BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2008/02/16 (Sat)
兄の周平と、親友の諒。
この両者の対立が、一体いつごろから始まったのか、それは裕太は知らない。
裕太が最初にそうと気がついたのが、高校一年の秋、周平が札幌の転勤から戻ってきた直後だったから、少なくともそれ以前から、二人の争いは始まっていたのだろうと、ただなんとなくそう思っているだけだ。
*
諒は裕太の幼馴染で、同じ楽才学園にかよう高校一年生だが、同時に「永抄流廣瀬次期家元」という肩書きを持つ、茶道の師範でもある。
子供の頃から、お茶と同時に華道や書道もたしなんできた諒は、いつもは本当に穏やかで、上品な優等生だ。
なのに、こと周平に関することになると、まるで人が変わったかのように目を吊り上げてヒステリックになる。
だから裕太は、普段からあまりその話題に触れないように、注意していた。
争いごとが苦手で、口も上手くない裕太は、そうなったら黙って諒の小言を聞くしかなくなるからだ。
*
だから、それを最初に言い出したのは裕太ではない。
裕太はいつも通り、購買の自販機で買った紙パックのレモンティーを、ストローでちゅうちゅう吸い上げていただけだった。
ゴクリゴクリと美味しそうに喉を鳴らす様子を、諒がなんだかずいぶんと物言いたげな目で、じっと見つめてくるから、単純な裕太は「諒も飲みたいの」と、ただ無邪気にそう聞いただけだった。
この両者の対立が、一体いつごろから始まったのか、それは裕太は知らない。
裕太が最初にそうと気がついたのが、高校一年の秋、周平が札幌の転勤から戻ってきた直後だったから、少なくともそれ以前から、二人の争いは始まっていたのだろうと、ただなんとなくそう思っているだけだ。
*
諒は裕太の幼馴染で、同じ楽才学園にかよう高校一年生だが、同時に「永抄流廣瀬次期家元」という肩書きを持つ、茶道の師範でもある。
子供の頃から、お茶と同時に華道や書道もたしなんできた諒は、いつもは本当に穏やかで、上品な優等生だ。
なのに、こと周平に関することになると、まるで人が変わったかのように目を吊り上げてヒステリックになる。
だから裕太は、普段からあまりその話題に触れないように、注意していた。
争いごとが苦手で、口も上手くない裕太は、そうなったら黙って諒の小言を聞くしかなくなるからだ。
*
だから、それを最初に言い出したのは裕太ではない。
裕太はいつも通り、購買の自販機で買った紙パックのレモンティーを、ストローでちゅうちゅう吸い上げていただけだった。
ゴクリゴクリと美味しそうに喉を鳴らす様子を、諒がなんだかずいぶんと物言いたげな目で、じっと見つめてくるから、単純な裕太は「諒も飲みたいの」と、ただ無邪気にそう聞いただけだった。
「の、の、の、飲みたくなんてない!!」
目の前に差し出された紙パックを、諒がバチンと力任せに払いのけた。
その拍子に思わず力の入った裕太の手に押されて、ストローの先から琥珀色の液体が勢い良く吹き出した。
シャーーーッ。
甘酸っぱい液体が、飛沫を上げて、諒の顔面を直撃した。
「――――――」
「りょ、諒、ごめん!」
裕太はとっさに謝ったが、諒は呆然と固まったまま、まったく反応しなかった。
諒はどこか遠い場所を見ているような、焦点の合わない目をしたまま、口元だけを僅かに動かして、こぼれた雫をペロリと舐めた。
「……甘い……」
ほうっと、ため息を漏らすように呟いた諒は、いつもならこんな突然の出来事に、ヒステリーを起こして喚き散らしているだろう。
けれど今は、何故か陶然とした様子で、ほんのりと頬さえ染めていた。
「あの……諒…………?」
あまりにも諒らしからぬその反応に、はたで見ていた裕太のほうが不安になった。
「……おいしいよ、裕太」
心配そうに顔を覗き込んだ裕太に向かって、諒は夢見心地な風情で、はんなりと微笑んだ。
諒が自分の良く知っている、心配性の幼馴染ではない……もっと別の、何か違う生き物になってしまったような違和感に、裕太はゾワリとその身を総毛立たせた。
「……諒……どうしよう……」
裕太は助けを求めて、オロオロと周囲を見回した。
目の前で起こった突発的な事故に、普段は騒がしい昼休みの教室が、シンと静まり返っていた。
真白だった諒のシャツは、垂れた液体を吸って、黄金色に染まっていた。
目の前に差し出された紙パックを、諒がバチンと力任せに払いのけた。
その拍子に思わず力の入った裕太の手に押されて、ストローの先から琥珀色の液体が勢い良く吹き出した。
シャーーーッ。
甘酸っぱい液体が、飛沫を上げて、諒の顔面を直撃した。
「――――――」
「りょ、諒、ごめん!」
裕太はとっさに謝ったが、諒は呆然と固まったまま、まったく反応しなかった。
諒はどこか遠い場所を見ているような、焦点の合わない目をしたまま、口元だけを僅かに動かして、こぼれた雫をペロリと舐めた。
「……甘い……」
ほうっと、ため息を漏らすように呟いた諒は、いつもならこんな突然の出来事に、ヒステリーを起こして喚き散らしているだろう。
けれど今は、何故か陶然とした様子で、ほんのりと頬さえ染めていた。
「あの……諒…………?」
あまりにも諒らしからぬその反応に、はたで見ていた裕太のほうが不安になった。
「……おいしいよ、裕太」
心配そうに顔を覗き込んだ裕太に向かって、諒は夢見心地な風情で、はんなりと微笑んだ。
諒が自分の良く知っている、心配性の幼馴染ではない……もっと別の、何か違う生き物になってしまったような違和感に、裕太はゾワリとその身を総毛立たせた。
「……諒……どうしよう……」
裕太は助けを求めて、オロオロと周囲を見回した。
目の前で起こった突発的な事故に、普段は騒がしい昼休みの教室が、シンと静まり返っていた。
真白だった諒のシャツは、垂れた液体を吸って、黄金色に染まっていた。
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