BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2008/03/23 (Sun)
「おはよっ、櫻井」
校門の前で見慣れた背中を見つけて、オレは後ろから声をかけた。
「ああ、藍川……おはよう」
櫻井は駆け足で追いついたオレを見ると、ほんの少し、目の奥をチラリと微笑ませた。
「……今日はまた、ずいぶん、元気がいいんだな」
「うん! だって何かすごい天気いいし、気持ちいいだろ」
オレは大きく頷くと、両手を広げて深呼吸した。
朝のまだひんやりと冷たい空気が、水晶の欠片みたいにキラキラと体中に染み渡った。
「櫻井もやってみる? すーっはーって、元気出るよ?」
調子に乗って誘うと、櫻井は何とも言えない、不思議な目でオレを見下ろした。
櫻井は普段から無表情で、余計なおしゃべりはしないし、冗談も言わないし、声を出して笑ってるところなんか一度も見たことがない、達観した仙人みたいな、変わった高校生なんだけど、時々こういう目でオレを見る。
それは別に不快な視線ではないんだけど……オレはなんだか、観察されてるみたいな気分になって、ちょっとムズムズしてしまう。
校門の前で見慣れた背中を見つけて、オレは後ろから声をかけた。
「ああ、藍川……おはよう」
櫻井は駆け足で追いついたオレを見ると、ほんの少し、目の奥をチラリと微笑ませた。
「……今日はまた、ずいぶん、元気がいいんだな」
「うん! だって何かすごい天気いいし、気持ちいいだろ」
オレは大きく頷くと、両手を広げて深呼吸した。
朝のまだひんやりと冷たい空気が、水晶の欠片みたいにキラキラと体中に染み渡った。
「櫻井もやってみる? すーっはーって、元気出るよ?」
調子に乗って誘うと、櫻井は何とも言えない、不思議な目でオレを見下ろした。
櫻井は普段から無表情で、余計なおしゃべりはしないし、冗談も言わないし、声を出して笑ってるところなんか一度も見たことがない、達観した仙人みたいな、変わった高校生なんだけど、時々こういう目でオレを見る。
それは別に不快な視線ではないんだけど……オレはなんだか、観察されてるみたいな気分になって、ちょっとムズムズしてしまう。
「あーっと……櫻井はこんな子供みたいなこと、しない、よね……」
えへへ、と誤魔化し笑いで頭をかいたオレを、櫻井はやっぱりじっと見てた。
「藍川は……」
「え?」
「いや……お兄さんは、まだ藍川の部屋にいるのか?」
「兄ちゃん? うん、まだいるよ……っていうか、たぶん、もうずっといると思う」
オレは言ってから、あ、ちょっと最後は余計だったかも、と後悔した。
「だ、だって、兄弟だからっ! 櫻井もお姉さんたちと一緒に暮らしてるだろ?」
それが普通だよね、とオレは精一杯ワザとらしくならないように気をつけて笑った。
「……藍川は、本当に面白いな……」
櫻井の薄い眼鏡のレンズが、朝日を反射して白く光った。
「お、おもしろい?」
オレは櫻井の奇妙な表現に、一瞬面食らった。
冗談なのか、あいるいはからかわれたのかと思って、櫻井をまじまじと見返したけど、その表情は、オレがちょっとびっくりするぐらい真剣だった。
「それは、あの……ど、どうも、ありがとう」
迫力に押されて、オレは思わずぺこりと頭を下げた。
櫻井は凄く頭がいいから、きっと褒め言葉も難解なんだろうと、自分に説明してみた。
「……本当に興味深い」
続いてぽつりと呟かれた言葉はあまりにも小さくて、オレの耳では聞き取れなかった。
今何て言ったの、と聞き返そうかと思ったけど、顔を上げて見た櫻井は、返事を期待してる様子じゃなかった。
きっと独り言だったんだろうと思って、オレはもう一度、ありがとう、と笑った。
それから、教室までの短い距離を、二人で並んで歩いた。
オレも櫻井もずっと黙ったままだったけど、何故かその沈黙は重くなかった。
えへへ、と誤魔化し笑いで頭をかいたオレを、櫻井はやっぱりじっと見てた。
「藍川は……」
「え?」
「いや……お兄さんは、まだ藍川の部屋にいるのか?」
「兄ちゃん? うん、まだいるよ……っていうか、たぶん、もうずっといると思う」
オレは言ってから、あ、ちょっと最後は余計だったかも、と後悔した。
「だ、だって、兄弟だからっ! 櫻井もお姉さんたちと一緒に暮らしてるだろ?」
それが普通だよね、とオレは精一杯ワザとらしくならないように気をつけて笑った。
「……藍川は、本当に面白いな……」
櫻井の薄い眼鏡のレンズが、朝日を反射して白く光った。
「お、おもしろい?」
オレは櫻井の奇妙な表現に、一瞬面食らった。
冗談なのか、あいるいはからかわれたのかと思って、櫻井をまじまじと見返したけど、その表情は、オレがちょっとびっくりするぐらい真剣だった。
「それは、あの……ど、どうも、ありがとう」
迫力に押されて、オレは思わずぺこりと頭を下げた。
櫻井は凄く頭がいいから、きっと褒め言葉も難解なんだろうと、自分に説明してみた。
「……本当に興味深い」
続いてぽつりと呟かれた言葉はあまりにも小さくて、オレの耳では聞き取れなかった。
今何て言ったの、と聞き返そうかと思ったけど、顔を上げて見た櫻井は、返事を期待してる様子じゃなかった。
きっと独り言だったんだろうと思って、オレはもう一度、ありがとう、と笑った。
それから、教室までの短い距離を、二人で並んで歩いた。
オレも櫻井もずっと黙ったままだったけど、何故かその沈黙は重くなかった。
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