BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/05/16 (Fri)
「こんにちは」
裕太がぺこっと頭を下げると、すっかり顔なじみになった壮年の警備員は目元をほころばせて、官帽のつばに手をあてた。
自動の回転扉から、裕太の背中にくっ付くようにして天国屋本社ビルに入ってきた男は、それに気が付くと「どうもー、お世話様でーす」と、調子のいい声を張り上げた。
「……知り合いですか? あの警備員さん」
「いや、知らない」
「え…………」
あっけに取られた裕太の頭を、男がくしゃっと撫でた。
「しかし、ホントにいいコだな裕太くんは。ちゃんと自分から挨拶できるなんて、周平の教育の賜物か?」
「ちょ、ちょっと…………あの、オレ高校生なんですけど」
裕太が迷惑そうな顔で身をよじっても、男は全く悪びれなかった。
「うん、だね。それが?」
「だ、だから、挨拶ぐらい…………」
「出来て当たり前って? それが、そうでもないんだよなー。特に、最近の若いのはね、困ったもんだよ」
「最近の……若いの…………?」
裕太がぺこっと頭を下げると、すっかり顔なじみになった壮年の警備員は目元をほころばせて、官帽のつばに手をあてた。
自動の回転扉から、裕太の背中にくっ付くようにして天国屋本社ビルに入ってきた男は、それに気が付くと「どうもー、お世話様でーす」と、調子のいい声を張り上げた。
「……知り合いですか? あの警備員さん」
「いや、知らない」
「え…………」
あっけに取られた裕太の頭を、男がくしゃっと撫でた。
「しかし、ホントにいいコだな裕太くんは。ちゃんと自分から挨拶できるなんて、周平の教育の賜物か?」
「ちょ、ちょっと…………あの、オレ高校生なんですけど」
裕太が迷惑そうな顔で身をよじっても、男は全く悪びれなかった。
「うん、だね。それが?」
「だ、だから、挨拶ぐらい…………」
「出来て当たり前って? それが、そうでもないんだよなー。特に、最近の若いのはね、困ったもんだよ」
「最近の……若いの…………?」
「あ、いま裕太くん、俺のことオヤジって思ったろ?」
図星を指されて、うっと返答に詰まった裕太に、男はいいよいいよと笑った。
「裕太君から見れば、30近い俺なんか十分オヤジさ…………それより、呼ばなくていいの?」
エントランス脇のロビースペースに並べられたソファーにどっかりと腰かけ、男は裕太を見上げた。
「はい?」
「だから、周平をさ。ほら、受付のキレーなお姉さん方が、裕太君のほう見てるよ? 何の御用ですかぁーって」
「――――」
鷹揚に足を組み、天国屋カラーの制服に身を包んだ受付嬢に向かって、ひらひらと手を振って見せた男の態度に、裕太は絶句した。
見られてるのはそっちの方だとか、兄ちゃんは時間が来れば降りてくるよとか、会いたいんだったら自分で呼べばとか、その他取り留めの無いことが、ぐるぐると頭の中を駆け巡っていたが、結局口から出たのは、うぅ、という言葉にならないうめき声だけだった。
「…………わ……わかりました、呼べばいいんでしょ…………」
「うん、うん。裕太君が、素直ないいコのままでいてくれて、おニイさんは嬉しいよ」
納得いかない思いで唇を噛んだ裕太の背中を、男は上機嫌で見送った。
*
呼び出しから程なくエントランスホールに現れた周平に、裕太は思わず駆け寄った。
「に、に、兄ちゃん」
「どうした裕太、呼び出しなんて、何かあったのか?」
「あの、あの…………」
言葉が上手くまとまらず、周平を見上げたまま口をパクパクさせる裕太の背後から、男がひょいっと顔を出した。
「よ、周平。久しぶり」
「……」
「おい、おい、おい、頼むから、お前まで忘れたとか言ってくれるなよ」
いぶかしげな顔で沈黙した周平に、男はがっくりと肩を落とした。
「あーんなに、かわいがってあげた裕太君にすっかり忘れられてて、俺、傷心なんだからさぁー」
「…………その芝居がかった態度は止めろと言っただろ、惣太郎(そうたろう)」
うんざりした溜め息と共に、周平がその名前を呼んだ。
「うっわ! お前こそ、俺を名前で呼ぶのは止めろって言っただろ。ちゃんと、京屋(きょうや)って呼んでくれ」
「…………で、京屋。いったい何の用なんだ。どうせお前が裕太を使って呼び出しさせたんだろ」
「何の用だとは、すいぶんご挨拶だなー。それが二年ぶりに会った親友に掛ける言葉かぁ?」
「誰が親友だ」
「俺おれしかいないだろ、お、れ」
京屋は自分の胸を突くと、白い歯を見せ付けるように、にいっと口を横に引き伸ばして笑った。
図星を指されて、うっと返答に詰まった裕太に、男はいいよいいよと笑った。
「裕太君から見れば、30近い俺なんか十分オヤジさ…………それより、呼ばなくていいの?」
エントランス脇のロビースペースに並べられたソファーにどっかりと腰かけ、男は裕太を見上げた。
「はい?」
「だから、周平をさ。ほら、受付のキレーなお姉さん方が、裕太君のほう見てるよ? 何の御用ですかぁーって」
「――――」
鷹揚に足を組み、天国屋カラーの制服に身を包んだ受付嬢に向かって、ひらひらと手を振って見せた男の態度に、裕太は絶句した。
見られてるのはそっちの方だとか、兄ちゃんは時間が来れば降りてくるよとか、会いたいんだったら自分で呼べばとか、その他取り留めの無いことが、ぐるぐると頭の中を駆け巡っていたが、結局口から出たのは、うぅ、という言葉にならないうめき声だけだった。
「…………わ……わかりました、呼べばいいんでしょ…………」
「うん、うん。裕太君が、素直ないいコのままでいてくれて、おニイさんは嬉しいよ」
納得いかない思いで唇を噛んだ裕太の背中を、男は上機嫌で見送った。
*
呼び出しから程なくエントランスホールに現れた周平に、裕太は思わず駆け寄った。
「に、に、兄ちゃん」
「どうした裕太、呼び出しなんて、何かあったのか?」
「あの、あの…………」
言葉が上手くまとまらず、周平を見上げたまま口をパクパクさせる裕太の背後から、男がひょいっと顔を出した。
「よ、周平。久しぶり」
「……」
「おい、おい、おい、頼むから、お前まで忘れたとか言ってくれるなよ」
いぶかしげな顔で沈黙した周平に、男はがっくりと肩を落とした。
「あーんなに、かわいがってあげた裕太君にすっかり忘れられてて、俺、傷心なんだからさぁー」
「…………その芝居がかった態度は止めろと言っただろ、惣太郎(そうたろう)」
うんざりした溜め息と共に、周平がその名前を呼んだ。
「うっわ! お前こそ、俺を名前で呼ぶのは止めろって言っただろ。ちゃんと、京屋(きょうや)って呼んでくれ」
「…………で、京屋。いったい何の用なんだ。どうせお前が裕太を使って呼び出しさせたんだろ」
「何の用だとは、すいぶんご挨拶だなー。それが二年ぶりに会った親友に掛ける言葉かぁ?」
「誰が親友だ」
「俺おれしかいないだろ、お、れ」
京屋は自分の胸を突くと、白い歯を見せ付けるように、にいっと口を横に引き伸ばして笑った。
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