BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2007/11/27 (Tue)
周平は公園を出ると、一度深呼吸した。
腹に溜まった不満が、この小さな復讐によって、少しだけ満たされた気がした。
空を見上げると、西に傾きつつある太陽のおかげで、日差もだいぶ和らいでいた。
(そうだ、新刊が出てるか見てこよう)
周平は裕太を公園に残したまま、一人、近くの本屋へと向かった。
腹に溜まった不満が、この小さな復讐によって、少しだけ満たされた気がした。
空を見上げると、西に傾きつつある太陽のおかげで、日差もだいぶ和らいでいた。
(そうだ、新刊が出てるか見てこよう)
周平は裕太を公園に残したまま、一人、近くの本屋へと向かった。
裕太が砂山に開通したトンネルを見せようと、勢いよく周平を振り返ったとき、既にベンチには誰もいなかった。
裕太はその瞬間、何が起こったのか理解できずに、ぽかんと口を開けて棒立ちになった。
ベンチの上には、周平が脱いだ、青いパーカーだけが残されていた。
裕太はそれを見ると、きっと大変なことが起こったに違いないと確信した。
裕太は急いで赤いジャンパースカートの女の子にシャベルを返すと、一緒に遊んでいた友達に「ばいばい」と手を振って砂場を出た。
裕太はベンチの上に置き去りにされた周平のパーカーを握り締めて周平を呼んだ。
「にーた」
周平の返事はなかった。
このなべころ坂緑地公園は幼い裕太でも首を捻れば一目で見渡せるほどの小さな公園だ。
周平が敷地内にいないことは、裕太にもすぐに分った。
「にーた……」
裕太は唇をぎゅっと結ぶと、消えてしまった兄を探して公園を出た。
そこは変哲も無い住宅地だったが、一歩囲いの外に出れば、小さな裕太にとっては、広大な大海原のように途方もなく感じられた。
裕太は周平の香りが残る青いパーカーを、まるでそれが自分と周平を繋ぐ唯一の絆でもあるかのように、きつく両手で抱きしめた。
そうすると、不思議と不安が和らいで、すぐにでも周平を見つけ出せるような気がするのだった。
*
周平は一応本屋には入ったものの、結局入り口近くに平積にされている新刊をザッと眺めただけで、すぐになべごろ坂公園へと引き返した。
裕太を置き去りにすることで、胸に渦巻く復讐心を満足させたつもりの周平だったが、すこし時間が経てば、それがあまりにも馬鹿げた行動であることは明らかだった。
(大丈夫。今すぐ戻れば。どうせ裕太は砂遊びに夢中で、俺が居ないことになんか気が付いてないさ)
周平は自分にそう言い訳したが、自分にしがみ付く裕太の小さな手を思い出すと、言いようのない焦燥感が胸を襲った。
傾きかけた晩夏の日差しを背に受けて、周平の足は自然と速くなった。
(大丈夫。まだほんの10分しか経ってないじゃないか。裕太は公園で砂遊びを続けてるさ。悪いことなんか起こってない)
周平は走り出しそうになっている自分に気が付くと、また裕太に振り回されているじゃないかと、舌打ちした。
(だいたい、何でこんなに焦ってるんだ、馬鹿みたいじゃないか。公園の砂場が危険なわけないのに)
周平は自分の心配性を笑いながらも、やはりその足を緩めることはできなかった。
裕太はその瞬間、何が起こったのか理解できずに、ぽかんと口を開けて棒立ちになった。
ベンチの上には、周平が脱いだ、青いパーカーだけが残されていた。
裕太はそれを見ると、きっと大変なことが起こったに違いないと確信した。
裕太は急いで赤いジャンパースカートの女の子にシャベルを返すと、一緒に遊んでいた友達に「ばいばい」と手を振って砂場を出た。
裕太はベンチの上に置き去りにされた周平のパーカーを握り締めて周平を呼んだ。
「にーた」
周平の返事はなかった。
このなべころ坂緑地公園は幼い裕太でも首を捻れば一目で見渡せるほどの小さな公園だ。
周平が敷地内にいないことは、裕太にもすぐに分った。
「にーた……」
裕太は唇をぎゅっと結ぶと、消えてしまった兄を探して公園を出た。
そこは変哲も無い住宅地だったが、一歩囲いの外に出れば、小さな裕太にとっては、広大な大海原のように途方もなく感じられた。
裕太は周平の香りが残る青いパーカーを、まるでそれが自分と周平を繋ぐ唯一の絆でもあるかのように、きつく両手で抱きしめた。
そうすると、不思議と不安が和らいで、すぐにでも周平を見つけ出せるような気がするのだった。
*
周平は一応本屋には入ったものの、結局入り口近くに平積にされている新刊をザッと眺めただけで、すぐになべごろ坂公園へと引き返した。
裕太を置き去りにすることで、胸に渦巻く復讐心を満足させたつもりの周平だったが、すこし時間が経てば、それがあまりにも馬鹿げた行動であることは明らかだった。
(大丈夫。今すぐ戻れば。どうせ裕太は砂遊びに夢中で、俺が居ないことになんか気が付いてないさ)
周平は自分にそう言い訳したが、自分にしがみ付く裕太の小さな手を思い出すと、言いようのない焦燥感が胸を襲った。
傾きかけた晩夏の日差しを背に受けて、周平の足は自然と速くなった。
(大丈夫。まだほんの10分しか経ってないじゃないか。裕太は公園で砂遊びを続けてるさ。悪いことなんか起こってない)
周平は走り出しそうになっている自分に気が付くと、また裕太に振り回されているじゃないかと、舌打ちした。
(だいたい、何でこんなに焦ってるんだ、馬鹿みたいじゃないか。公園の砂場が危険なわけないのに)
周平は自分の心配性を笑いながらも、やはりその足を緩めることはできなかった。
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