BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/05/14 (Wed)
「ネェネェ、君、ちょっと」
池袋の駅前で、そんな風に声をかけてくる男が、どんな種類の人間か――そんなことぐらい、いくら世間知らずの裕太でも、さすがに知っている。
キャッチなのか、宗教なのか、セールスなのか……、そこまではわからないが、少なくとも、足を止めて話を聞くべき手合いでないことは間違いない。
裕太は、男の顔が視界に入らない程度にうつむくと、わずかに足を速めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
無視して通り過ぎようとした裕太に、男は慌てて追いすがった。
「君、裕太君だろ? 天国屋の次男坊の、藍川裕太君だよね?」
「え……」
「やっぱり、裕太くんだ」
名前を呼ばれて、思わず立ち止まった裕太に、浅黒い肌の男が、人工的なほど白い歯を見せて笑った。
短く刈り揃えられた髪と、ブルーグレーのサマースーツが、焼けた肌に良く似合う、サッカー選手のような男だった。
「いやー、大きくなったね、見違えたよ」
ぽんと嬉しそうに肩を叩いたその男を、やはり裕太は知らなかった。
池袋の駅前で、そんな風に声をかけてくる男が、どんな種類の人間か――そんなことぐらい、いくら世間知らずの裕太でも、さすがに知っている。
キャッチなのか、宗教なのか、セールスなのか……、そこまではわからないが、少なくとも、足を止めて話を聞くべき手合いでないことは間違いない。
裕太は、男の顔が視界に入らない程度にうつむくと、わずかに足を速めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
無視して通り過ぎようとした裕太に、男は慌てて追いすがった。
「君、裕太君だろ? 天国屋の次男坊の、藍川裕太君だよね?」
「え……」
「やっぱり、裕太くんだ」
名前を呼ばれて、思わず立ち止まった裕太に、浅黒い肌の男が、人工的なほど白い歯を見せて笑った。
短く刈り揃えられた髪と、ブルーグレーのサマースーツが、焼けた肌に良く似合う、サッカー選手のような男だった。
「いやー、大きくなったね、見違えたよ」
ぽんと嬉しそうに肩を叩いたその男を、やはり裕太は知らなかった。
「今、中学? もう高校かな?」
「あの……」
まるで、甥っ子にでも会ったような調子で話しかけてくる男に、裕太は戸惑った。
両親からも、兄の周平からも、同い年の諒からですら、「知らない人と口をきいては駄目だ」と、何度も何度も……何度も、口を酸っぱくして言われてきたのだが――、どうやら目の前の男は、自分のことを知ってるらしい。
こんな場合は、やっぱり「知らない人」には入らないんだよな……と、裕太は今まで教えてもらえなかった状況に、頭をひねった。
「えーっと、一応、高校です……」
「そっか、その制服は楽才かな?」
「は、はい」
「いま、一年?」
「そう、です……」
内心では居心地の悪さを感じながらも、裕太は問われるまま、正直に答えた。
あまり器用でない裕太は、こういう場合にも、適当な嘘を付いて、その場を誤魔化すということが出来ないのだ。
「ふーん、高校生か……でも、相変わらず可愛いね」
「は……」
男は、裕太の頭の天辺から爪先までを、じっとりと舐めるような視線で撫でた。
「今でもスカートはけば、女の子で通るだろ?」
「ス、スカート?!」
「絶対似合うよ。そうだ、今から俺と一緒に来ない? 服買ってあげるから」
「い、いりません」
裕太が鞄を盾に後ろへ下がると、男は、更にその隙間を詰めるように一歩進んだ。
「服はいらない? なら、お茶でもしようか。甘いもの好きだったよね? この先に、パフェのおいしい店があるんだ」
「だ、だめです、絶対、知らない人についていったらいけないって――」
「でも、俺と裕太君は、知らない仲じゃないだろ?」
「え――? そ、それは、だけど……」
裕太はオロオロと視線をさ迷わせた。
こんな誘いに乗ってはいけないということぐらい、裕太にも分かっている。
しかし、何と言って断ればいいのか……いつも、それが分らない。
もし、こういうとき諒が一緒だったら、迷うことなくきっぱりと断ってくれただろうし、周平が一緒だったら……最初からこういう男は近寄ってこないので、あまり参考にはならないが……、いずれにしても、誰もいない今は、裕太一人で、この場面に対処しなくてはならなかった。
「じゃあ、行こうか」
どうしよう、と返事を考えあぐねる裕太の脇に、男が手を滑り込ませた。
「え?」
「西口のね、マルイの直ぐ近くなんだけど――」
「ま、ま、待って……」
勝手に腕を組んで歩き出そうとした男の強引さに、裕太は焦った。
「待ってくださいっ! に、に、に、兄ちゃんに――――」
裕太は胸の内ポケットから携帯を取り出すと、まるでウルトラマンの変身アイテムのように頭上に掲げた。
「兄ちゃんに、電話して聞いてみるから! だから、待って!」
「あの……」
まるで、甥っ子にでも会ったような調子で話しかけてくる男に、裕太は戸惑った。
両親からも、兄の周平からも、同い年の諒からですら、「知らない人と口をきいては駄目だ」と、何度も何度も……何度も、口を酸っぱくして言われてきたのだが――、どうやら目の前の男は、自分のことを知ってるらしい。
こんな場合は、やっぱり「知らない人」には入らないんだよな……と、裕太は今まで教えてもらえなかった状況に、頭をひねった。
「えーっと、一応、高校です……」
「そっか、その制服は楽才かな?」
「は、はい」
「いま、一年?」
「そう、です……」
内心では居心地の悪さを感じながらも、裕太は問われるまま、正直に答えた。
あまり器用でない裕太は、こういう場合にも、適当な嘘を付いて、その場を誤魔化すということが出来ないのだ。
「ふーん、高校生か……でも、相変わらず可愛いね」
「は……」
男は、裕太の頭の天辺から爪先までを、じっとりと舐めるような視線で撫でた。
「今でもスカートはけば、女の子で通るだろ?」
「ス、スカート?!」
「絶対似合うよ。そうだ、今から俺と一緒に来ない? 服買ってあげるから」
「い、いりません」
裕太が鞄を盾に後ろへ下がると、男は、更にその隙間を詰めるように一歩進んだ。
「服はいらない? なら、お茶でもしようか。甘いもの好きだったよね? この先に、パフェのおいしい店があるんだ」
「だ、だめです、絶対、知らない人についていったらいけないって――」
「でも、俺と裕太君は、知らない仲じゃないだろ?」
「え――? そ、それは、だけど……」
裕太はオロオロと視線をさ迷わせた。
こんな誘いに乗ってはいけないということぐらい、裕太にも分かっている。
しかし、何と言って断ればいいのか……いつも、それが分らない。
もし、こういうとき諒が一緒だったら、迷うことなくきっぱりと断ってくれただろうし、周平が一緒だったら……最初からこういう男は近寄ってこないので、あまり参考にはならないが……、いずれにしても、誰もいない今は、裕太一人で、この場面に対処しなくてはならなかった。
「じゃあ、行こうか」
どうしよう、と返事を考えあぐねる裕太の脇に、男が手を滑り込ませた。
「え?」
「西口のね、マルイの直ぐ近くなんだけど――」
「ま、ま、待って……」
勝手に腕を組んで歩き出そうとした男の強引さに、裕太は焦った。
「待ってくださいっ! に、に、に、兄ちゃんに――――」
裕太は胸の内ポケットから携帯を取り出すと、まるでウルトラマンの変身アイテムのように頭上に掲げた。
「兄ちゃんに、電話して聞いてみるから! だから、待って!」
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