BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2008/07/22 (Tue)
「約束だぞ、裕太――ああ、それじゃあ、おやすみ……」
周平が通話を切ると、まるでそのタイミングを計ったかのように、バスルームの扉が開いた。
女は風呂上りのはずなのに、髪も化粧も隙なく完璧に整えた姿で出てくると、真っ赤な唇をひるがえして、艶やかに微笑んだ。
「また、弟さんに電話してたの?」
「ああ、あの子は、俺の「おやすみ」がないと寝ないんだよ」
周平は酷くやさしい目をして、携帯の待ち受け画面を見詰めていた。
女はそこに写っているのが、自分ではなく、小さな男の子であることを知っていた。
名前は裕太。
いま11歳で、小学校六年生。
血液型はO型。
チョコレートが好きで、暗いところが嫌いで、ちょっとした事で熱を出す虚弱体質で…………。
会った事もない、周平の弟のプロフィールを、女はもうすっかり暗記してしまっていた。
周平が通話を切ると、まるでそのタイミングを計ったかのように、バスルームの扉が開いた。
女は風呂上りのはずなのに、髪も化粧も隙なく完璧に整えた姿で出てくると、真っ赤な唇をひるがえして、艶やかに微笑んだ。
「また、弟さんに電話してたの?」
「ああ、あの子は、俺の「おやすみ」がないと寝ないんだよ」
周平は酷くやさしい目をして、携帯の待ち受け画面を見詰めていた。
女はそこに写っているのが、自分ではなく、小さな男の子であることを知っていた。
名前は裕太。
いま11歳で、小学校六年生。
血液型はO型。
チョコレートが好きで、暗いところが嫌いで、ちょっとした事で熱を出す虚弱体質で…………。
会った事もない、周平の弟のプロフィールを、女はもうすっかり暗記してしまっていた。
「ねえ、それよりも、周平さん。明日から夏休みなんでしょ?」
いつまでたっても携帯から視線を上げない周平に、女は自ら近付いた。
手を伸ばして携帯を取り上げると、ベットサイドのスタンドの脇に置いた。
「新人の癖に休み取るなんて生意気だって、課長が文句言ってたわよ」
うふふ、と上目使いで笑って見せた女の媚にも、周平はほとんど関心を持たなかった。
「するべきことは、きちんとしているつもりだけど」
「そうよね、だから面と向かっては何もいえないのよ。私たちみたいな派遣に、影でコソコソ愚痴るしかできないの」
「派遣社員も大変だ、上司の愚痴を聞くのも仕事のうちか」
薄く笑った周平に、女はうれしそうに頷いた。
「そんな事言ってくれるの周平さんだけよ」
派遣という仕事がいかに大変か、と苦労話を披露しはじめた女に適当に相槌を打ちながら、周平はタバコに火をつけた。
横に腰掛けた女から漂ってくる、石鹸か香水か……あるいは体臭なのか、何ともいえない不快な香りを、その煙で消した。
*
「あ……周平さん、私……大丈夫よ、ピル飲んでるから」
女の言葉に、周平は一瞬動きを止めた。
「そう」
周平は短く答えたが、結局付けるのを止めはしなかった。
そんな女の必死さを、かわいいと思ってやれるほどの愛情がない以上、それはむしろ自分自身に対する保険のようなものだった。
女が何とか喜ばせようと頑張れば頑張るほど、周平の心は潮が引くように後退した。
――そんなに本気になられても困る。
何の義務も責任も負いたくない周平の、それが本音だった。
だから周平は、いつでもそういう大人の関係が理解できる、頭のいい女性を選んでいるつもりだった。
しかし、そんな周平の思惑を裏切って、女は勝手に本気になる。
真実を言って傷付けるつもりはないが、あまりに重くなりすぎれば手を離さざるをえない。
なにしろ周平の両手は、弟の裕太だけで既にいっぱいで、他の何かを抱え込む余地はもう一切なかった。
いつまでたっても携帯から視線を上げない周平に、女は自ら近付いた。
手を伸ばして携帯を取り上げると、ベットサイドのスタンドの脇に置いた。
「新人の癖に休み取るなんて生意気だって、課長が文句言ってたわよ」
うふふ、と上目使いで笑って見せた女の媚にも、周平はほとんど関心を持たなかった。
「するべきことは、きちんとしているつもりだけど」
「そうよね、だから面と向かっては何もいえないのよ。私たちみたいな派遣に、影でコソコソ愚痴るしかできないの」
「派遣社員も大変だ、上司の愚痴を聞くのも仕事のうちか」
薄く笑った周平に、女はうれしそうに頷いた。
「そんな事言ってくれるの周平さんだけよ」
派遣という仕事がいかに大変か、と苦労話を披露しはじめた女に適当に相槌を打ちながら、周平はタバコに火をつけた。
横に腰掛けた女から漂ってくる、石鹸か香水か……あるいは体臭なのか、何ともいえない不快な香りを、その煙で消した。
*
「あ……周平さん、私……大丈夫よ、ピル飲んでるから」
女の言葉に、周平は一瞬動きを止めた。
「そう」
周平は短く答えたが、結局付けるのを止めはしなかった。
そんな女の必死さを、かわいいと思ってやれるほどの愛情がない以上、それはむしろ自分自身に対する保険のようなものだった。
女が何とか喜ばせようと頑張れば頑張るほど、周平の心は潮が引くように後退した。
――そんなに本気になられても困る。
何の義務も責任も負いたくない周平の、それが本音だった。
だから周平は、いつでもそういう大人の関係が理解できる、頭のいい女性を選んでいるつもりだった。
しかし、そんな周平の思惑を裏切って、女は勝手に本気になる。
真実を言って傷付けるつもりはないが、あまりに重くなりすぎれば手を離さざるをえない。
なにしろ周平の両手は、弟の裕太だけで既にいっぱいで、他の何かを抱え込む余地はもう一切なかった。
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