BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
好き:甘々、主人公総受け
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2007/11/02 (Fri)
芳賀社長から待ちに待った連絡が来た。
裕太を助け出すために、俺がこの計画を練り上げてから、既に二週間が過ぎてきた。
「はい、明日の夜10時、赤坂の料亭嘉楼ですね。分かりました」
自分の声が興奮で震えるのが分かる。
「いえ、大丈夫です。芳賀さんは、時間通りに指定された場所へ行ってください。細かい計画の内容はご存じないほうが良いかと」
いまここで、全てを明かすには、芳賀社長は和泉澤組と関係が深すぎる。
その深い繋がりがあったからそこ、この計画が成立したのだが、万が一失敗した場合、逆にそれが仇となる。
裏切られたと知った暴力団が、芳賀社長を放って置くわけがない。
「芳賀さんには絶対に迷惑がかからないようにしてあります。ですから、もし何かあっても、知らぬ存ぜぬで通してください……実際何もご存じないのですから」
土建屋の親父として叩き上げた芳賀社長のことだ、暴力団の脅しに屈して口を割るなどという心配はしていない。
ただ、根が正直な人だから、やつらに問い詰められたとき、うまく嘘をついてその場を誤魔化すなんて器用なことはできないだろう。
「どうかご心配なく。はい、ありがとうございます。それでは明日。どうぞよろしく、お願いします――」
裕太を助け出すために、俺がこの計画を練り上げてから、既に二週間が過ぎてきた。
「はい、明日の夜10時、赤坂の料亭嘉楼ですね。分かりました」
自分の声が興奮で震えるのが分かる。
「いえ、大丈夫です。芳賀さんは、時間通りに指定された場所へ行ってください。細かい計画の内容はご存じないほうが良いかと」
いまここで、全てを明かすには、芳賀社長は和泉澤組と関係が深すぎる。
その深い繋がりがあったからそこ、この計画が成立したのだが、万が一失敗した場合、逆にそれが仇となる。
裏切られたと知った暴力団が、芳賀社長を放って置くわけがない。
「芳賀さんには絶対に迷惑がかからないようにしてあります。ですから、もし何かあっても、知らぬ存ぜぬで通してください……実際何もご存じないのですから」
土建屋の親父として叩き上げた芳賀社長のことだ、暴力団の脅しに屈して口を割るなどという心配はしていない。
ただ、根が正直な人だから、やつらに問い詰められたとき、うまく嘘をついてその場を誤魔化すなんて器用なことはできないだろう。
「どうかご心配なく。はい、ありがとうございます。それでは明日。どうぞよろしく、お願いします――」
裕太の居場所は以外にも簡単に調べが付いた。
和泉澤組。
この関東一円を仕切る沼菱会傘下の暴力団で、バブルの波に乗って近年急激に勢力を伸ばした経済ヤクザ。
滝沢君から得た手がかりにを元に、裕太の捜索を続けた俺が辿り着いた一つの名前。
どうやら『マフィアに売られた』という、滝沢君の予想は、まったくの的外れではなかったらしい。
そう知ったとき、俺は慄然とした。
なにしろ相手は暴力団だ、周辺が騒がしくなれば、証拠隠滅の為に裕太に何をするか分からない。
自分の立場が危うくなれば、簡単に裕太を殺すだろう。
ならば警察には頼れない。
そうして俺は、自分の力だけで裕太を取り戻すことを決意した。
*
「屋敷に入るのは無理だ」
それが、一晩中地図を睨み付け、あらゆる可能性をシミュレーションした末の結論だった。
本当は、今すぐにでも中に乗り込んでいって裕太を助け出したい。
だが、それをすれば俺はもちろん、裕太も生きてはいられないだろう。
だとするなら、あとは裕太が外に出るのを待つしかない。
「しかし軟禁されている裕太を、どうやって外に出させるか……」
俺は腕を組み、地図を広げたテーブルの前を歩き回った。
「屋敷に火をつけて炙り出す……いや、それならいっそ……」
考えあぐねていたそのとき、ふとリビングの脇に詰まれたままになっている、裕太の荷物に目が行った。
裕太のアパートから焼け出されて、会社近くのこのマンションに移って以来、荷を解く暇もないまま今日まで置きっぱなしになっていた。
「そういえば、アルバムがあったっけ……」
俺は裕太の少ない荷物の中から、一冊のアルバムを取り出した。
荷造りの途中でそれを見つけたときには、二人の時間は思い出になってしまったのだと言われているようで胸が痛んだが、今はまったく違う。
アルバムのページを捲るごとに、写真の中で睦まじく微笑みあう俺と裕太を見るごとに、弟は俺の助けをを待っているのだという確信が深まる。
「裕太、裕太……」
アルバムに顔をうずめて頬ずりする。
「お前に会いたい、声が聞きたい、思い切り抱きしめて、匂いをかいで――」
そのとき、はっと脳裏に閃くものがあった。
「そうだ……何も難しく考えることは無いじゃないか。裕太に会いたいと、そのまま要求すればいいんだ!」
「ビデオを見てファンになった。ぜひ、本人に会わせて欲しい」というのはどうだろう。
それは裕太を外に連れ出させる理由として、十分説得力があるではないか。
俺は自分の目の前に、確かな道が開かれたのを感じた。
「よし。となったら、和泉澤組にそんな依頼が出来る人物を誰か探さないと」
*
和泉澤組と繋がりの深い人物。
それも、俺の味方になって、裕太を助け出すのに協力してくれるような人物。
思いついたは良いが、それを探すのは、容易なことではない。
暴力団組織の人間をこちらの味方につけるのはまず無理だろう。
ならば、彼らが表の顔としてやっている企業活動の関係者はどうだろうか。
「どれもこれも、帯に短し……だな」
俺は調べ上げた資料を手に、また一人頭を抱えた。
ほとんどがヤクザ家業に首まで浸かった企業舎弟か、和泉澤の裏をまったく知らない単なる取引相手だ。
「この人選に、計画の成否がかかっているんだ、よく考えろ」
俺は、そう自分に活を入れると、もう一度手元の資料を読み直した。
――株式会社山井コンサルタンツ
――芳澤証券金融株式会社
――株式会社ノリサワリース
――淵木野興産株式会社
――株式会社芳賀土木
――タチノキ建物株式会社
……。
「ん? 株式会社芳賀土木――芳賀土木……芳賀?」
資料をたどっていた指が、その一点で止まる。
「確か裕太の友達に、そんな名前の子が……」
めったに居ないというほど珍しい苗字ではないから、無関係という可能性もあるが、調べてみる価値は十分有る。
俺は慌てて、裕太の荷物の中から学生名簿を探し出した。
「――ハガ、芳賀……あった、芳賀伊吹――住所は東京都杉並区――」
ビンゴ!
俺はその場で両のこぶしを振り上げた。
裕太のクラスメイト、芳賀伊吹君の住所は、株式会社芳賀土木社長の自宅所在地とまったく同じだった。
和泉澤組。
この関東一円を仕切る沼菱会傘下の暴力団で、バブルの波に乗って近年急激に勢力を伸ばした経済ヤクザ。
滝沢君から得た手がかりにを元に、裕太の捜索を続けた俺が辿り着いた一つの名前。
どうやら『マフィアに売られた』という、滝沢君の予想は、まったくの的外れではなかったらしい。
そう知ったとき、俺は慄然とした。
なにしろ相手は暴力団だ、周辺が騒がしくなれば、証拠隠滅の為に裕太に何をするか分からない。
自分の立場が危うくなれば、簡単に裕太を殺すだろう。
ならば警察には頼れない。
そうして俺は、自分の力だけで裕太を取り戻すことを決意した。
*
「屋敷に入るのは無理だ」
それが、一晩中地図を睨み付け、あらゆる可能性をシミュレーションした末の結論だった。
本当は、今すぐにでも中に乗り込んでいって裕太を助け出したい。
だが、それをすれば俺はもちろん、裕太も生きてはいられないだろう。
だとするなら、あとは裕太が外に出るのを待つしかない。
「しかし軟禁されている裕太を、どうやって外に出させるか……」
俺は腕を組み、地図を広げたテーブルの前を歩き回った。
「屋敷に火をつけて炙り出す……いや、それならいっそ……」
考えあぐねていたそのとき、ふとリビングの脇に詰まれたままになっている、裕太の荷物に目が行った。
裕太のアパートから焼け出されて、会社近くのこのマンションに移って以来、荷を解く暇もないまま今日まで置きっぱなしになっていた。
「そういえば、アルバムがあったっけ……」
俺は裕太の少ない荷物の中から、一冊のアルバムを取り出した。
荷造りの途中でそれを見つけたときには、二人の時間は思い出になってしまったのだと言われているようで胸が痛んだが、今はまったく違う。
アルバムのページを捲るごとに、写真の中で睦まじく微笑みあう俺と裕太を見るごとに、弟は俺の助けをを待っているのだという確信が深まる。
「裕太、裕太……」
アルバムに顔をうずめて頬ずりする。
「お前に会いたい、声が聞きたい、思い切り抱きしめて、匂いをかいで――」
そのとき、はっと脳裏に閃くものがあった。
「そうだ……何も難しく考えることは無いじゃないか。裕太に会いたいと、そのまま要求すればいいんだ!」
「ビデオを見てファンになった。ぜひ、本人に会わせて欲しい」というのはどうだろう。
それは裕太を外に連れ出させる理由として、十分説得力があるではないか。
俺は自分の目の前に、確かな道が開かれたのを感じた。
「よし。となったら、和泉澤組にそんな依頼が出来る人物を誰か探さないと」
*
和泉澤組と繋がりの深い人物。
それも、俺の味方になって、裕太を助け出すのに協力してくれるような人物。
思いついたは良いが、それを探すのは、容易なことではない。
暴力団組織の人間をこちらの味方につけるのはまず無理だろう。
ならば、彼らが表の顔としてやっている企業活動の関係者はどうだろうか。
「どれもこれも、帯に短し……だな」
俺は調べ上げた資料を手に、また一人頭を抱えた。
ほとんどがヤクザ家業に首まで浸かった企業舎弟か、和泉澤の裏をまったく知らない単なる取引相手だ。
「この人選に、計画の成否がかかっているんだ、よく考えろ」
俺は、そう自分に活を入れると、もう一度手元の資料を読み直した。
――株式会社山井コンサルタンツ
――芳澤証券金融株式会社
――株式会社ノリサワリース
――淵木野興産株式会社
――株式会社芳賀土木
――タチノキ建物株式会社
……。
「ん? 株式会社芳賀土木――芳賀土木……芳賀?」
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めったに居ないというほど珍しい苗字ではないから、無関係という可能性もあるが、調べてみる価値は十分有る。
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俺はその場で両のこぶしを振り上げた。
裕太のクラスメイト、芳賀伊吹君の住所は、株式会社芳賀土木社長の自宅所在地とまったく同じだった。
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