑った。
腕を引いて裕太の体を起こした周平は、さっと一瞥して、その体の何処にも怪我のないことを確認した。
「ちゃんと、前を見て歩かないとな」
裕太がよちよち歩きの赤ん坊だった頃から、もう何十回、ひょっとしたら何百回も、言ったかしれないその台詞を、周平はやっぱり、まったく同じ調子で口にした。
「うん」
こくりと頷いた裕太の腕を放すと、周平はそのまま手を繋いで歩き出した。
その所作は、空気が流れるように自然だった。
裕太は一瞬面食らったが、周平のてらいのない動作に、まるでそうされるのが当然であるかのような気持ちになった。
大きなショーウィンドウを飾る、楽しげなディスプレイに気をとられていた裕太は、ほんの数センチの、僅かなおうとつに足をとられて、ぐらりと前のめりになった。
転ぶっ、と泳ぐように前に突き出した腕を、横からぐっと力強い手が支えた。
「あ、ありがと、兄ちゃん」
裕太は、周平の腕にぶら下がるようになりながら、ほっと安心したように笑った。
腕を引いて裕太の体を起こした周平は、さっと一瞥して、その体の何処にも怪我のないことを確認した。
「ちゃんと、前を見て歩かないとな」
裕太がよちよち歩きの赤ん坊だった頃から、もう何十回、ひょっとしたら何百回も、言ったかしれないその台詞を、周平はやっぱり、まったく同じ調子で口にした。
「うん」
こくりと頷いた裕太の腕を放すと、周平はそのまま手を繋いで歩き出した。
その所作は、空気が流れるように自然だった。
裕太は一瞬面食らったが、周平のてらいのない動作に、まるでそうされるのが当然であるかのような気持ちになった。
――俺にとって裕太はいつまでたっても赤ちゃんだかからな。
あのレストランで、ワイングラスの向こう側から、ひっそりと笑った周平の言葉は、多分、まったくの本気なのだろう。
家事を一切やらせないのも、こうして外出に必ず付いてきたがるのも、きっと周平が、自分をそういう、なんとも頼りない、危なっかしい存在として、認識しているからなのだ。
黙って周平に手を引かれながら、裕太はそう考えた。
広い背中に庇われながら歩くのは、不思議なほど裕太を安心させた。
*
祐天寺の自宅に両親と共に暮らしていた頃は、それでもまだ、周平の「甘やかし」はこれほどまでに、あからさまではなかった。
裕太には、周平の手が必要ないほど、母親がべったりだったということもあるし、人の目があることで、最低限の理性を保つだけのブレーキが利いていたこともあるだろう。
しかしそれらの抑制も、二人暮らしを始めたことで、全て取り去られてしまった。
とりわけ、あの古いアパートを出て、マンションで新生活を始めたときから、周平の中にあった僅かな堰も完全に決壊して、裕太への衝動が洪水のように溢れ出していた。
*
「お前を閉じ込めたくなる」
だから、あまり可愛い事を言ってくれるなと、合わせた唇の隙間から、弱音を吐くように漏れる周平のその言葉を、裕太はいつも本気にはしない。
好きだ、愛してる、と囁く甘い睦言の延長としてしか捉えていない。
恐ろしい欲望を、わざわざ「これ」と言って目の前に曝して見せているのに、それでも裕太は何も分らず、ただ嬉しそうに頬を染めるのだ。
そのいとけないさまが、周平の欲をますます煽り立てる。
*
裕太の背を抱きながら、「新婚みたいだな」と照れた周平の言葉も、やはり裕太は本気にはしなかった。
そういう、裕太の無垢、無知、無邪気――。
それら全てを、愛おしいと、可愛いらしいと思う周平は、いつだって、本気で、裕太を自分の腕の中に閉じ込めてしまいたいと思っているのに。
*
─────
藍川 周平
裕太
─────
表札にそうやって並んだ二つの名前に、周平が特別な意味を見い出していると知ったなら、裕太はどんな顔をするだろうか。
思い描いた理想世界が、ここに実現しているのだと、それを告げればやはり裕太は、少しはにかんで、そして、笑ってくれるのだろうか。
あのレストランで、ワイングラスの向こう側から、ひっそりと笑った周平の言葉は、多分、まったくの本気なのだろう。
家事を一切やらせないのも、こうして外出に必ず付いてきたがるのも、きっと周平が、自分をそういう、なんとも頼りない、危なっかしい存在として、認識しているからなのだ。
黙って周平に手を引かれながら、裕太はそう考えた。
広い背中に庇われながら歩くのは、不思議なほど裕太を安心させた。
*
祐天寺の自宅に両親と共に暮らしていた頃は、それでもまだ、周平の「甘やかし」はこれほどまでに、あからさまではなかった。
裕太には、周平の手が必要ないほど、母親がべったりだったということもあるし、人の目があることで、最低限の理性を保つだけのブレーキが利いていたこともあるだろう。
しかしそれらの抑制も、二人暮らしを始めたことで、全て取り去られてしまった。
とりわけ、あの古いアパートを出て、マンションで新生活を始めたときから、周平の中にあった僅かな堰も完全に決壊して、裕太への衝動が洪水のように溢れ出していた。
*
「お前を閉じ込めたくなる」
だから、あまり可愛い事を言ってくれるなと、合わせた唇の隙間から、弱音を吐くように漏れる周平のその言葉を、裕太はいつも本気にはしない。
好きだ、愛してる、と囁く甘い睦言の延長としてしか捉えていない。
恐ろしい欲望を、わざわざ「これ」と言って目の前に曝して見せているのに、それでも裕太は何も分らず、ただ嬉しそうに頬を染めるのだ。
そのいとけないさまが、周平の欲をますます煽り立てる。
*
裕太の背を抱きながら、「新婚みたいだな」と照れた周平の言葉も、やはり裕太は本気にはしなかった。
そういう、裕太の無垢、無知、無邪気――。
それら全てを、愛おしいと、可愛いらしいと思う周平は、いつだって、本気で、裕太を自分の腕の中に閉じ込めてしまいたいと思っているのに。
*
─────
藍川 周平
裕太
─────
表札にそうやって並んだ二つの名前に、周平が特別な意味を見い出していると知ったなら、裕太はどんな顔をするだろうか。
思い描いた理想世界が、ここに実現しているのだと、それを告げればやはり裕太は、少しはにかんで、そして、笑ってくれるのだろうか。
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