BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2007/11/13 (Tue)
リビングのソファで膝を抱えて考え込んでいた俺は「ただいま」と言った兄ちゃんの声で、ようやく点けっ放しにしていたテレビが、いつのまにか消されていることに気が付いた。
「……あ、兄ちゃん……お帰りなさい……」
会社から帰ったばかりなのだろう、スーツ姿のまま俺の前に屈み込んでいた兄ちゃんは、そんな心ここにあらずといった具合の俺の返事を聞くと、手にしていたリモコンをテーブルの上に戻して、俺の隣に腰掛けた。
「どうした、裕太? 元気がないな」
ネクタイを緩めながら、まるで駄々をこねてる子供をあやすみたいな口調でそう言って、兄ちゃんは俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。
俺はそんな兄ちゃんに反発したくて、わざとぞんざいな口調を作ると「なんでもない」と、ぷいと横を向いて見せた。
だって、俺が考え込んでいたのは、まさにこういう兄ちゃんの態度についてだったんだから。
「……あ、兄ちゃん……お帰りなさい……」
会社から帰ったばかりなのだろう、スーツ姿のまま俺の前に屈み込んでいた兄ちゃんは、そんな心ここにあらずといった具合の俺の返事を聞くと、手にしていたリモコンをテーブルの上に戻して、俺の隣に腰掛けた。
「どうした、裕太? 元気がないな」
ネクタイを緩めながら、まるで駄々をこねてる子供をあやすみたいな口調でそう言って、兄ちゃんは俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。
俺はそんな兄ちゃんに反発したくて、わざとぞんざいな口調を作ると「なんでもない」と、ぷいと横を向いて見せた。
だって、俺が考え込んでいたのは、まさにこういう兄ちゃんの態度についてだったんだから。
あのアパートで一人暮らししてた頃には、料理だって洗濯だって、電気とかガスの払い込みだって、全部自分でやってたのに、兄ちゃんが東京に帰ってきてからは、本当に、それこそ箸の上げ下げまで代わりにやってくれるんじゃないかってぐらい、兄ちゃんは俺に何もさせてくれない。
(だから諒に「お前はいつまでたってもアイツの言いなり」なんて言われちゃうんだ)
俺は今日学校で言われたことを思い出して、兄ちゃんにもう自分は子供じゃないってことを分からせようと、一生懸命突っ張って見せた。
「兄ちゃんには関係ないんだから、放って置いてよ」
そんな俺の態度をどう思ったのか、兄ちゃんは少し困ったように笑うと「そうか、なんだか寂しいな」と穏やかな声で言った。
その声が本当に寂しそうだったから、俺は自分が張った精一杯の虚勢も忘れて、思わずはっと顔を上げてしまった。
「ん? どうした、裕太。俺には秘密なんだろ?」
俺と目が合うと、兄ちゃんはやっぱり少し困ったような顔をして、首を傾ける。
「あ、別に……秘密ってわけじゃ……」
兄ちゃんにこんな顔されると、俺だって困る。
ここで兄ちゃんが、母さんがするみたいに「どうしたの、なにがあったの、何で言えないの」なんて俺に詰め寄ってきたなら、俺だって「うるさい、かまうな」なんて、ホームドラマ定番の台詞で返せるのに、これじゃあ反発のしようがない。
そうすると俺は「兄ちゃんと戦ってやるぞ」なんて気持ちになって、一人で勝手に盛り上がっていた自分が、急に恥ずかしくなった。
(だいたい兄ちゃんはいつだって俺の味方に決まってるんだから「兄ちゃんと戦う」なんて、そのほうがずっと子供っぽいじゃないか)
俺は自分の態度をそう反省すると、さっきと同じ様子で俺を見つめている兄ちゃんに向き直った。
「ごめん、兄ちゃん。オレ兄ちゃんの言いなりじゃいけないって考えてたから……」
俺がそこまで言うと、兄ちゃんの顔が途端に怖くなった。
「諒か」
さっきまで俺の馬鹿な態度にも、穏やかな調子を変えなかった兄ちゃんの声色が、急に厳しいものに変わった。
「諒がまたお前に、何かおかしなことを吹き込んだんだな」
「えっ……」
俺は兄ちゃんに図星を指されて固まってしまった。
返事がないのは「YES」の証拠とばかりに、兄ちゃんは俺の肩を掴むと額をくっつけるようにして俺の目を覗き込んだ。
「何を言われた」
(オレ諒のことなんか一言も言ってないのに……)
諒といい兄ちゃんといい、こう察しのいい人間ばかりだと、オレは一つの隠し事だって出来やしない。
「あ……別に、変なことじゃなくて、ただ……忘れちゃダメだって」
オレは兄ちゃんの迫力に押されて、つい口を開いてしまった。
「忘れちゃダメ?」
「うん、ほらオレっていろんなことすぐ忘れるでしょ、嫌だったこととか、辛かったこととか……それはダメだって、自分の為にならないって……」
兄ちゃんと諒は何故か仲が悪いみたいだから、俺はなるべく波風が立たないよう気を使って言葉を選んだつもりだったけど、あまり効果はなかったようだ。
俺の話を聞くと兄ちゃんはいっそう怖い顔になって「諒の言うことなんか相手にするな」と地の底に響くみたいな低い声で言った。
「お前がそういうことを忘れるのは、自己防衛なんだって、言っただろう? 傷つきすぎて心がダメにならないように、自分を守るためにそうしてるんだ。悪いことじゃない。むしろそうするのがお前の為なんだよ」
「そ、そうなのかな……」
兄ちゃんがそんなふうに言うんだったら、やっぱりそうなのかもしれないと思いかけた所で、俺の頭の中に「またお前はすぐに流されて」という諒の怒ったような声が響いた。
「――で、でも…………」
(だから諒に「お前はいつまでたってもアイツの言いなり」なんて言われちゃうんだ)
俺は今日学校で言われたことを思い出して、兄ちゃんにもう自分は子供じゃないってことを分からせようと、一生懸命突っ張って見せた。
「兄ちゃんには関係ないんだから、放って置いてよ」
そんな俺の態度をどう思ったのか、兄ちゃんは少し困ったように笑うと「そうか、なんだか寂しいな」と穏やかな声で言った。
その声が本当に寂しそうだったから、俺は自分が張った精一杯の虚勢も忘れて、思わずはっと顔を上げてしまった。
「ん? どうした、裕太。俺には秘密なんだろ?」
俺と目が合うと、兄ちゃんはやっぱり少し困ったような顔をして、首を傾ける。
「あ、別に……秘密ってわけじゃ……」
兄ちゃんにこんな顔されると、俺だって困る。
ここで兄ちゃんが、母さんがするみたいに「どうしたの、なにがあったの、何で言えないの」なんて俺に詰め寄ってきたなら、俺だって「うるさい、かまうな」なんて、ホームドラマ定番の台詞で返せるのに、これじゃあ反発のしようがない。
そうすると俺は「兄ちゃんと戦ってやるぞ」なんて気持ちになって、一人で勝手に盛り上がっていた自分が、急に恥ずかしくなった。
(だいたい兄ちゃんはいつだって俺の味方に決まってるんだから「兄ちゃんと戦う」なんて、そのほうがずっと子供っぽいじゃないか)
俺は自分の態度をそう反省すると、さっきと同じ様子で俺を見つめている兄ちゃんに向き直った。
「ごめん、兄ちゃん。オレ兄ちゃんの言いなりじゃいけないって考えてたから……」
俺がそこまで言うと、兄ちゃんの顔が途端に怖くなった。
「諒か」
さっきまで俺の馬鹿な態度にも、穏やかな調子を変えなかった兄ちゃんの声色が、急に厳しいものに変わった。
「諒がまたお前に、何かおかしなことを吹き込んだんだな」
「えっ……」
俺は兄ちゃんに図星を指されて固まってしまった。
返事がないのは「YES」の証拠とばかりに、兄ちゃんは俺の肩を掴むと額をくっつけるようにして俺の目を覗き込んだ。
「何を言われた」
(オレ諒のことなんか一言も言ってないのに……)
諒といい兄ちゃんといい、こう察しのいい人間ばかりだと、オレは一つの隠し事だって出来やしない。
「あ……別に、変なことじゃなくて、ただ……忘れちゃダメだって」
オレは兄ちゃんの迫力に押されて、つい口を開いてしまった。
「忘れちゃダメ?」
「うん、ほらオレっていろんなことすぐ忘れるでしょ、嫌だったこととか、辛かったこととか……それはダメだって、自分の為にならないって……」
兄ちゃんと諒は何故か仲が悪いみたいだから、俺はなるべく波風が立たないよう気を使って言葉を選んだつもりだったけど、あまり効果はなかったようだ。
俺の話を聞くと兄ちゃんはいっそう怖い顔になって「諒の言うことなんか相手にするな」と地の底に響くみたいな低い声で言った。
「お前がそういうことを忘れるのは、自己防衛なんだって、言っただろう? 傷つきすぎて心がダメにならないように、自分を守るためにそうしてるんだ。悪いことじゃない。むしろそうするのがお前の為なんだよ」
「そ、そうなのかな……」
兄ちゃんがそんなふうに言うんだったら、やっぱりそうなのかもしれないと思いかけた所で、俺の頭の中に「またお前はすぐに流されて」という諒の怒ったような声が響いた。
「――で、でも…………」
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