BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
好き:甘々、主人公総受け
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2007/12/04 (Tue)
仕事を終えて自宅マンションへ戻った周平を迎えたのは、裕太の楽しげな笑い声と、母親の心尽くしの手料理だった。
周平は、それを見た瞬間、裕太と二人だけで過ごすはずだった夜を、母親によって、完全に奪われてしまったことを悟った。
「おかえり! 兄ちゃん」
裕太がそう言って、周平を最高の笑顔で迎えても、それが自分のもたらしたものでないと思うと、周平の心はジリジリと焼けた。
いっそ、母親の目の前で裕太を抱きしめ、口付けてしまおうか。
そんな破滅的な衝動が周平を襲ったが、ぎっと奥歯をかみ締めて、自分を制御した。
(あのときから、自分は少しも変わっていないじゃないか)
こういうとき周平は、血を吐く思いで幼い裕太を探し回った、あの晩夏を思い出すことにしている。
そうすれば、自分の感情によって裕太を傷つける愚かさを、何度でも再確認することが出来た。
周平は、それを見た瞬間、裕太と二人だけで過ごすはずだった夜を、母親によって、完全に奪われてしまったことを悟った。
「おかえり! 兄ちゃん」
裕太がそう言って、周平を最高の笑顔で迎えても、それが自分のもたらしたものでないと思うと、周平の心はジリジリと焼けた。
いっそ、母親の目の前で裕太を抱きしめ、口付けてしまおうか。
そんな破滅的な衝動が周平を襲ったが、ぎっと奥歯をかみ締めて、自分を制御した。
(あのときから、自分は少しも変わっていないじゃないか)
こういうとき周平は、血を吐く思いで幼い裕太を探し回った、あの晩夏を思い出すことにしている。
そうすれば、自分の感情によって裕太を傷つける愚かさを、何度でも再確認することが出来た。
「ただいま、裕太」
周平は、完璧に自分をコントロールすることに成功した。
「母さんの面倒を見るのは、大変だっただろう?」
周平は、いつも通りの穏やかな目で裕太を見下ろし、いつも通りの優しさでその頭を撫でた。
ただ、その後に口付けが続かないことだけが、いつも通りではなかった。
「もー、周平ったら、失礼ね! 母さんと裕太は一番の仲良しなんだから、ちっとも面倒なんかじゃないわよ! ねえ、裕太、楽しかったわよね?」
エプロン姿のまま食卓についた母親に、強引に同意を求められて、裕太は返答に困った。
こういう場面でうなずいてしまうと、周平の機嫌が悪くなることを、裕太は経験的に知っていた。
「裕太の気をそそるもの全てに嫉妬する」というのが、周平の言い分だった。
「あーうー、その、えっと……」
言い淀んで視線を宙にさ迷わせた裕太は、周平が手にした箱に気が付くと、ぱっと目を輝かせた。
「あ! ねえ母さん、見て、あれ、兄ちゃんが持ってる箱! ケーキだよ、セレスチャルホテルのパティシエに、特別に作ってもらったんだよ!」
「え? うちのホテルのパティシエに?」
どうやら、裕太のつたない話題転換は成功したようだった。
「あらまあ、よくそんなサービスしてくれたわね。クリスマスなんて、目が回るぐらい忙しいでしょうに……」
母親の注目はすっかり、周平の持って帰ってきた小ぶりな白い箱に移っていた。
裕太と周平は母親の頭越しに視線を合わせると、こっそりと笑った。
*
「もう裕太ったら、何かって言うと、兄ちゃん、兄ちゃんって……母さん、周平に裕太を取られちゃったみたいで、なんだか寂しいわ……」
食後のデザートであるケーキを突きながら、ワインを傾けていた母親が、ぽつりとそんな言葉を漏らした。
裕太は、言葉の真意を測りかねて、一瞬ぎくりと身を強張らせた。
「なっ、どっ……!!」
ケーキを喉に詰まらせて、目を白黒させている裕太とは対照的に、周平は落ち着き払っていた。
周平はその切れ長の瞳に含みのある微笑をたたえると、咳き込む裕太の背をさすりながら、ゆったりと母親をなだめた。
「……裕太だってもう子供じゃないんですから、母親離れしたんですよ……お母さんも、いいかげん、裕太離れしてください」
その周平の台詞は、母親を余計に苛立たせたようだった。
「なによ、周平のほうこそ、いっつも裕太を赤ちゃん扱いしてたくせに……福岡に行くまでは、母さんが、裕太の、一番、らったのに……それらのに……」
母親の呂律が次第に怪しくなった。
頬が赤いのは、どうやら興奮のためではなく、酔いが回っているせいらしかった。
「お母さん、飲みすぎです、もう止めましょう」
周平は母親からワイングラスを取り上げると、背中に手を回して椅子から立ち上がらせた。
「さあ、今日は裕太のベッドで寝てください。裕太は、俺の部屋で寝かせますから」
さらりと言われた周平の台詞に、裕太は耳まで赤くなった。
「らーめ、裕太は母さんと寝るのー。母さんが裕太を抱っこして……」
「裕太にはもう、お母さんの抱っこは必要ないんですよ」
「なによー、周平のバカー! 裕太はね、裕太はね……周平になんか、あげないんだからー!」
「おや、そうですか。でも、それは裕太自身に決めさせましょう」
不毛な言い合いをしながら部屋へ向かう二人に、裕太は背中を向けた。
ワインなど一滴も口にしていない自分の顔が、火がついたように赤くなっていることを、裕太は自覚していた。
周平は、完璧に自分をコントロールすることに成功した。
「母さんの面倒を見るのは、大変だっただろう?」
周平は、いつも通りの穏やかな目で裕太を見下ろし、いつも通りの優しさでその頭を撫でた。
ただ、その後に口付けが続かないことだけが、いつも通りではなかった。
「もー、周平ったら、失礼ね! 母さんと裕太は一番の仲良しなんだから、ちっとも面倒なんかじゃないわよ! ねえ、裕太、楽しかったわよね?」
エプロン姿のまま食卓についた母親に、強引に同意を求められて、裕太は返答に困った。
こういう場面でうなずいてしまうと、周平の機嫌が悪くなることを、裕太は経験的に知っていた。
「裕太の気をそそるもの全てに嫉妬する」というのが、周平の言い分だった。
「あーうー、その、えっと……」
言い淀んで視線を宙にさ迷わせた裕太は、周平が手にした箱に気が付くと、ぱっと目を輝かせた。
「あ! ねえ母さん、見て、あれ、兄ちゃんが持ってる箱! ケーキだよ、セレスチャルホテルのパティシエに、特別に作ってもらったんだよ!」
「え? うちのホテルのパティシエに?」
どうやら、裕太のつたない話題転換は成功したようだった。
「あらまあ、よくそんなサービスしてくれたわね。クリスマスなんて、目が回るぐらい忙しいでしょうに……」
母親の注目はすっかり、周平の持って帰ってきた小ぶりな白い箱に移っていた。
裕太と周平は母親の頭越しに視線を合わせると、こっそりと笑った。
*
「もう裕太ったら、何かって言うと、兄ちゃん、兄ちゃんって……母さん、周平に裕太を取られちゃったみたいで、なんだか寂しいわ……」
食後のデザートであるケーキを突きながら、ワインを傾けていた母親が、ぽつりとそんな言葉を漏らした。
裕太は、言葉の真意を測りかねて、一瞬ぎくりと身を強張らせた。
「なっ、どっ……!!」
ケーキを喉に詰まらせて、目を白黒させている裕太とは対照的に、周平は落ち着き払っていた。
周平はその切れ長の瞳に含みのある微笑をたたえると、咳き込む裕太の背をさすりながら、ゆったりと母親をなだめた。
「……裕太だってもう子供じゃないんですから、母親離れしたんですよ……お母さんも、いいかげん、裕太離れしてください」
その周平の台詞は、母親を余計に苛立たせたようだった。
「なによ、周平のほうこそ、いっつも裕太を赤ちゃん扱いしてたくせに……福岡に行くまでは、母さんが、裕太の、一番、らったのに……それらのに……」
母親の呂律が次第に怪しくなった。
頬が赤いのは、どうやら興奮のためではなく、酔いが回っているせいらしかった。
「お母さん、飲みすぎです、もう止めましょう」
周平は母親からワイングラスを取り上げると、背中に手を回して椅子から立ち上がらせた。
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「らーめ、裕太は母さんと寝るのー。母さんが裕太を抱っこして……」
「裕太にはもう、お母さんの抱っこは必要ないんですよ」
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