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BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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自己紹介

  名前:うさこ
  萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
  好き:甘々、主人公総受け
  嫌い:イタい子
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「それじゃあ、毎晩俺の布団にもぐりこんできて、一緒に寝てって、ねだったのは?」
周平は裕太と目線を合わせようと、バルコニーのタイルの上に膝をついた。
「……あれは……く、暗いのが、嫌だったから……」
周平が、膝の上に伏せた顔を横から覗き込んできても、裕太は頑なにそっぽを向き続けた。
「裕太は抱っこが大好きで、抱っこ、抱っこって、いつも俺にしがみついて離れなかったよな?」
周平は、なんとか意地を張り続けようとがんばる裕太が、もう泣き止んでいることに、気がついていた。
「……だから、それは違う……」
周平が次々と持ち出してくる思い出話に、裕太は次第に混乱して、とうとう顔を上げてしまった。
「そうか? どう違うんだ?」
裕太の涙に濡れた大きな瞳と視線があうと、周平はやんわりと微笑んだ。
「だって、だって、そんなの子供のときの話じゃんか……あの頃、兄ちゃんは、ただの兄ちゃんで……一緒に寝るのも、抱っこしてもらうのも、別に変な意味じゃなかったもん……」
自分が誰よりも周平になついて、後を付いて回ったことは事実だが、それと今の二人の関係を並べて語るのは違う気がして、裕太はそう反論した。
「変な意味、か……裕太にとっては、そうなのかもな……」
裕太が深く考えもせず発した言葉に、周平は少し傷ついたように、自嘲的な笑みを浮かべた。
「……でも、俺にとっては、今も、昔も、裕太に触れたいと思う理由は、一つだよ……裕太が、可愛くて、大好きだから、裕太に触りたいんだ。触って、抱きしめて、キスして……」
周平の望みは、もちろんそれだけではなかった。しかし欲望の全てを口にしてしまえば、裕太を怯えさせることは分りきっていたから、あえてそこで言葉を切った。
「……それが、俺の普通なんだよ」
周平はそういい終わると、ゆっくりと裕太の肩まで伸びた柔らかい髪に指を絡ませた。
「……でも……それ、俺は知らなかったから……」
裕太は耳元を弄る、周平の柔らかな手の動きがくすぐったくて、反射的に首をすくめた。

「ああ、それはそうだろう、ずっと隠してきたんだから。親にも、友人にも、もちろん、お前にも……絶対に知られないようにな」
静かに、淡々と告げられるその言葉を聞いて、そうだ、人に言えない秘密を抱えて、ずっと長い間孤独だったのは、自分ではない、周平の方なのだと、裕太はハッと胸を突かれたような気がした。
「隠して……ずっと、一人で……そんなの……辛く、なかったの……?」
そう言う裕太のほうが、よほど辛そうな顔をしているじゃないかと、周平は困ったように眉を下げた。
「そうだな、それは……少しは辛かったような気もするけど……でも、お前の側にいられるんだから、多少の我慢は仕方がないさ……それに、この十年で、俺の面の皮もだいぶ厚くなったしな」
周平は、また泣き出しそうになっている裕太を慰めるように、そう冗談めかして片目を瞑って見せた。
「多少のって……そんな……俺が、ずっと兄ちゃんの気持ちに気が付かなかったら、どうしたの……?」
もし自分が何も知らないままだったら、周平は本当に一人きりなのだと、裕太はその底知れない孤独を思って慄然とした。
「別に、どうもしないさ。俺は、お前の「兄ちゃん」なんだから、それだけで、側にいる資格は十分あるだろう?」
やはり周平は、それを何でもないことのように、軽くおどけた調子で答えた。
「そんな、そんな……もしかしたら、俺……好きな子とか出来て、結婚とか、しちゃったかも、しれないよ……?」
周平が明るく振舞って見せれば、見せるほど、裕太は悲しくなった。
「――それでも……それでも、俺がお前の兄貴であることに違いはないさ……ずっと、な……」
ただ黙って、一生側にいるつもりだったと、やはり静かに笑ってみせる周平の、あまりに壮絶な覚悟に、裕太は悲鳴を上げた。
「そんなのやだ!」
金切り声を上げて、しがみついてきた裕太を両手で受け止めると、周平は困惑して、苦笑いした。
「やだって……」
裕太はもうこれ以上、悲しい言葉を聞きたくないと、周平の声をさえぎった。
「だって、そんなの、辛すぎるよ! 兄ちゃんが……兄ちゃんが、かわいそう!」
痛いほどの力で抱きついてくる裕太の背中を撫でながら、周平はしばらく沈黙した。
「…………お前は……本当にいい子だな、裕太……けど、俺は大丈夫だよ……お前がいるだけで十分なんだから……」
こうしてお前を腕に抱いているときだけ、肩の上に積み重なった全ての虚飾を脱ぎ捨てて、深呼吸できるんだと、周平は裕太の頭に唇を押し付けて深く息を吸い込んだ。
「俺がいると、兄ちゃんは嬉しいの? 幸せ?」
裕太はされるがままに身を任せながら、周平のために自分には何が出来るだろうかと考えた。
「ああ、これ以上はないくらいに……お前がいることが、俺にとって普通であるように、裕太にとっても、俺がいることが普通であってくれればと思うよ……まるで、空気みたいにね……」
俺がいないと息も出来ないぐらいにお前を埋め尽くしたいんだ、と言う本音を、周平はオブラートに包んでそう表現した。
「ふ、普通だよ! 兄ちゃんがいるのは、普通! だって、俺たち兄弟なんだもん! ずっと一緒にいるのが普通なんだよ!」
裕太は周平を喜ばせようと、必死になってそう力説した。
「そうか……俺たちは兄弟なんだから、ずっと一緒にいるのが普通なのか」
周平は声を上げて笑うと、眩しいものを見るように目を細めて裕太を見下ろした。
「嬉しいよ……ありがとう、裕太」
これから歩くことになる永遠の月夜も、太陽のように輝く裕太が一緒なら、決して迷うことはないと、周平は二人の幸福な未来を予感した。
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