BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2008/02/26 (Tue)
――周平19歳の夏。
そのとき裕太は8歳、小学3年生だった。
*
両親は二人の息子が夏季休暇に入ったのと同時に、二週間の長期バカンスへ出かけた。
北欧の夏を楽しんでくると、青年のように歯を見せて笑った父親と、新婚みたいねと、小娘のようにはしゃぐ母親とを、成田で見送ったのは三日前のこと。
子供を……特にまだ幼く、体の弱い裕太を置いて、長い旅行に行くことを母親は心配したが、「俺に任せておけば大丈夫」と周平が説得した。
強い意志を込めた目と、自信に溢れる笑顔で肯けば、「たしかにそうだろう」と、周囲が納得せざるを得ないほどの、信頼と実績が周平にはあった。
長い年月をかけて、こつこつと積み上げてきたそれが、周平の最大の武器だった。
そのとき裕太は8歳、小学3年生だった。
*
両親は二人の息子が夏季休暇に入ったのと同時に、二週間の長期バカンスへ出かけた。
北欧の夏を楽しんでくると、青年のように歯を見せて笑った父親と、新婚みたいねと、小娘のようにはしゃぐ母親とを、成田で見送ったのは三日前のこと。
子供を……特にまだ幼く、体の弱い裕太を置いて、長い旅行に行くことを母親は心配したが、「俺に任せておけば大丈夫」と周平が説得した。
強い意志を込めた目と、自信に溢れる笑顔で肯けば、「たしかにそうだろう」と、周囲が納得せざるを得ないほどの、信頼と実績が周平にはあった。
長い年月をかけて、こつこつと積み上げてきたそれが、周平の最大の武器だった。
「兄ちゃん、どうしたの……?」
オレンジジュースの入ったコップの影から、半分だけ顔を覗かせて、裕太が聞いた。
裕太と二人きりの環境と、それをなさしめた自分の力に、一人ほくそ笑んでいた周平は、こわごわといったぐあいに見つめてくる裕太の視線に、はっと我に返った。
「――――っと、なに、裕太、どうした?」
周平は慌てて、表情を取り繕った。
覗き込むもの全てを取り込んでしまう深淵のように、異様な迫力に満ちていた周平の目が、裕太にだけ特別に見せる、甘い微笑へと変わった。
「……なんか、兄ちゃん怖い顔してた……」
裕太がすねたように言った。
「そうか? ごめん裕太、怖くないよ、ちょっと考え事してただけ」
「考え事?」
「えーっと……そう、お昼食べたら、買い物に行こうかなって、考えてたんだ」
買い物と聞いて、裕太の目が光った。
「兄ちゃん、裕太も行く! 裕太も一緒に、連れて行って!」
ガタンと椅子を鳴らして裕太が立ち上がった拍子に、手元のコップが倒れた。
あっと思うまもなく、テーブルクロスに広がったオレンジの染みに、周平は笑った。
「大丈夫だよ、俺が裕太を置いていくはずないだろ、一緒に行こうな」
周平は「ダメだろ、こんなことして」とも「あーあ、ジュースがもったいない」とも言わなかった。
そんな小さなことは、周平にはどうでもいいことだった。
裕太が、自分と一緒にいたいと、そうねだったことの方が、遥かに重要だった。
周平は、二人きりの時間と、可愛らしい弟に、心の底から感謝した。
オレンジジュースの入ったコップの影から、半分だけ顔を覗かせて、裕太が聞いた。
裕太と二人きりの環境と、それをなさしめた自分の力に、一人ほくそ笑んでいた周平は、こわごわといったぐあいに見つめてくる裕太の視線に、はっと我に返った。
「――――っと、なに、裕太、どうした?」
周平は慌てて、表情を取り繕った。
覗き込むもの全てを取り込んでしまう深淵のように、異様な迫力に満ちていた周平の目が、裕太にだけ特別に見せる、甘い微笑へと変わった。
「……なんか、兄ちゃん怖い顔してた……」
裕太がすねたように言った。
「そうか? ごめん裕太、怖くないよ、ちょっと考え事してただけ」
「考え事?」
「えーっと……そう、お昼食べたら、買い物に行こうかなって、考えてたんだ」
買い物と聞いて、裕太の目が光った。
「兄ちゃん、裕太も行く! 裕太も一緒に、連れて行って!」
ガタンと椅子を鳴らして裕太が立ち上がった拍子に、手元のコップが倒れた。
あっと思うまもなく、テーブルクロスに広がったオレンジの染みに、周平は笑った。
「大丈夫だよ、俺が裕太を置いていくはずないだろ、一緒に行こうな」
周平は「ダメだろ、こんなことして」とも「あーあ、ジュースがもったいない」とも言わなかった。
そんな小さなことは、周平にはどうでもいいことだった。
裕太が、自分と一緒にいたいと、そうねだったことの方が、遥かに重要だった。
周平は、二人きりの時間と、可愛らしい弟に、心の底から感謝した。
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