BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2007/11/29 (Thu)
(誘拐、されたんだ……)
周平は自分が辿り着いた結論に、目の前が真っ暗になった。
裕太はまだ三歳になったばかりで、少し長く歩かせると、すぐに「抱っこ」「おんぶ」とぐずりだす甘えん坊だった。
そんな裕太が一人で、これほど探しても見つけられないほど、遠くへ行けるはずがなかった。
(俺が、目を離したから……俺が、裕太の手を離したから……)
周平は自分の軽率な行動がもたらした恐ろしい結果に、芯から体を震わせた。
あの幼い弟の身に、いま何が起きているのかを想像すると、全身から血の気が引いた。
周平は裕太が残した小さな砂山を前に、がっくりと膝を付いた。
(ごめん裕太……ごめん……)
紅に染り、人影の消えた公園で、周平は一人、肩を震わせた。
周平は自分が辿り着いた結論に、目の前が真っ暗になった。
裕太はまだ三歳になったばかりで、少し長く歩かせると、すぐに「抱っこ」「おんぶ」とぐずりだす甘えん坊だった。
そんな裕太が一人で、これほど探しても見つけられないほど、遠くへ行けるはずがなかった。
(俺が、目を離したから……俺が、裕太の手を離したから……)
周平は自分の軽率な行動がもたらした恐ろしい結果に、芯から体を震わせた。
あの幼い弟の身に、いま何が起きているのかを想像すると、全身から血の気が引いた。
周平は裕太が残した小さな砂山を前に、がっくりと膝を付いた。
(ごめん裕太……ごめん……)
紅に染り、人影の消えた公園で、周平は一人、肩を震わせた。
友達との約束を反故にさせられたことも、周囲の愛情を裕太に取られたことも、全てどうでもいいことだった。
周平は今になってようやく、自分の胸に渦巻いていた、あの得体の知れない不快感の正体に気が付いた。
それは「嫉妬」だった。
裕太に対するではない、裕太が関心を向けるものに対する嫉妬だった。
裕太が自分を見つめ、自分に笑いかけ、自分の腕に抱くとき、周平の胸は痛まなかった。
だがいったんその関心が自分から離れ、裕太が他へ移ってゆくのを見ると、怒りとも憎しみともつかないどす黒い対流が周平の心をかき回した。
裕太に対してやった数々の嫌がらせも、今なら説明できる。
それは小学生が好きな女の子の関心を引くために、わざと意地悪するのと同じだった。
そうして裕太の目が自分を見つめると、周平は満足した。
*
自分の感情の意味も分らぬまま、腹いせにと、裕太の手を離した周平だったが、今は全てを理解していた。
(俺には裕太しかいない……父さんも、母さんも、友達も、皆どうでもいい。俺は……裕太がいればそれでいいんだ……!)
周平は膝をついていた地面を、こぶしで強く叩くと、突如として立ち上がった。
夕日に照らされたその瞳は、ギラギラと異様な輝きに満ちていた。
(裕太……ゆうた……俺の裕太……俺だけの……)
周平は左右も確認せずに走り出した。
全身から吹き出した汗も、もうぬぐおうとしなかった。
「裕太!」
カラカラに渇いた喉から、血を吐くようにして声を絞り出した。
「ゆうたー!」
それ以外の全てを忘れてしまったかのように、ひたすらに繰り返した。
そうして叫びながら、ただ闇雲に走った。
まるで、迫る夕闇の中に、自分も裕太と一緒に消えてしまいたいと、願っているようだった。
周平は今になってようやく、自分の胸に渦巻いていた、あの得体の知れない不快感の正体に気が付いた。
それは「嫉妬」だった。
裕太に対するではない、裕太が関心を向けるものに対する嫉妬だった。
裕太が自分を見つめ、自分に笑いかけ、自分の腕に抱くとき、周平の胸は痛まなかった。
だがいったんその関心が自分から離れ、裕太が他へ移ってゆくのを見ると、怒りとも憎しみともつかないどす黒い対流が周平の心をかき回した。
裕太に対してやった数々の嫌がらせも、今なら説明できる。
それは小学生が好きな女の子の関心を引くために、わざと意地悪するのと同じだった。
そうして裕太の目が自分を見つめると、周平は満足した。
*
自分の感情の意味も分らぬまま、腹いせにと、裕太の手を離した周平だったが、今は全てを理解していた。
(俺には裕太しかいない……父さんも、母さんも、友達も、皆どうでもいい。俺は……裕太がいればそれでいいんだ……!)
周平は膝をついていた地面を、こぶしで強く叩くと、突如として立ち上がった。
夕日に照らされたその瞳は、ギラギラと異様な輝きに満ちていた。
(裕太……ゆうた……俺の裕太……俺だけの……)
周平は左右も確認せずに走り出した。
全身から吹き出した汗も、もうぬぐおうとしなかった。
「裕太!」
カラカラに渇いた喉から、血を吐くようにして声を絞り出した。
「ゆうたー!」
それ以外の全てを忘れてしまったかのように、ひたすらに繰り返した。
そうして叫びながら、ただ闇雲に走った。
まるで、迫る夕闇の中に、自分も裕太と一緒に消えてしまいたいと、願っているようだった。
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