BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2008/03/05 (Wed)
「あれ、これって……」
天国屋本社ロビーで周平の仕事終わりを待っていた裕太は、ふと目に入った、ブローシャーを手に取った。
打ち合わせ用のソファーセットの脇に並べられたその小冊子には、『天国屋池袋本店メンズ館グランドオープン』という端正なゴシック体のロゴと共に、見覚えのある横顔が大きく印刷されていた。
「滝沢……だよな……」
ぱらぱらとめくると、カジュアルからフォーマルまで、さまざまな衣装を身に付けた翠目の男性モデルが、コントラストの強い印象的な写真で中を飾っていた。
裕太は、最終ページの右隅に小さく書かれた『REN TAKIZAWA』の文字を、人差し指でなぞった。
「ウチの仕事もしてるんだ……」
紙の上から鋭い視線を向ける滝沢と、裕太はしばらく見つめあった。
「学校じゃあ、遅刻ばっかりしてる、いい加減なヤツなのに……こんなの、全然別人みたいだ……」
裕太はブローシャーを棚には戻さず、きゅっと絞るようにして握った。
天国屋グループの藍川裕太と、楽才学園一年生の藍川裕太とが別であるように、クラスメイトとしての滝沢と、モデルとしての滝沢は、どこか別の存在であるように感じていた。
しかし、その別々だったはずのものが、突然こうして結びついてしまったのだ。
それはまるで、滝沢が自分のプライベートな空間に予告無く踏み込んできたような、あるいは、自分が滝沢の普段は見せない秘密の顔を覗き見てしまったような、そんな居心地の悪さで、裕太を酷く戸惑わせた。
天国屋本社ロビーで周平の仕事終わりを待っていた裕太は、ふと目に入った、ブローシャーを手に取った。
打ち合わせ用のソファーセットの脇に並べられたその小冊子には、『天国屋池袋本店メンズ館グランドオープン』という端正なゴシック体のロゴと共に、見覚えのある横顔が大きく印刷されていた。
「滝沢……だよな……」
ぱらぱらとめくると、カジュアルからフォーマルまで、さまざまな衣装を身に付けた翠目の男性モデルが、コントラストの強い印象的な写真で中を飾っていた。
裕太は、最終ページの右隅に小さく書かれた『REN TAKIZAWA』の文字を、人差し指でなぞった。
「ウチの仕事もしてるんだ……」
紙の上から鋭い視線を向ける滝沢と、裕太はしばらく見つめあった。
「学校じゃあ、遅刻ばっかりしてる、いい加減なヤツなのに……こんなの、全然別人みたいだ……」
裕太はブローシャーを棚には戻さず、きゅっと絞るようにして握った。
天国屋グループの藍川裕太と、楽才学園一年生の藍川裕太とが別であるように、クラスメイトとしての滝沢と、モデルとしての滝沢は、どこか別の存在であるように感じていた。
しかし、その別々だったはずのものが、突然こうして結びついてしまったのだ。
それはまるで、滝沢が自分のプライベートな空間に予告無く踏み込んできたような、あるいは、自分が滝沢の普段は見せない秘密の顔を覗き見てしまったような、そんな居心地の悪さで、裕太を酷く戸惑わせた。
「うあ……良く見たら、あれも……こっちも、滝沢じゃんか」
裕太はロビー一帯を埋め尽くしている、メンズ館新設の広告をぐるりと視線で追った。
強い照明で顔の半分が陰になっているもの。
腰から腕のラインを強調してほとんど顔が映っていないもの。
それらはまるでコンセプトフォトのように、イメージを先行させる主張の強い写真ばかりで、ぱっと見ただけでは被写体が滝沢だと気が付かなかったのだ。
「俺と同い年なのに、もうプロなんだ……滝沢は……」
高い天井から吊るされた、大きなシート広告を見上げて、裕太はぽかっと口をあけた。
こうして社会に出て一人前の仕事をしている人間から見れば、自分はまったくの世間知らずで、ものすごい甘ったれに思えるんだろう。
裕太は今日学校でぶつけられた滝沢の怒りを思い返した。
*
「最近兄ちゃんが忙しいのも、きっと、この新館ができるからだよな……」
長い手足を際立たせる、盛大なアオリで撮影された滝沢の肢体を、更に下から見上げて、裕太は呟いた。
皆、残業しているのだろう。
もう就業時間は終わっていると言うのに、天国屋本社ビルの窓は、全てこうこうとした明かりで満たされていた。
「みんな、がんばってるんだ……」
周平は、まだ降りてこなかった。
青白い蛍光灯の光が溢れるロビーで、裕太は世界から一人、取り残されているような気がした。
裕太はロビー一帯を埋め尽くしている、メンズ館新設の広告をぐるりと視線で追った。
強い照明で顔の半分が陰になっているもの。
腰から腕のラインを強調してほとんど顔が映っていないもの。
それらはまるでコンセプトフォトのように、イメージを先行させる主張の強い写真ばかりで、ぱっと見ただけでは被写体が滝沢だと気が付かなかったのだ。
「俺と同い年なのに、もうプロなんだ……滝沢は……」
高い天井から吊るされた、大きなシート広告を見上げて、裕太はぽかっと口をあけた。
こうして社会に出て一人前の仕事をしている人間から見れば、自分はまったくの世間知らずで、ものすごい甘ったれに思えるんだろう。
裕太は今日学校でぶつけられた滝沢の怒りを思い返した。
*
「最近兄ちゃんが忙しいのも、きっと、この新館ができるからだよな……」
長い手足を際立たせる、盛大なアオリで撮影された滝沢の肢体を、更に下から見上げて、裕太は呟いた。
皆、残業しているのだろう。
もう就業時間は終わっていると言うのに、天国屋本社ビルの窓は、全てこうこうとした明かりで満たされていた。
「みんな、がんばってるんだ……」
周平は、まだ降りてこなかった。
青白い蛍光灯の光が溢れるロビーで、裕太は世界から一人、取り残されているような気がした。
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