BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
自己紹介
名前:うさこ
萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
好き:甘々、主人公総受け
嫌い:イタい子
イチオシ:安元洋貴ボイズ
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2008/11/16 (Sun)
「……なんでオレが、こんな格好……」
裕太はワンピースの短すぎる裾を引っ張って、唇をかんだ。
美しく波打つフレアーの下から、すーすーと冷たい空気が入り込んで、生身の足を冷やしていく。
攫われるようにして、池袋の天国屋メンズ館に連れてこられた裕太は、オープン記念のショーの舞台裏で、光貴の着せ替え人形にされていた。
「KOKIさん……あの、オレ……」
「カワイイわぁ~、裕太ちゃん」
野太い地声を甲高く装って、光貴が歓声を上げる。
両手を合わせてクネクネと腰をひねる仕草は、女々しいと言うよりも、むしろ堂に入っていて、迫力すらある。
「やっぱりアタシの思った通りよぉ~、本当の女の子みたいじゃない」
「うぅ……」
光貴のテンションに、当然、裕太はついて行けない。
どうして女の子はこんな薄い布一枚で、平気で外を歩けるんだろう、と裕太はその心許ない感覚に、もじもじと膝をすり合わせた。
「あの……もう、いいですか……オレ、着替えて……」
「あら、どうして?」
「ど、どうしてって……」
意味が分からない、と大きく目を見開いた光貴に、裕太は返答に詰まった。
そんなの当たり前だ、と言い返したかったが、光貴には最初からそういう常識的な価値観を受け入れるつもりがないのだ。
そういう相手に向かって、論理を組み立て反論するのは、裕太のもっとも苦手とする所だった。
「えっと……それは、だから……恥ずかしいし……」
「あら、恥ずかしくなんてないわ! 大丈夫よ、すっごく似合ってる、本当にアタシの理想そのもの!」
「な、なんですか、理想って……」
身を乗り出して力説する光貴の勢いに押されて、裕太はのけぞった。
真っ赤に染めた髪とピタピタのレザーパンツ、そして奇妙なオカマ言葉がトレードマークである光貴の「理想」だと言われて、素直に喜ぶのには抵抗があるが、そんな風に思われるのは迷惑だ、ときっぱり言い切ってしまう勇気もない。
答えに迷う裕太を見下ろして、光貴はぺろりと舌なめずりした。
「真に存在するものを示す事実を拒否する属性」
「しんに……きょひ……、え? え?」
目を白黒させて聞き返した裕太に、光貴はウフフと含みのある笑みを浮かべた。
「服を変えるだけで、男にも女にもなれるなんて、ステキじゃない?」
「す、すてき……ですか……」
「ステキよぉ~」
光貴は大きく頷くと、ほら、とTシャツの袖をまくって腕を折り曲げて見せた。
ぶ厚い肩から突き出たたくましい二の腕に、筋肉が盛り上がる。
「アタシなんか服どころか、体いじったって女になんか見えないもの。だから本当に裕太ちゃんが羨ましいの」
急にしんみりとした調子になった光貴の言葉に、裕太はドキリとした。
人のことなどお構いなしで、自由気ままに振舞っているように見える光貴にも、心の奥底には、何か人には言えない深い思い抱えているのかもしれない……と、そんな風に思ってしまえば、裕太の性格上、もう抵抗することはできなかった。
「……そうなん、ですか……」
「そうなのよぉ~、だから裕太ちゃんは自信を持って!」
光貴は裕太の手を取ると、ステキよステキよ、と鏡の前をぐるぐると回った。
そう広くもないバックステージの、しかも慌しい現場の中心だったが、はしゃぐ光貴に口を挟む勇気があるのもは誰もいない。
出番の終わったモデルも、後片付けを始めたスタッフ達も皆、半ば面白そうに、半ば恐々といった様子で遠巻きに伺っている。
突然入り込んできた部外者の存在を不快に思わないはずはないが、それが滝沢と、そして光貴の連れであると知ると、ああなるほど、と頷きあって口をつぐんだ。
自ら好んで火中の栗を拾いたがるような世渡り下手では、この業界で生き残っていくことは難しいのだ。
裕太はワンピースの短すぎる裾を引っ張って、唇をかんだ。
美しく波打つフレアーの下から、すーすーと冷たい空気が入り込んで、生身の足を冷やしていく。
攫われるようにして、池袋の天国屋メンズ館に連れてこられた裕太は、オープン記念のショーの舞台裏で、光貴の着せ替え人形にされていた。
「KOKIさん……あの、オレ……」
「カワイイわぁ~、裕太ちゃん」
野太い地声を甲高く装って、光貴が歓声を上げる。
両手を合わせてクネクネと腰をひねる仕草は、女々しいと言うよりも、むしろ堂に入っていて、迫力すらある。
「やっぱりアタシの思った通りよぉ~、本当の女の子みたいじゃない」
「うぅ……」
光貴のテンションに、当然、裕太はついて行けない。
どうして女の子はこんな薄い布一枚で、平気で外を歩けるんだろう、と裕太はその心許ない感覚に、もじもじと膝をすり合わせた。
「あの……もう、いいですか……オレ、着替えて……」
「あら、どうして?」
「ど、どうしてって……」
意味が分からない、と大きく目を見開いた光貴に、裕太は返答に詰まった。
そんなの当たり前だ、と言い返したかったが、光貴には最初からそういう常識的な価値観を受け入れるつもりがないのだ。
そういう相手に向かって、論理を組み立て反論するのは、裕太のもっとも苦手とする所だった。
「えっと……それは、だから……恥ずかしいし……」
「あら、恥ずかしくなんてないわ! 大丈夫よ、すっごく似合ってる、本当にアタシの理想そのもの!」
「な、なんですか、理想って……」
身を乗り出して力説する光貴の勢いに押されて、裕太はのけぞった。
真っ赤に染めた髪とピタピタのレザーパンツ、そして奇妙なオカマ言葉がトレードマークである光貴の「理想」だと言われて、素直に喜ぶのには抵抗があるが、そんな風に思われるのは迷惑だ、ときっぱり言い切ってしまう勇気もない。
答えに迷う裕太を見下ろして、光貴はぺろりと舌なめずりした。
「真に存在するものを示す事実を拒否する属性」
「しんに……きょひ……、え? え?」
目を白黒させて聞き返した裕太に、光貴はウフフと含みのある笑みを浮かべた。
「服を変えるだけで、男にも女にもなれるなんて、ステキじゃない?」
「す、すてき……ですか……」
「ステキよぉ~」
光貴は大きく頷くと、ほら、とTシャツの袖をまくって腕を折り曲げて見せた。
ぶ厚い肩から突き出たたくましい二の腕に、筋肉が盛り上がる。
「アタシなんか服どころか、体いじったって女になんか見えないもの。だから本当に裕太ちゃんが羨ましいの」
急にしんみりとした調子になった光貴の言葉に、裕太はドキリとした。
人のことなどお構いなしで、自由気ままに振舞っているように見える光貴にも、心の奥底には、何か人には言えない深い思い抱えているのかもしれない……と、そんな風に思ってしまえば、裕太の性格上、もう抵抗することはできなかった。
「……そうなん、ですか……」
「そうなのよぉ~、だから裕太ちゃんは自信を持って!」
光貴は裕太の手を取ると、ステキよステキよ、と鏡の前をぐるぐると回った。
そう広くもないバックステージの、しかも慌しい現場の中心だったが、はしゃぐ光貴に口を挟む勇気があるのもは誰もいない。
出番の終わったモデルも、後片付けを始めたスタッフ達も皆、半ば面白そうに、半ば恐々といった様子で遠巻きに伺っている。
突然入り込んできた部外者の存在を不快に思わないはずはないが、それが滝沢と、そして光貴の連れであると知ると、ああなるほど、と頷きあって口をつぐんだ。
自ら好んで火中の栗を拾いたがるような世渡り下手では、この業界で生き残っていくことは難しいのだ。
「マジで、シャレになってねーし」
けだるげな声に、遠巻きに見守っていたモデル達の一角が割れた。
ショーのトリを飾った滝沢が、ステージから戻って来たのだ。
「あ~ら、蓮ちゃん、オツカレさまぁ~」
鼻にかかった光貴からの呼びかけを、滝沢は完全に無視した。
裕太を無遠慮に眺め回しながら、衣装のフォーマルスーツに合わせて、かっちりと固めらた金髪を、くしゃくしゃと手櫛で散らす。
「どうかしら? アタシの見立ては」
「ふーん、なるほどねぇー」
翠の瞳に舐めるような視線で見下ろされて、裕太は真っ赤になった。
光貴に対しては腰が引けてしまう分、同級生で、友人でもある――と裕太は信じている――滝沢に対しては、遠慮がなくなるのだろう、ぷっと頬を膨らませて睨み返した。
「ななな、なんだよ、滝沢っ! なんか言いたいことでもあるのかよっ!」
「べっつにー、なんもねーけど」
「だ、だったら、変な目で見るなよな!」
「これ、生まれつき」
「ぅぐ……」
言い込められた裕太は、ぷいと視線をそらして後ろを向いた。
メイク台のミラーに、薄手のワンピースを着た細身のシルエットが映る。
大柄な光貴と滝沢の間に挟まれると、裕太の華奢なラインがいっそう際立って見えた。
「お前、なにムキになってんの」
滝沢は鏡の中で裕太と視線を合わせて、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべた。
例のごとく、人を小馬鹿にしたような笑いだったが、それは裕太の服装よりも、むしろその過剰な反応のほうを面白がっているようだった。
「む、ムキになんて……なってない……」
「あ、そ、ならギャーギャー喚くなよ。ヒステリーは廣瀬一人でじゅうぶんだ」
ぐっと、悔しげに唇をかんだ裕太の肩を、滝沢が引き寄せる。
「な、なんだよっ」
「だから喚くなって。別にいいんじゃね、似合ってるし」
「でしょ? イケてるでしょ? よかったわね~、裕太ちゃん!」
「いや……でも、そういう問題じゃ……」
「あら、そういう問題よ。ね、蓮ちゃん」
「服なんて、似合ってるか、似合ってねーかしかないだろうが」
ほかに何があるんだよ、と滝沢は当然のように吐き捨てる。
実際、与えられた服を黙って身に着けるのが仕事の滝沢にとっては、裕太の衣装がスカートだろうが、ズボンだろうが、それはたいした問題ではないのだろう。
常識が通用しない光貴と滝沢の反応に、裕太の価値観がぐらぐらと揺らいだ。
流されるんじゃない、と叱ってくれる諒も、住む世界が違うんだ、と諭してくれる周平もここにはいない。
非常識な二人に囲まれていると、むしろ間違っているのは自分のほうなのではないか、という気すらしてくる。
黙ってしまった裕太の肩を、滝沢が押した。
「そんなのどうでもいいだろ。俺、仕事終わったんだよ。せっかくだから遊んでこうぜ」
「いいわね~、蓮ちゃん!」
「え、遊ぶって……」
戸惑う裕太を、滝沢と光貴が両脇から挟んだ。
「ここパーティー会場だろ」
「うん……だから……?」
「騒ぐしかねーだろ」
「行きましょ、裕太ちゃん!」
「え……え、えぇぇぇっ?!」
ワンピースの裾をヒラヒラと翻して、裕太はバックステージから引きずり出された。
けだるげな声に、遠巻きに見守っていたモデル達の一角が割れた。
ショーのトリを飾った滝沢が、ステージから戻って来たのだ。
「あ~ら、蓮ちゃん、オツカレさまぁ~」
鼻にかかった光貴からの呼びかけを、滝沢は完全に無視した。
裕太を無遠慮に眺め回しながら、衣装のフォーマルスーツに合わせて、かっちりと固めらた金髪を、くしゃくしゃと手櫛で散らす。
「どうかしら? アタシの見立ては」
「ふーん、なるほどねぇー」
翠の瞳に舐めるような視線で見下ろされて、裕太は真っ赤になった。
光貴に対しては腰が引けてしまう分、同級生で、友人でもある――と裕太は信じている――滝沢に対しては、遠慮がなくなるのだろう、ぷっと頬を膨らませて睨み返した。
「ななな、なんだよ、滝沢っ! なんか言いたいことでもあるのかよっ!」
「べっつにー、なんもねーけど」
「だ、だったら、変な目で見るなよな!」
「これ、生まれつき」
「ぅぐ……」
言い込められた裕太は、ぷいと視線をそらして後ろを向いた。
メイク台のミラーに、薄手のワンピースを着た細身のシルエットが映る。
大柄な光貴と滝沢の間に挟まれると、裕太の華奢なラインがいっそう際立って見えた。
「お前、なにムキになってんの」
滝沢は鏡の中で裕太と視線を合わせて、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべた。
例のごとく、人を小馬鹿にしたような笑いだったが、それは裕太の服装よりも、むしろその過剰な反応のほうを面白がっているようだった。
「む、ムキになんて……なってない……」
「あ、そ、ならギャーギャー喚くなよ。ヒステリーは廣瀬一人でじゅうぶんだ」
ぐっと、悔しげに唇をかんだ裕太の肩を、滝沢が引き寄せる。
「な、なんだよっ」
「だから喚くなって。別にいいんじゃね、似合ってるし」
「でしょ? イケてるでしょ? よかったわね~、裕太ちゃん!」
「いや……でも、そういう問題じゃ……」
「あら、そういう問題よ。ね、蓮ちゃん」
「服なんて、似合ってるか、似合ってねーかしかないだろうが」
ほかに何があるんだよ、と滝沢は当然のように吐き捨てる。
実際、与えられた服を黙って身に着けるのが仕事の滝沢にとっては、裕太の衣装がスカートだろうが、ズボンだろうが、それはたいした問題ではないのだろう。
常識が通用しない光貴と滝沢の反応に、裕太の価値観がぐらぐらと揺らいだ。
流されるんじゃない、と叱ってくれる諒も、住む世界が違うんだ、と諭してくれる周平もここにはいない。
非常識な二人に囲まれていると、むしろ間違っているのは自分のほうなのではないか、という気すらしてくる。
黙ってしまった裕太の肩を、滝沢が押した。
「そんなのどうでもいいだろ。俺、仕事終わったんだよ。せっかくだから遊んでこうぜ」
「いいわね~、蓮ちゃん!」
「え、遊ぶって……」
戸惑う裕太を、滝沢と光貴が両脇から挟んだ。
「ここパーティー会場だろ」
「うん……だから……?」
「騒ぐしかねーだろ」
「行きましょ、裕太ちゃん!」
「え……え、えぇぇぇっ?!」
ワンピースの裾をヒラヒラと翻して、裕太はバックステージから引きずり出された。
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作中登場する組織名、人物名等は創作であり、実在のものとはいっさい関係ありません。
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商品紹介
コイビト遊戯・しおり-短編・他-
コイビト遊戯・しおり-長編-
長編
一人墜落[大貴×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
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依存症[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
一人墜落[大貴×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
蛇の林檎[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
クリスマスの箱舟[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
深呼吸[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
ピーピング・トム[周平×裕太+諒]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
日々是好日[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
災いの黒幕[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
ワガママ[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
プロメテウスの[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
携帯と夏休み[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)
依存症[周平×裕太]0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10(完)