BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
好き:甘々、主人公総受け
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2008/09/03 (Wed)
「――――どうして、そんな危ないことを」
周平はしばらく絶句した後、ようやく搾り出すように言った。
「なにかあったらどうするんだ、危ないことは絶対にしないって、兄ちゃんとの約束だろ?」
「だって、危なくないもん」
「迷子になったらどうする」
「人に聞くから大丈夫」
自信たっぷりで胸を張った裕太に、周平は顔をしかめた。
確かに、人見知りしない裕太のことだから、通りすがりの人を捕まえて道を聞くのは、何でもない事だろう。
しかし、周平に言わせれば、正にそれこそが「危ないこと」なのだった。
親切ごかしの薄笑いで「案内してあげる」とでも言われれば、裕太は何の疑いもなく付いて行ってしまうに違いないのだ。
その先に待っているものが、何なのか――それを想像することが出来ない裕太に、周平の心配はわからない。
そういった単純さを、周平は心の底から愛おしいと思っていたが、それも裕太の全てが、自分の手の内に収まっているとの確信があればこそだ。
名古屋と東京で、遠く離ればなれになっている今、そんな無謀を「かわいい」と笑って見守れるほどの余裕は、周平にはなかった。
どんなに裕太を思っていても、周平の背中に翼がない以上、空を飛んで助けに行くことは出来ないのだ。
周平はしばらく絶句した後、ようやく搾り出すように言った。
「なにかあったらどうするんだ、危ないことは絶対にしないって、兄ちゃんとの約束だろ?」
「だって、危なくないもん」
「迷子になったらどうする」
「人に聞くから大丈夫」
自信たっぷりで胸を張った裕太に、周平は顔をしかめた。
確かに、人見知りしない裕太のことだから、通りすがりの人を捕まえて道を聞くのは、何でもない事だろう。
しかし、周平に言わせれば、正にそれこそが「危ないこと」なのだった。
親切ごかしの薄笑いで「案内してあげる」とでも言われれば、裕太は何の疑いもなく付いて行ってしまうに違いないのだ。
その先に待っているものが、何なのか――それを想像することが出来ない裕太に、周平の心配はわからない。
そういった単純さを、周平は心の底から愛おしいと思っていたが、それも裕太の全てが、自分の手の内に収まっているとの確信があればこそだ。
名古屋と東京で、遠く離ればなれになっている今、そんな無謀を「かわいい」と笑って見守れるほどの余裕は、周平にはなかった。
どんなに裕太を思っていても、周平の背中に翼がない以上、空を飛んで助けに行くことは出来ないのだ。
「裕太、あのな……」
「うん、なに?」
困り顔の周平を前に、裕太は上機嫌だった。
自分の行動で周平を驚かせたことが、面白くてしょうがないのだろう。
両手で押さえた口元から、くふくふと笑いが零れている。
周平は片膝を折ると、真剣な表情で裕太の肩を引き寄せた。
「なあ、裕太。兄ちゃんは、いま名古屋にいるだろ」
「え? いまはここにいるでしょ?」
「今日は、休みで一日帰ってきただけで、明日にはまた向こうに戻らなきゃならないんだ」
「うん、今度はいつ帰ってくるの?」
「――裕太」
「うん」
「兄ちゃんも、いつでもお前の側にいてやりたいけど、今はちょっと無理なんだ」
「わかってる、仕事だもんね」
大丈夫だよ、と裕太は頷いた。
「兄ちゃん一人で頑張ってるんだから、オレもちゃんと我慢できるよ」
それは、母親が裕太の我がままをなだめるために、日常口にしている言葉を、そのまま繰り返したに過ぎなかったが、やはりそのけなげな姿は、周平の胸を打たずにはおらなかった。
裕太の肩を包む手のひらに、少しだけ力が込もる。
「――裕太は、本当に、いいこだな……」
「うん、兄ちゃんも、いいこだよ。100点だよ」
「100点か、それはすごい」
周平は思わず苦笑した。
裕太もにこっと笑い返すと、周平の胸に人差し指を押し当て、シャツの上にぐるぐると円を描いた。
「はい、ハナマルあげますよ」
裕太は担任教師の口真似をして言った。
周平は瞬間くっと息を詰めたが、とうとう我慢しきれずに噴き出した。
裕太のくれたハナマルを、小さな手のひらごと押し包むと、額が付くほど顔を近づける。
「ありがとう、裕太。兄ちゃん、凄く嬉しいよ」
「うん、いいよ」
ふふふ、と得意げに笑った裕太の息が、周平の口元にかかった。
甘い香りが周平を包んだ。
裕太の空気を読まない無邪気さに引っ張られて、話の筋はどんどん脇道へと逸れてしまっていたが、周平の心は晴れやかだった。
ただそこに居るだけで、周平を幸せにしてしまう何かが、裕太にはあった。
「うん、なに?」
困り顔の周平を前に、裕太は上機嫌だった。
自分の行動で周平を驚かせたことが、面白くてしょうがないのだろう。
両手で押さえた口元から、くふくふと笑いが零れている。
周平は片膝を折ると、真剣な表情で裕太の肩を引き寄せた。
「なあ、裕太。兄ちゃんは、いま名古屋にいるだろ」
「え? いまはここにいるでしょ?」
「今日は、休みで一日帰ってきただけで、明日にはまた向こうに戻らなきゃならないんだ」
「うん、今度はいつ帰ってくるの?」
「――裕太」
「うん」
「兄ちゃんも、いつでもお前の側にいてやりたいけど、今はちょっと無理なんだ」
「わかってる、仕事だもんね」
大丈夫だよ、と裕太は頷いた。
「兄ちゃん一人で頑張ってるんだから、オレもちゃんと我慢できるよ」
それは、母親が裕太の我がままをなだめるために、日常口にしている言葉を、そのまま繰り返したに過ぎなかったが、やはりそのけなげな姿は、周平の胸を打たずにはおらなかった。
裕太の肩を包む手のひらに、少しだけ力が込もる。
「――裕太は、本当に、いいこだな……」
「うん、兄ちゃんも、いいこだよ。100点だよ」
「100点か、それはすごい」
周平は思わず苦笑した。
裕太もにこっと笑い返すと、周平の胸に人差し指を押し当て、シャツの上にぐるぐると円を描いた。
「はい、ハナマルあげますよ」
裕太は担任教師の口真似をして言った。
周平は瞬間くっと息を詰めたが、とうとう我慢しきれずに噴き出した。
裕太のくれたハナマルを、小さな手のひらごと押し包むと、額が付くほど顔を近づける。
「ありがとう、裕太。兄ちゃん、凄く嬉しいよ」
「うん、いいよ」
ふふふ、と得意げに笑った裕太の息が、周平の口元にかかった。
甘い香りが周平を包んだ。
裕太の空気を読まない無邪気さに引っ張られて、話の筋はどんどん脇道へと逸れてしまっていたが、周平の心は晴れやかだった。
ただそこに居るだけで、周平を幸せにしてしまう何かが、裕太にはあった。
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