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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
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「“ファッションの天国屋”の復権か、まあ悪くは無いな」
「は……」
突然、飛んだ話に、周平は一瞬面食らった。
しかし、すぐにそれが竣工したばかりの、メンズ館を指しての言葉だと分かった。
ちょうど東口の真上になるこの場所からだと、明治通りに沿って弧を描くようにして建つ本店の全体が見渡せるのだ。
南口の端に80億円をかけて新設したメンズ館も、春先の澄んだ空気の中、実際以上に近く見えている。
「ああ、あれですか」
周平は、新館の壁を見ながら頷いた。
屋上から吊り下げられた大きなシート広告には、オープンの告知と、翠目の男性モデルの横顔。
硬いスーツを緩く着崩した立ち姿と、眉間にしわを寄せた不機嫌そうな表情は、年配者や女性からは共感を得にくいかもしれない。
しかし今の天国屋に必要なのは、まさにそういったアクの強さだと、周平は信じていた。
そして実際、今朝の会議で報告された媒体別広告効果の速報値も、その方針が間違っていなかったことを、集まった幹部全員に納得させた。
「あれは、ほんのスタートラインですよ」
周平は静かに言った。
メンズ館のプレオープンは、今週末。
しかしそれは、総額400億円をかける、天国屋本店構造改革の第一歩にすぎないのだ。
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天国屋本店は、JRと私鉄合わせて7線が乗り入れる、池袋のターミナルデパートだ。
年間来客数7千万人、営業利益率10%と、名実共に国内百貨店業界のトップを走る、天国屋の旗艦店である。
当然ながら、その店内は、平日の昼間でも人の波が途切れることはない。
従業員用のエレベーターから下りた周平は、歩きながら混雑するフロアをゆっくりと見渡した。
レストラン街のある8階は、近くのオフィスからランチを取りに来るサラリーマンと、買い物途中に立ち寄った子連れの主婦で、この時間帯はいっぱいになる。
やはり昼のサービスを充実させると集客力が……と、考えてから周平は思わず苦笑した。
市場調査に来たわけでもないのに、無意識のうちに客層や各店の入りをチェックしていた自分が、おかしかったのだ。
仕方がない、自分がこういう思考から開放されるのは、裕太と一緒にいるときだけだと、周平は軽く頭を振った。
手首の時計を確認すると、時間は約束5分前。
そろそろかと視線を向けると、まさに中央のエスカレーターから、祖父のトレードマークといっていい中折れ帽が、ゆっくりと持ち上がって来る所だった。
周平はIDカードを胸にしまうと、祖父に向かって軽く手を上げた。
「すいません、坊ちゃん、若いのがちっとやりすぎちまって」
鬼瓦顔の大男が、肩を縮込ませて畳みに手を付いた。
短く刈り込んだ後頭部に、派手な古傷が見える。
僕は写真をめくりながら、ゆっくりと足を組み替えた。
「これ……殺しては、ないんだよね」
「は、はい、もちろん。騒いだもんで、二、三発殴ったら、すぐ気を失ったんで」
「顔も、見られてない」
「はい」
「ふーん、じゃあ、まあいいよ」
僕はバサリと写真を放ると、その脇にある茶封筒を手に取った。
「とりあえず目的は達成されたし、これ持ってって。ご苦労様」
「ありがとうございます!」
組員の男は両手で押し頂くように、分厚い封筒を受け取った。
このお話は、「なんで満足にご飯が食べられないほどの極貧品生活の中で、裕太が携帯を使い続けていられたんだろう」という、疑問から生まれました。
高校生の中には「携帯ないと死んじゃ~う」なんて子もいるそうですが、裕太はやっぱり「ご飯食べないと死んじゃう~」ってタイプだと思うのです。
だから、裕太が携帯を解約してないとしたら、その理由はやっぱり「自分で払ってない」しかないんじゃないかと思ったのです。
でもまあよく考えたら、携帯料金を自分で稼いで払ってる、なんていう高校生のほうがむしろ珍しいんでしょう。
こういうのって、普通は親が払ってくれるんですよね。
……そう、「普通」はw
裕太はちょっとばかし「普通じゃない」兄がいるので、事情が少し違って、携帯代は親じゃなくて、周平が払ってくれてるんですよ、きっと!(←妄想)
広いリビングの隅に置かれた小さなラブソファは、裕太と周平が二人暮らしを始める際に買い揃えた家具の一つだ。
黄色とオレンジの格子柄という、かなり子供っぽいデザインで、素材は本皮でもなんでもなく、ただのコットン。
高級マンションの一室にはずいぶんと不釣合だが、周平は「裕太が好きならそれでいいよ」と、自分の趣味とはかけ離れた、そのおもちゃのようなソファを、個室ではなく、リビングに置いた。
裕太は今日もそのお気に入りの上で、膝を立てて座っている。
腿の上には広げた英語のテキスト。
しかし手元にはテレビのリモコンがあり、さらに視線はバルコニーの向こう側に注がれている。
これで本人は英単語の暗記中のつもりだから、裕太の成績が芳しくないのも仕方がない。
諒がいたなら、ピシャリと厳しい小言の一つでも食らっているだろうが、いま室内には裕太一人きりだ。
そのとき、ぼんやりと夕焼け空を眺めているかに見えた裕太が、ふいに顔を上げた。
小鹿のような仕草で小首をかしげると、次の瞬間、ポンッと跳ねて立ち上がる。
勢いのまま、リビングからキッチンの脇を駆け抜け、廊下の角を曲がって玄関に立つ――と、ちょうどのタイミングで扉が開いた。
「兄ちゃん、おかえりなさい」
仕事から戻った周平を、裕太は笑顔で出迎えた。
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