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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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自己紹介

  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
  嫌い:イタい子
  イチオシ:安元洋貴ボイズ

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「裕太! 周平! たっだいまーぁ!」
門前に車のエンジン音が響いてから程なく、母親の賑わしい声が邸内に響いた。
二週間の長いバカンスを終えて、両親が帰宅したのだ。
周平の膝の上で読書感想文の課題図書を読んでいた裕太は、懐かしい母親の声に、はっと弾かれたように顔をあげた。
「おかえりなさーぁい!」
次の瞬間、裕太は歓声を上げながら、まりが転がるような勢いで部屋を飛び出した。
どどどどっと階段を駆け下りる裕太の背中を、周平は冷ややかと思えるほど、静かな瞳で見送った。
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「なんで――なんで、外で遊んじゃダメなの、やだヤダやだ――外で遊びたいぃぃー!!」
裕太はフローリングの床に引っ繰り返って、手足をばたばたと打ち付けた。
「裕太……だから何度も言っただろう、これは罰だよ。昨日買い物に出たとき、お前は兄ちゃんに黙って、遠くに行っちゃただろう、だからそれが反省できるまで、しばらくは外出禁止」
「反省したもん、ごめんなさいって言ったもん、だからもういいでしょ? ね、兄ちゃん」
大きな瞳に涙を一杯ためて、裕太が周平のパンツの裾にすがった。
いつもなら、裕太がここまでごねれば、「仕方がないな」と、苦笑交じりに周平は妥協しているところだろう。
しかし今日は違った。
裕太の涙交じりの懇願にも、決して首を縦には振らなかった。
「ダメだよ裕太」
周平はきっぱりと言った。
「だって、だって、さっき諒が、遊ぼって誘いに来たんだもん、だから……だから、行きた――」
裕太はそこで言葉を詰まらせた。
周平の厳しい目に、ぐぐっと口をへの字に曲げると、次の瞬間うわぁんと弾かれたように泣き出した。
「さあ……裕太。いい子だから、今日は大人しく家で遊びなさい――庭には出ても良いから」
ぽろぽろと零れる大粒の涙を、周平の指がぬぐった。
周平は裕太が泣き疲れて眠ってしまうまで、その小さな頭を抱いていた。
yuuta_16.gif「チョコレート取ってきていい?」
裕太が、周平のシャツのすそを引いた。
買い物籠の入ったカートを押す手を止めて、周平は裕太を見下ろした。
「ね、イチゴが入ってるの、チョコレートがかかってるやつ」
裕太はキラキラと期待に満ちた眼差しで、周平を見上げた。
この天国屋系列のスーパー、「オーガニック・ガーデン」は国産品を中心に取り扱う、いわゆる「高質食品スーパーマーケット」で、ここでしか売っていない、ロイズのキッズチョコレートは、裕太の大好物なのだ。
周平は笑って頷いた。
「いいよ、取っておいで」
裕太はぱっと目を輝かせると、転がるようにして、菓子売り場へと駆けだした。
「危ないから、走っちゃダメだよ」
周平の声に、裕太は後ろを向いたまま、両手を振った。
syuuhei_and_yuuta_08.gif「俺の側に居てくれ」
間髪を入れずに、周平は答えた。
「うん、居るよ。それで?」
「ずっと、ずっと…………ずっと――居てくれ」
「うん? ずっと、ずっと、ずーっと、居るよ。だから、それから?」
じれて身を揺すった裕太に、周平はくすぐったそうに、目を細めた。
「そうだな、それから……俺が家に帰ったら、おかえりって言って、迎えて欲しいな」
「? それ……いつも、してるけど……」
「そして、家を出るときには、いってらっしゃいって、送り出して欲しい」
「え……でも、朝出るの俺のほうが先だし――どうしよう……」
「じゃあ、まあ……これは、お前が学校を卒業してからで良いか」
困惑して考え込んでしまった裕太に、周平は苦笑して肩をすくめた。
「うん、わかった、卒業したらね……で、それから?」
もっとないのと、裕太は目を輝かせた。
「……滝沢って、俺と同い年なんだよ? でもこうやって、兄ちゃんに認められるぐらい、もうちゃんと、一人前なんだよ……すごいよね……」
俺とは違ってと、最後に消え入るような声で付け加えられた言葉を、周平は聞き逃さなかった。
「裕太……お前は、滝沢君と自分を比べてるのか?」
「比べてる? そうなのかな……どうなんだろ、わかんない…………」
周平の質問に、裕太は小さく首をかしげた。
「裕太、前にも言ったと思うけど、滝沢君とお前は住む世界が違うんだ。彼の価値観に引きずられるな。お前は、お前らしくあればそれでいいんだ」
断固とした強い口調で言い切った周平に、裕太はびくっと肩を震わせた。
「お、俺らしく…………?」
わからないと、不安げに瞳を揺らした裕太に、慈しむような視線で周平は答えた。
「滝沢君の代わりは幾らでもいる。例えば、今日彼が死んでも、明日にはその空いた席に、次の誰かが座ってる。モデルって言うのはそういう世界だ……でも、お前は違う、お前の代わりはいない、そうだろう?」
勝手に殺されてしまった滝沢は、いい面の皮だが、しかし周平の思いだけは確実に伝わった。
「兄ちゃん……兄ちゃん、でも……でも、俺……なんにもわかんないし、なんにも出来ないし…………」
裕太は涙をこらえるように、くっと下唇を噛んて俯いた。
「裕太には、裕太にしか出来ないことがあるのに、それも、わからないのか?」
ぐずる子供をあやすように、ほら笑ってと、周平は裕太の耳たぶを優しく、くすぐった。
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