BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/03/14 (Fri)
「裕太! 周平! たっだいまーぁ!」
門前に車のエンジン音が響いてから程なく、母親の賑わしい声が邸内に響いた。
二週間の長いバカンスを終えて、両親が帰宅したのだ。
周平の膝の上で読書感想文の課題図書を読んでいた裕太は、懐かしい母親の声に、はっと弾かれたように顔をあげた。
「おかえりなさーぁい!」
次の瞬間、裕太は歓声を上げながら、まりが転がるような勢いで部屋を飛び出した。
どどどどっと階段を駆け下りる裕太の背中を、周平は冷ややかと思えるほど、静かな瞳で見送った。
門前に車のエンジン音が響いてから程なく、母親の賑わしい声が邸内に響いた。
二週間の長いバカンスを終えて、両親が帰宅したのだ。
周平の膝の上で読書感想文の課題図書を読んでいた裕太は、懐かしい母親の声に、はっと弾かれたように顔をあげた。
「おかえりなさーぁい!」
次の瞬間、裕太は歓声を上げながら、まりが転がるような勢いで部屋を飛び出した。
どどどどっと階段を駆け下りる裕太の背中を、周平は冷ややかと思えるほど、静かな瞳で見送った。
「ゆうたーー! 元気だった? いい子にしてた?」
「うん、元気! いい子にしてた!」
「そう、良かった、偉かったわね、裕太。お母さん、お土産沢山、買ってきたからね」
「本当?! なに何、お土産ちょうだい」
吹き抜けの玄関から響いてくる楽しげな笑い声を、階段いちだん一段を確かめるように、ゆっくりと下りながら周平は聞いた。
「にいちゃん、兄ちゃん、お土産! お母さん、お土産くれるって!」
周平は踊り場で一旦足を止め、手すりの下を覗き込んだ。
「裕太……お母さん達は、長い旅行で疲れてるんだよ、少し休ませて上げなきゃ」
早くこっちに来てと両手で手招きする裕太に、周平は穏やかに言った。
「もう、周平ったら、私を年寄り扱いしないでちょうだい」
しゅんとうなだれてしまった裕太の手を、母親が慌てて握った。
「お母さんは平気よ、裕太の顔見たから、もう元気、元気!」
ほらね、と母親は裕太と踊るように、くるりとその場で一回転した。
「――はい、はい、わかりました……元気で何よりですね」
呆れたようにため息をついた周平に、母親は胸をそらせて大仰に頷いた。
「わかればよろしい」
重々しく宣言した母親の声色に、裕太がぷっとふきだした。
あはっ、あはっ、と声をあげて笑い出した裕太の姿に、周平と母親は一瞬顔を見合わせ、そして互いに苦笑した。
「――ただいま……周平。留守中、何か変わった事はなかった?」
裕太の頭を撫でながら聞いた母親に、周平は頷いた。
「ええ、もちろん……何もかも、全て、うまくいきましたよ……」
周平は母親の手から奪うように裕太を抱き上げると、そうだよな、と首を傾けて聞いた。
「うん! 兄ちゃんにね、野球教えてもらったよ!」
「野球? そうなの、ステキね、キャッチボールしたの?」
「ううん、違う、バットだよ、バット振る練習――」
裕太は周平の腕から飛び降りると、ぶーんぶーんと口で言いながら、バットを振るまねをして見せた。
「まあ、上手ね裕太。たくさん遊んだのね、それじゃあ、お勉強はどうだったの?」
「ちゃんとしたよ、今もね作文の本読んでたんだよ――」
互いに離れていた時間を埋めようとするかのように、母親と裕太は夢中になって話し出した。
かまびすしい二人の会話を、周平は薄い笑みを浮かべて聞いていた。
*
─────────────
男性意識不明の重体-警視庁、殺人未遂で捜査
─────────────
――午前2時50分ごろ、東京都目黒区の目黒川に男性が仰向けに浮いているのを通行人が発見、警視庁中目黒署に通報した。
男性は病院に運ばれたが、頭骨骨折で意識不明の重体。
同署は殺人未遂容疑で捜査している。
調べでは、男性は近くに住む無職――――さん(30)。
全身に鈍器で殴られたような跡があり、後頭部は陥没していた。
─────────────
*
社会面の隅に載った、その小さな記事を、裕太は知らない。
例え知っていたとしても、被害者の顔写真もないそのベタ記事は、裕太にとっては難しすぎて、内容を理解することは出来なかっただろう。
*
祐天寺の目と鼻の先で起きたその事件は、しばらくの間地域住人の噂の的だったが、話題の中心は、犯人についてではなく、被害者に幼児誘拐の前科があることだった。
事件前、この男が子供に声をかけている姿が、何度か目撃されていたのだ。
幼い子供を持つ親は皆慄然とし、そして、あの日男を殴りつけた周平の暴力は、「弟を守った兄」という美談として語られることになった。
*
井戸端会議で、その話を聞かされた母親は、真っ青になって自分の息子に問い質した。
「変なオジさんに声をかけられたの?」と母親に聞かれた裕太は、少しの間空を睨んで考え、「覚えてない」と元気良く答えた。
*
警察の熱心な捜査にもかかわらず、事件の犯人は今も――捕まっていない。
「うん、元気! いい子にしてた!」
「そう、良かった、偉かったわね、裕太。お母さん、お土産沢山、買ってきたからね」
「本当?! なに何、お土産ちょうだい」
吹き抜けの玄関から響いてくる楽しげな笑い声を、階段いちだん一段を確かめるように、ゆっくりと下りながら周平は聞いた。
「にいちゃん、兄ちゃん、お土産! お母さん、お土産くれるって!」
周平は踊り場で一旦足を止め、手すりの下を覗き込んだ。
「裕太……お母さん達は、長い旅行で疲れてるんだよ、少し休ませて上げなきゃ」
早くこっちに来てと両手で手招きする裕太に、周平は穏やかに言った。
「もう、周平ったら、私を年寄り扱いしないでちょうだい」
しゅんとうなだれてしまった裕太の手を、母親が慌てて握った。
「お母さんは平気よ、裕太の顔見たから、もう元気、元気!」
ほらね、と母親は裕太と踊るように、くるりとその場で一回転した。
「――はい、はい、わかりました……元気で何よりですね」
呆れたようにため息をついた周平に、母親は胸をそらせて大仰に頷いた。
「わかればよろしい」
重々しく宣言した母親の声色に、裕太がぷっとふきだした。
あはっ、あはっ、と声をあげて笑い出した裕太の姿に、周平と母親は一瞬顔を見合わせ、そして互いに苦笑した。
「――ただいま……周平。留守中、何か変わった事はなかった?」
裕太の頭を撫でながら聞いた母親に、周平は頷いた。
「ええ、もちろん……何もかも、全て、うまくいきましたよ……」
周平は母親の手から奪うように裕太を抱き上げると、そうだよな、と首を傾けて聞いた。
「うん! 兄ちゃんにね、野球教えてもらったよ!」
「野球? そうなの、ステキね、キャッチボールしたの?」
「ううん、違う、バットだよ、バット振る練習――」
裕太は周平の腕から飛び降りると、ぶーんぶーんと口で言いながら、バットを振るまねをして見せた。
「まあ、上手ね裕太。たくさん遊んだのね、それじゃあ、お勉強はどうだったの?」
「ちゃんとしたよ、今もね作文の本読んでたんだよ――」
互いに離れていた時間を埋めようとするかのように、母親と裕太は夢中になって話し出した。
かまびすしい二人の会話を、周平は薄い笑みを浮かべて聞いていた。
*
─────────────
男性意識不明の重体-警視庁、殺人未遂で捜査
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――午前2時50分ごろ、東京都目黒区の目黒川に男性が仰向けに浮いているのを通行人が発見、警視庁中目黒署に通報した。
男性は病院に運ばれたが、頭骨骨折で意識不明の重体。
同署は殺人未遂容疑で捜査している。
調べでは、男性は近くに住む無職――――さん(30)。
全身に鈍器で殴られたような跡があり、後頭部は陥没していた。
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社会面の隅に載った、その小さな記事を、裕太は知らない。
例え知っていたとしても、被害者の顔写真もないそのベタ記事は、裕太にとっては難しすぎて、内容を理解することは出来なかっただろう。
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祐天寺の目と鼻の先で起きたその事件は、しばらくの間地域住人の噂の的だったが、話題の中心は、犯人についてではなく、被害者に幼児誘拐の前科があることだった。
事件前、この男が子供に声をかけている姿が、何度か目撃されていたのだ。
幼い子供を持つ親は皆慄然とし、そして、あの日男を殴りつけた周平の暴力は、「弟を守った兄」という美談として語られることになった。
*
井戸端会議で、その話を聞かされた母親は、真っ青になって自分の息子に問い質した。
「変なオジさんに声をかけられたの?」と母親に聞かれた裕太は、少しの間空を睨んで考え、「覚えてない」と元気良く答えた。
*
警察の熱心な捜査にもかかわらず、事件の犯人は今も――捕まっていない。
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