BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
萌属性:血縁、年の差、アホ子受、ワンコ攻
好き:甘々、主人公総受け
嫌い:イタい子
イチオシ:安元洋貴ボイズ
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2008/10/07 (Tue)
「お、んだよ、藍川、まだ残ってたのか」
諒と入れ違いに、滝沢が教室に戻ってきた。
裕太を見付けた翠の目が、一瞬、嬉しそうに笑う。
「ちょうどいいわ、お前、一緒に乗っけてってやるから、準備しろよ」
「ほぇ?」
「ほぇ、じゃねーよ。外、もう迎え来てんだから」
早くしろ、と滝沢はマドに向かって顎をしゃくった。
つられて裕太も外を見るが、一年の教室からは、通りはほとんど見えない。
運動部員が準備を始めたグラウンドの向こうには、まだ蕾の固い桜の植え込みがあり、更にその向こう側を、背の高い鉄のフェンスが囲んでいるのだ。
裕太は目に疑問符を浮かべて、首を傾げた。
「何の話?」
「お前、ホント頭ニブいな」
さして含みもない口調でサラリと言うと、滝沢は裕太の腕を腕を掴んで、強引に立ち上がらせた。
「いいから、来いよ。リハ4時からなんだよ」
「えっ?! ちょ、ちょっと! ま、待ってよ滝沢、“リハ”ってなんだよ」
引きずられるようにして歩きながら、裕太は滝沢の背中に聞いた。
「リハーサルだよ。ショーのリハーサルが、4時から始まんの。お前、オレに遅刻させる気かよ」
「な、なに言ってんだよ、遅刻なんて、滝沢いっつも平気でしてるじゃん」
「んなの学校の話だろ、仕事と一緒にすんじゃねーよ」
「は……? それって……そういう問題?」
「うるせーな、お前ちょっと黙れよ、話は車ん中で聞いてやる」
目を点にした裕太に、滝沢はめんどくさそうに言い捨てた。
裕太は、これはコイツがおかしいのか、自分が世間知らずなのかと、内心で密かに首をひねりながらも、強く引く滝沢の腕に、諾々として従った。
突発的な事態に巻き込まれたとき、騒いだり暴れたりするよりも、ただ状況が理解できずに、ぼんやり流されてしまうのは、裕太の生まれ持った性質であり、過保護すぎる兄から、対処法を学ぶ機会を取り上げられた結果だった。
諒と入れ違いに、滝沢が教室に戻ってきた。
裕太を見付けた翠の目が、一瞬、嬉しそうに笑う。
「ちょうどいいわ、お前、一緒に乗っけてってやるから、準備しろよ」
「ほぇ?」
「ほぇ、じゃねーよ。外、もう迎え来てんだから」
早くしろ、と滝沢はマドに向かって顎をしゃくった。
つられて裕太も外を見るが、一年の教室からは、通りはほとんど見えない。
運動部員が準備を始めたグラウンドの向こうには、まだ蕾の固い桜の植え込みがあり、更にその向こう側を、背の高い鉄のフェンスが囲んでいるのだ。
裕太は目に疑問符を浮かべて、首を傾げた。
「何の話?」
「お前、ホント頭ニブいな」
さして含みもない口調でサラリと言うと、滝沢は裕太の腕を腕を掴んで、強引に立ち上がらせた。
「いいから、来いよ。リハ4時からなんだよ」
「えっ?! ちょ、ちょっと! ま、待ってよ滝沢、“リハ”ってなんだよ」
引きずられるようにして歩きながら、裕太は滝沢の背中に聞いた。
「リハーサルだよ。ショーのリハーサルが、4時から始まんの。お前、オレに遅刻させる気かよ」
「な、なに言ってんだよ、遅刻なんて、滝沢いっつも平気でしてるじゃん」
「んなの学校の話だろ、仕事と一緒にすんじゃねーよ」
「は……? それって……そういう問題?」
「うるせーな、お前ちょっと黙れよ、話は車ん中で聞いてやる」
目を点にした裕太に、滝沢はめんどくさそうに言い捨てた。
裕太は、これはコイツがおかしいのか、自分が世間知らずなのかと、内心で密かに首をひねりながらも、強く引く滝沢の腕に、諾々として従った。
突発的な事態に巻き込まれたとき、騒いだり暴れたりするよりも、ただ状況が理解できずに、ぼんやり流されてしまうのは、裕太の生まれ持った性質であり、過保護すぎる兄から、対処法を学ぶ機会を取り上げられた結果だった。
来客用の駐車場には、2ボックスのワゴンが一台だけ止まっていた。
おそらくマネージャーなのだろう、地味なビジネススーツの男が、ウィンドウから身を乗り出し、イライラと周囲を見渡している。
男は近づく滝沢に気が付くと、激しく手招きして、情けない声を上げた。
「蓮くーん、頼むよー! ただでさえギリギリなんだからさー」
「知るか、文句はコイツに言えよ」
滝沢はそう言うと、後部座席のドアを開けて裕太を押し込んだ。
「コイツがグズグズ言って遅れたんだよ」
「はぁ?!」
とっさに反論しようとした裕太に、男が慌てて目配せした。
拝むように両手を合わせて、「頼むから、これ以上蓮の機嫌を損ねないでくれ」と、裕太に目で訴えてくる。
ぐっと裕太が言葉を飲み込むと、男は感謝のつもりなのだろう、指先で小さな丸を作った。
「まあ、まあ、ね、落ち着こうよ、まだ大丈夫だから、急げばさ、問題ないから。さ、さ、蓮くんも、早く乗って」
裕太をなだめながら、同時に滝沢を促す。
何の紹介もなく、突然転がり込んできた裕太に対してすいか一つしないのは、こういった滝沢の振る舞いに慣れきっているためだろう。
こういった事態に、いちいち動揺していたら、滝沢のマネージャーは務まらないのだ。
そして、滝沢も男のそういった態度にまったく疑問はないようだった。
不満げに唇を噛んだ裕太の肩を、軽く小突く。
「おら、奥詰めろよ、オレが乗れねーだろーが」
「うー……、もう、なんなんだよ……」
ぶつぶつと文句を言いながら腰を浮かせた裕太は、そのとき初めて、奥に先客がいることに気が付いた。
真っ赤に染められた髪と、ピタピタのレザーパンツという個性的な男の姿は、忘れようがない。
「あ、KOKIさん!」
「うふ、こんにちは、裕太ちゃ~ん」
名前を呼ばれた光貴は、嬉しそうに舌なめずりした。
ナヨナヨした言葉使いとは正反対の力強い腕で、裕太の腰を引き寄せる。
「今日も、すっごくカワイイわね~」
「うぇぇ?!」
「KOKI、勝手に触んじゃねーよ」
「あら、蓮ちゃんったら、ホントに裕太ちゃんがお気に入りなのね~」
滝沢の鋭い視線を受けて、光貴はキャラキャラと笑った。
手の力は一向に緩まず、むしろより一層強まったような気がして、裕太はビクビクしながら光貴の腕を押し返した。
「あ、あの……KOKIさん、ちょっと痛いんです、けど……」
「あ~ら、ゴメンなさい~裕太ちゃん。アタシったらいつもこうなのよ、夢中になると手加減できなくなっちゃうの」
許してね、とウインクすると、光貴はそのごつい手のひらを腰から肩へと手を回した。
裕太の隣から動く気配は全くない。
「蓮くーん、頼むから、早く乗ってー」
運転席から聞こえる涙声の懇願に、滝沢はチッと舌打ちすると助手席へと回った。
バンッと乱暴に閉められた扉の音を合図に、アクセルを踏み込んだ男は、やはり情けない声で、みんなシートベルトしてねー、と言った。
おそらくマネージャーなのだろう、地味なビジネススーツの男が、ウィンドウから身を乗り出し、イライラと周囲を見渡している。
男は近づく滝沢に気が付くと、激しく手招きして、情けない声を上げた。
「蓮くーん、頼むよー! ただでさえギリギリなんだからさー」
「知るか、文句はコイツに言えよ」
滝沢はそう言うと、後部座席のドアを開けて裕太を押し込んだ。
「コイツがグズグズ言って遅れたんだよ」
「はぁ?!」
とっさに反論しようとした裕太に、男が慌てて目配せした。
拝むように両手を合わせて、「頼むから、これ以上蓮の機嫌を損ねないでくれ」と、裕太に目で訴えてくる。
ぐっと裕太が言葉を飲み込むと、男は感謝のつもりなのだろう、指先で小さな丸を作った。
「まあ、まあ、ね、落ち着こうよ、まだ大丈夫だから、急げばさ、問題ないから。さ、さ、蓮くんも、早く乗って」
裕太をなだめながら、同時に滝沢を促す。
何の紹介もなく、突然転がり込んできた裕太に対してすいか一つしないのは、こういった滝沢の振る舞いに慣れきっているためだろう。
こういった事態に、いちいち動揺していたら、滝沢のマネージャーは務まらないのだ。
そして、滝沢も男のそういった態度にまったく疑問はないようだった。
不満げに唇を噛んだ裕太の肩を、軽く小突く。
「おら、奥詰めろよ、オレが乗れねーだろーが」
「うー……、もう、なんなんだよ……」
ぶつぶつと文句を言いながら腰を浮かせた裕太は、そのとき初めて、奥に先客がいることに気が付いた。
真っ赤に染められた髪と、ピタピタのレザーパンツという個性的な男の姿は、忘れようがない。
「あ、KOKIさん!」
「うふ、こんにちは、裕太ちゃ~ん」
名前を呼ばれた光貴は、嬉しそうに舌なめずりした。
ナヨナヨした言葉使いとは正反対の力強い腕で、裕太の腰を引き寄せる。
「今日も、すっごくカワイイわね~」
「うぇぇ?!」
「KOKI、勝手に触んじゃねーよ」
「あら、蓮ちゃんったら、ホントに裕太ちゃんがお気に入りなのね~」
滝沢の鋭い視線を受けて、光貴はキャラキャラと笑った。
手の力は一向に緩まず、むしろより一層強まったような気がして、裕太はビクビクしながら光貴の腕を押し返した。
「あ、あの……KOKIさん、ちょっと痛いんです、けど……」
「あ~ら、ゴメンなさい~裕太ちゃん。アタシったらいつもこうなのよ、夢中になると手加減できなくなっちゃうの」
許してね、とウインクすると、光貴はそのごつい手のひらを腰から肩へと手を回した。
裕太の隣から動く気配は全くない。
「蓮くーん、頼むから、早く乗ってー」
運転席から聞こえる涙声の懇願に、滝沢はチッと舌打ちすると助手席へと回った。
バンッと乱暴に閉められた扉の音を合図に、アクセルを踏み込んだ男は、やはり情けない声で、みんなシートベルトしてねー、と言った。
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