BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2007/12/29 (Sat)
「……裕太、いないのか?」
周平は玄関のドアを左手で支えたまま、明かりの灯っていない室内に向かって、そう問いかけた。
仕事から帰った周平を迎えたのは、真っ暗な部屋のシンとした沈黙だけだった。
扉から手を離すと、重厚感のあるアルミキャスト製のドアがゆっくりと閉まった。
カチリとオートロックの掛かる小さな音が、闇の中に響いた。
「まだ、帰ってないのか……」
ふと漏れた自分の呟きに、周平は急激に不安を煽られた。
「兄ちゃんが帰ってくる前に、必ず部屋にいる」と、あの日周平と交わした約束を、裕太は一度も破ったことがなかった。
だから、まだ裕太が帰っていないとすれば、それは何か不測の事態が起こったからに違いなかった。
「まさか……」
周平は右手に持った天国屋の紙袋を抱え直すと、慌てて壁のスイッチを探った。
ぱっと頭上のダウンライトが灯ると、鈍く光を返す大理石の上に、裕太の焦げ茶色のローファーが、きちんと並べられているのが見えた。
「なんだ……いるのか」
行儀よく揃えられた革靴が目に入ると、周平の頬は自然とほころんだ。
こちらを向いている丸いつま先が、まるで自分の帰りを待っていたと言っているように感じた。
周平は玄関のドアを左手で支えたまま、明かりの灯っていない室内に向かって、そう問いかけた。
仕事から帰った周平を迎えたのは、真っ暗な部屋のシンとした沈黙だけだった。
扉から手を離すと、重厚感のあるアルミキャスト製のドアがゆっくりと閉まった。
カチリとオートロックの掛かる小さな音が、闇の中に響いた。
「まだ、帰ってないのか……」
ふと漏れた自分の呟きに、周平は急激に不安を煽られた。
「兄ちゃんが帰ってくる前に、必ず部屋にいる」と、あの日周平と交わした約束を、裕太は一度も破ったことがなかった。
だから、まだ裕太が帰っていないとすれば、それは何か不測の事態が起こったからに違いなかった。
「まさか……」
周平は右手に持った天国屋の紙袋を抱え直すと、慌てて壁のスイッチを探った。
ぱっと頭上のダウンライトが灯ると、鈍く光を返す大理石の上に、裕太の焦げ茶色のローファーが、きちんと並べられているのが見えた。
「なんだ……いるのか」
行儀よく揃えられた革靴が目に入ると、周平の頬は自然とほころんだ。
こちらを向いている丸いつま先が、まるで自分の帰りを待っていたと言っているように感じた。
リビングに入ると、開けっ放しになったバルコニーの窓の向こうに、裕太のほっそりとしたシルエットが浮かび上がっていた。
周平は荷物をカウンターに置くと、夜景の光が薄く照らし出す室内を横切って、そっと裕太へ近付いた。
「ただいま」
背後から声をかけても、裕太は驚かなかった。
手すりにもたれかかって下を向いたまま、おかえりなさいと小さく答えた。
周平は、裕太がタイル張りのバルコニーに素足のまま立っているのに気がついて、眉をひそめた。
「裕太、風邪を引く」
肩に手をまわして中へ入るように促すと、裕太はゆっくりと振り返って、周平に抱きついた。
周平は倒れこむように体を預けてきた裕太を咄嗟に受け止めると、驚きを押し隠して、どうしたと静かに問いかけた。
裕太はそれには答えず、周平の胸に額をこすりつけるようにして、ただ首を横に振った。
駄々っ子のような仕草で甘えてくる裕太に、周平は苦笑を漏らした。
「裕太? それじゃあ、わからないよ?」
夜風にさらされて冷たくなった体を温めるように、周平は裕太を包み込んだ。
裕太はその両腕にすがって、少しだけ顔をあおのけた。
裕太の目に、きちんと結ばれたネクタイの臙脂色が映った。
周平好みの英国調スーツに良く似合うウインザーノットの結び目を見つめて、裕太は小さく息を吐いた。
「……どうして、触るの?」
周平は質問の意味がわからず、裕太を腕に抱いたまま一瞬戸惑った。
返事の遅れをどう取ったのか、裕太はきゅっと唇を噛むと、もう一度、周平の胸に強く頭を押し付けた。
「ねえ、なんで、俺に触るのって、聞いてるんだよ?」
答えをねだって体を揺らす裕太の背中を、周平は優しく撫でた。
「ねえってば! 俺が聞いてるんだよ? 兄ちゃん、なんで答えられないの?」
裕太のあまりにも可愛らしい脅迫に、周平はたまらず吹き出した。
「裕太が、好きだからだよ。裕太が可愛くて、大好きだから」
だから触るんだよ、と周平はくすくすと笑いながら答えた。
「兄ちゃん! なんで笑うの!?」
裕太は不満にぷっと頬を膨らませると、面白くてたまらないと言うように肩を震わせて笑っている周平の胸を叩いた。
かなり深刻で、思いつめた質問をしたつもりの裕太だったが、どうやら周平には違って聞こえたようだった。
「ごめん、ごめん。裕太があんまり可愛いいことを言うから、幸せすぎて笑っちゃったんだよ」
周平はそう言うと、言葉通り幸福そうに微笑んで、丸く膨らんでいる裕太の頬にキスをした。
子供がふざけてする接吻のように、チュッと大きな音を立てて離れた周平の唇に、裕太はどぎまぎした。
「か、可愛いことなんか言ってない! 俺は、真剣なの!」
うろたえて手を振りほどこうとする裕太を、周平は逃がさないとばかりに、ガラス窓に両腕で囲い込んだ。
「裕太、俺も真剣だよ、真剣に、裕太が可愛いんだ……可愛くて可愛くて、もう食べちゃいたいぐらい……裕太が大好きなんだよ」
分ってくれるよな、と今度は唇を合わせようと覆いかぶさってくる周平から顔を背けて、裕太は拗ねたように口を尖らせた。
「…………じゃあ、ドキドキする?」
周平は荷物をカウンターに置くと、夜景の光が薄く照らし出す室内を横切って、そっと裕太へ近付いた。
「ただいま」
背後から声をかけても、裕太は驚かなかった。
手すりにもたれかかって下を向いたまま、おかえりなさいと小さく答えた。
周平は、裕太がタイル張りのバルコニーに素足のまま立っているのに気がついて、眉をひそめた。
「裕太、風邪を引く」
肩に手をまわして中へ入るように促すと、裕太はゆっくりと振り返って、周平に抱きついた。
周平は倒れこむように体を預けてきた裕太を咄嗟に受け止めると、驚きを押し隠して、どうしたと静かに問いかけた。
裕太はそれには答えず、周平の胸に額をこすりつけるようにして、ただ首を横に振った。
駄々っ子のような仕草で甘えてくる裕太に、周平は苦笑を漏らした。
「裕太? それじゃあ、わからないよ?」
夜風にさらされて冷たくなった体を温めるように、周平は裕太を包み込んだ。
裕太はその両腕にすがって、少しだけ顔をあおのけた。
裕太の目に、きちんと結ばれたネクタイの臙脂色が映った。
周平好みの英国調スーツに良く似合うウインザーノットの結び目を見つめて、裕太は小さく息を吐いた。
「……どうして、触るの?」
周平は質問の意味がわからず、裕太を腕に抱いたまま一瞬戸惑った。
返事の遅れをどう取ったのか、裕太はきゅっと唇を噛むと、もう一度、周平の胸に強く頭を押し付けた。
「ねえ、なんで、俺に触るのって、聞いてるんだよ?」
答えをねだって体を揺らす裕太の背中を、周平は優しく撫でた。
「ねえってば! 俺が聞いてるんだよ? 兄ちゃん、なんで答えられないの?」
裕太のあまりにも可愛らしい脅迫に、周平はたまらず吹き出した。
「裕太が、好きだからだよ。裕太が可愛くて、大好きだから」
だから触るんだよ、と周平はくすくすと笑いながら答えた。
「兄ちゃん! なんで笑うの!?」
裕太は不満にぷっと頬を膨らませると、面白くてたまらないと言うように肩を震わせて笑っている周平の胸を叩いた。
かなり深刻で、思いつめた質問をしたつもりの裕太だったが、どうやら周平には違って聞こえたようだった。
「ごめん、ごめん。裕太があんまり可愛いいことを言うから、幸せすぎて笑っちゃったんだよ」
周平はそう言うと、言葉通り幸福そうに微笑んで、丸く膨らんでいる裕太の頬にキスをした。
子供がふざけてする接吻のように、チュッと大きな音を立てて離れた周平の唇に、裕太はどぎまぎした。
「か、可愛いことなんか言ってない! 俺は、真剣なの!」
うろたえて手を振りほどこうとする裕太を、周平は逃がさないとばかりに、ガラス窓に両腕で囲い込んだ。
「裕太、俺も真剣だよ、真剣に、裕太が可愛いんだ……可愛くて可愛くて、もう食べちゃいたいぐらい……裕太が大好きなんだよ」
分ってくれるよな、と今度は唇を合わせようと覆いかぶさってくる周平から顔を背けて、裕太は拗ねたように口を尖らせた。
「…………じゃあ、ドキドキする?」
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