BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
好き:甘々、主人公総受け
嫌い:イタい子
イチオシ:安元洋貴ボイズ
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2007/12/03 (Mon)
「は? いま羽田って……それは……どういうことですか、お母さん」
周平は、勤務中に掛かってきた、唐突な電話の内容に、携帯電話を握ったまま、思わず固まった。
現在母親は、福岡に転勤になった父親と一緒に九州にいるはずだ。
それが何の連絡もなく、突然「羽田に着いたから迎えに来て」だから、周平が驚くのも当然だった。
『だって、周平のマンション、母さん行ったことないんだもん、場所が分らないの。だから迎えに来て』
そのすねた口調から、ぷっと頬を膨らませる母お得意の表情が、電話口から見えるようだった。
周平は頭痛をこらえるように、額に手をあてると、大きくため息をついた。
「お母さん……俺は仕事中なんです、迎えにはいけません。とりあえず、タクシーで池袋の天国屋本社まで来てください……いくらお母さんでも、空港を出てタクシーを拾うぐらいは、自分できるでしょう?」
これ以上、電話で問答しても埒が明かないと思った周平は、早々に話しを切り上げ「本社に着いたら受付で自分を呼ぶように」と念を押して通話を切った。
*
なぜ突然こちらに戻ったのか、一人で来たのか、泊まる場所はどうするつもりか……。
問い質したいことは山ほどあったが、母親から詳しい事情を聞きだすのは、仕事を終えた後になりそうだった。
今日は12月24日。
周平と裕太が二人で暮らし始めて最初のクリスマスイブは、母親の乱入によって、聖夜とは程遠い、騒がしい夜になりそうだった。
周平は、勤務中に掛かってきた、唐突な電話の内容に、携帯電話を握ったまま、思わず固まった。
現在母親は、福岡に転勤になった父親と一緒に九州にいるはずだ。
それが何の連絡もなく、突然「羽田に着いたから迎えに来て」だから、周平が驚くのも当然だった。
『だって、周平のマンション、母さん行ったことないんだもん、場所が分らないの。だから迎えに来て』
そのすねた口調から、ぷっと頬を膨らませる母お得意の表情が、電話口から見えるようだった。
周平は頭痛をこらえるように、額に手をあてると、大きくため息をついた。
「お母さん……俺は仕事中なんです、迎えにはいけません。とりあえず、タクシーで池袋の天国屋本社まで来てください……いくらお母さんでも、空港を出てタクシーを拾うぐらいは、自分できるでしょう?」
これ以上、電話で問答しても埒が明かないと思った周平は、早々に話しを切り上げ「本社に着いたら受付で自分を呼ぶように」と念を押して通話を切った。
*
なぜ突然こちらに戻ったのか、一人で来たのか、泊まる場所はどうするつもりか……。
問い質したいことは山ほどあったが、母親から詳しい事情を聞きだすのは、仕事を終えた後になりそうだった。
今日は12月24日。
周平と裕太が二人で暮らし始めて最初のクリスマスイブは、母親の乱入によって、聖夜とは程遠い、騒がしい夜になりそうだった。
「ええ?! 母さんが、こっちに来てる?」
周平からその連絡を受けたとき、ちょうど裕太は、諒と二人で千駄ヶ谷の改札を出たところだった。
東京体育館で行われるバスケットボールの試合に芳賀が出るというので、今日はその応援に来たのだ。
裕太は隣を歩く諒に目配で謝ると、携帯電話を耳に押し当て、背中を丸めた。
「なんで? そんなの聞いてないよ! まさか……また、兄ちゃん秘密にしてたの?」
黙って見合いした件をほのめかしているのだろう、裕太の非難めいた口調に、周平はあわてて弁明した。
『ちがう、裕太。俺も何も聞いてない。さっき突然「羽田に迎えにこい」って電話がきて、それで初めて知ったんだ。俺にだって寝耳に水だよ』
「は、羽田ぁ? ……で、でも、それ、どうするの? 兄ちゃん、迎えにいけるの?」
裕太は予想外の展開に、隣を歩く諒のことも忘れて、思わず声を高めた。
『俺は仕事だよ。お前からの呼び出しなら飛んでいくけど……母さんなんか迎えに行けるはずない。タクシーを拾って本社まで来るように言ったよ』
周平がこうして時折、日常会話に混ぜてちらりと覗かせる告白に、裕太はいつまでたっても慣れることが出来なかった。
電話中、突然赤面した裕太に、並んで歩いていた諒が、口ぱくで、どうしたんだよ、と問いかけた。
なんだか面白くなさそうな顔をしている諒に、裕太は小さく頭を振ると、携帯を反対の手に持ち替えて、声を潜めた。
「そ、それで……?」
『ああ、それで、裕太。悪いんだが……そっちを早めに切り上げて、俺の仕事が終わるまで、母さんの相手をしてもらえないか?』
周平が、こんな風に裕太にものを頼むのは、はめったにない事だった。
いつでも、どんなことでも先回りをして、裕太が歩く道には、躓きそうな石どころか、塵一つ落ちていないよう、綺麗に片付けておくのが、周平のやり方だった。
裕太は、珍しく周平から頼まれごとをしたことで、どうやら、これは本当に困った事態が起きているらしいぞと、状況を理解した。
「いいよ、大丈夫、まかせてよ、兄ちゃん。皆に顔だけ見せたら、すぐそっちに行くよ」
裕太は何だか、自分が周平を助けてやらなければ、という気持ちになって、二つ返事でうなずいた。
『そうか、ありがとう、裕太……本社に着いたら、受付で俺を呼べ。名前を言えば、すぐに繋いでくれるから』
「うん、わかった。じゃ、また後で」
少し興奮した面持ちで携帯を切った裕太を、諒が横目で睨んだ。
「裕太、芳賀に何て言って謝るわけ? お母さんの面倒見なきゃいけないからって?」
察しのいい諒は、漏れ聞こえた内容を繋ぎ合わせて、すっかり事情を把握してしまったようだ。
この調子で、自分と兄との関係も見透かされはしないだろうかと、裕太は内心びくびくしながら、だって、と言い訳した。
「しょうがないじゃん、母さん連絡もなく帰って来たんだから。祐天寺の家はいま人に貸してるし、母さんを放って置く訳にも行かないだろ?」
裕太の言い分をどう取ったのか、諒は手に負えないとでも言うように、ぐるりと目を回して、肩をすくめた。
「はいはい、しょうがないね。……ったく、一人暮らしで、ようやく母親離れ出来たと思ったのに……すっかり、逆戻りだよ。これも、全部アイツの……」
後半の台詞は、ほとんど口の中だけで言われたため、裕太の耳には届かなかった。
裕太は、まだなんだか、ぶつぶつと独り言を言っている、諒の背中を押すと、試合会場へとせかした。
「諒、ほら、早く歩いて! 俺、急いで帰らなくちゃいけないんだから!」
帰りに裕太を誘って、このまま一緒にクリスマスを過ごそうと、密かに計画を立てていた諒だったが、その企みも、どうやら全ては無駄に終わりそうだった。
それも、これも、全部アイツが悪いんだと、諒は心の中で、周平に八つ当たりした。
周平からその連絡を受けたとき、ちょうど裕太は、諒と二人で千駄ヶ谷の改札を出たところだった。
東京体育館で行われるバスケットボールの試合に芳賀が出るというので、今日はその応援に来たのだ。
裕太は隣を歩く諒に目配で謝ると、携帯電話を耳に押し当て、背中を丸めた。
「なんで? そんなの聞いてないよ! まさか……また、兄ちゃん秘密にしてたの?」
黙って見合いした件をほのめかしているのだろう、裕太の非難めいた口調に、周平はあわてて弁明した。
『ちがう、裕太。俺も何も聞いてない。さっき突然「羽田に迎えにこい」って電話がきて、それで初めて知ったんだ。俺にだって寝耳に水だよ』
「は、羽田ぁ? ……で、でも、それ、どうするの? 兄ちゃん、迎えにいけるの?」
裕太は予想外の展開に、隣を歩く諒のことも忘れて、思わず声を高めた。
『俺は仕事だよ。お前からの呼び出しなら飛んでいくけど……母さんなんか迎えに行けるはずない。タクシーを拾って本社まで来るように言ったよ』
周平がこうして時折、日常会話に混ぜてちらりと覗かせる告白に、裕太はいつまでたっても慣れることが出来なかった。
電話中、突然赤面した裕太に、並んで歩いていた諒が、口ぱくで、どうしたんだよ、と問いかけた。
なんだか面白くなさそうな顔をしている諒に、裕太は小さく頭を振ると、携帯を反対の手に持ち替えて、声を潜めた。
「そ、それで……?」
『ああ、それで、裕太。悪いんだが……そっちを早めに切り上げて、俺の仕事が終わるまで、母さんの相手をしてもらえないか?』
周平が、こんな風に裕太にものを頼むのは、はめったにない事だった。
いつでも、どんなことでも先回りをして、裕太が歩く道には、躓きそうな石どころか、塵一つ落ちていないよう、綺麗に片付けておくのが、周平のやり方だった。
裕太は、珍しく周平から頼まれごとをしたことで、どうやら、これは本当に困った事態が起きているらしいぞと、状況を理解した。
「いいよ、大丈夫、まかせてよ、兄ちゃん。皆に顔だけ見せたら、すぐそっちに行くよ」
裕太は何だか、自分が周平を助けてやらなければ、という気持ちになって、二つ返事でうなずいた。
『そうか、ありがとう、裕太……本社に着いたら、受付で俺を呼べ。名前を言えば、すぐに繋いでくれるから』
「うん、わかった。じゃ、また後で」
少し興奮した面持ちで携帯を切った裕太を、諒が横目で睨んだ。
「裕太、芳賀に何て言って謝るわけ? お母さんの面倒見なきゃいけないからって?」
察しのいい諒は、漏れ聞こえた内容を繋ぎ合わせて、すっかり事情を把握してしまったようだ。
この調子で、自分と兄との関係も見透かされはしないだろうかと、裕太は内心びくびくしながら、だって、と言い訳した。
「しょうがないじゃん、母さん連絡もなく帰って来たんだから。祐天寺の家はいま人に貸してるし、母さんを放って置く訳にも行かないだろ?」
裕太の言い分をどう取ったのか、諒は手に負えないとでも言うように、ぐるりと目を回して、肩をすくめた。
「はいはい、しょうがないね。……ったく、一人暮らしで、ようやく母親離れ出来たと思ったのに……すっかり、逆戻りだよ。これも、全部アイツの……」
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それも、これも、全部アイツが悪いんだと、諒は心の中で、周平に八つ当たりした。
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