BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2008/09/11 (Thu)
広いリビングの隅に置かれた小さなラブソファは、裕太と周平が二人暮らしを始める際に買い揃えた家具の一つだ。
黄色とオレンジの格子柄という、かなり子供っぽいデザインで、素材は本皮でもなんでもなく、ただのコットン。
高級マンションの一室にはずいぶんと不釣合だが、周平は「裕太が好きならそれでいいよ」と、自分の趣味とはかけ離れた、そのおもちゃのようなソファを、個室ではなく、リビングに置いた。
裕太は今日もそのお気に入りの上で、膝を立てて座っている。
腿の上には広げた英語のテキスト。
しかし手元にはテレビのリモコンがあり、さらに視線はバルコニーの向こう側に注がれている。
これで本人は英単語の暗記中のつもりだから、裕太の成績が芳しくないのも仕方がない。
諒がいたなら、ピシャリと厳しい小言の一つでも食らっているだろうが、いま室内には裕太一人きりだ。
そのとき、ぼんやりと夕焼け空を眺めているかに見えた裕太が、ふいに顔を上げた。
小鹿のような仕草で小首をかしげると、次の瞬間、ポンッと跳ねて立ち上がる。
勢いのまま、リビングからキッチンの脇を駆け抜け、廊下の角を曲がって玄関に立つ――と、ちょうどのタイミングで扉が開いた。
「兄ちゃん、おかえりなさい」
仕事から戻った周平を、裕太は笑顔で出迎えた。
黄色とオレンジの格子柄という、かなり子供っぽいデザインで、素材は本皮でもなんでもなく、ただのコットン。
高級マンションの一室にはずいぶんと不釣合だが、周平は「裕太が好きならそれでいいよ」と、自分の趣味とはかけ離れた、そのおもちゃのようなソファを、個室ではなく、リビングに置いた。
裕太は今日もそのお気に入りの上で、膝を立てて座っている。
腿の上には広げた英語のテキスト。
しかし手元にはテレビのリモコンがあり、さらに視線はバルコニーの向こう側に注がれている。
これで本人は英単語の暗記中のつもりだから、裕太の成績が芳しくないのも仕方がない。
諒がいたなら、ピシャリと厳しい小言の一つでも食らっているだろうが、いま室内には裕太一人きりだ。
そのとき、ぼんやりと夕焼け空を眺めているかに見えた裕太が、ふいに顔を上げた。
小鹿のような仕草で小首をかしげると、次の瞬間、ポンッと跳ねて立ち上がる。
勢いのまま、リビングからキッチンの脇を駆け抜け、廊下の角を曲がって玄関に立つ――と、ちょうどのタイミングで扉が開いた。
「兄ちゃん、おかえりなさい」
仕事から戻った周平を、裕太は笑顔で出迎えた。
「あ、手紙来てたよ」
リビングに戻ると、裕太はキッチンカウンターを指差した。
数枚の葉書と幾つかの封書が、端にまとめて置かれている。
「裕太」
「うん」
「うれしいけど。こういうこと、お前はしなくていいんだよ」
「え? こういうことって、オレなんかした?」
「郵便物を取って来たりしなくていいって、言ってるんだよ」
「えー? なにそれ」
裕太は笑って、周平を振り仰いだ。
周平はネクタイを緩めながら、指先ではがきの束を繰っている。
中には、通信会社から届いた携帯の利用明細があった。
「親展」と書かれた封筒には、話した時間から相手の電話番号まで、詳細に記された通話記録が同封されているが、裕太はそれを知らない。
「オレ、あけて見たりしてないよ?」
「そんなことは、分かってるよ」
別に見られて困るようなものじゃないしな、と周平は余裕の顔で笑った。
*
裕太が初めて持った携帯は、あの日の夏の太陽のように、鮮やかなオレンジ色だった。
一目で気に入った裕太は、以来、お守りのように肌身離さず持って歩いた。
あれから4年経ち、携帯は幾度か機種変更されたが、名義は相変わらず周平のままだ。
だから、毎月届く明細書の中身を、裕太は一度も見たことがない。
周平がその気になれば、Webへのアクセス履歴から、メールの送受信記録まで、全て調べ上げることが出来るのも、裕太は知らない。
しかし、例え知られても、それはそれで一向にかまわないと、周平は思っている。
聞かれないから答えないだけで、別に隠している訳ではない、というのが周平の言い分だ。
裕太に「どうして」と聞かれれば、「お前が心配だから」と、堂々と言ってのける自信が、周平にはあった。
*
「じゃあなんで? どうせついでなのに」
裕太は不満そうに頬を膨らませた。
「ここは、セキュリティーかしっかりしてるからそんなことはめったにないけど、それでもたまに変な広告とかが入ってたりするだろ、そういうのをお前に見せたくないんだよ」
「変な広告?」
「例えば、女の人の写真が載ってるような、さ」
「女の人の写真……」
ああ、と裕太は頷いた。
「分かった、あれでしょ、出張でマッサージしてくれるってやつ。アパートで一人暮らししてるとき、ポストにいっぱい入ってたよ。でも、あれってすごい高いんだよね、30分で一万円とかさ」
「裕太…………」
「なに、兄ちゃん、変な顔して」
裕太はきょとんとして首をかしげた。
周平はどう説明すべきか迷って、言葉を選んでいる。
「あ! そうだ、オレ、マッサージしてあげようか、兄ちゃん疲れてるでしょ?」
「裕太の“マッサージ”?」
腕まくりする裕太を見下ろして、周平は面白そうに笑った。
「うん、肩揉みぐらいしかしたことないけど、オレ頑張るよ」
「それは……まあ、ある意味、楽しみだけど」
周平は、張り切る裕太の肩に腕を回すと、ゆっくりと抱き寄せた。
「俺はされるよりも、するほうが好きなんだよ」
え、と言いかけた裕太の唇を、周平が静かにふさいだ。
リビングに戻ると、裕太はキッチンカウンターを指差した。
数枚の葉書と幾つかの封書が、端にまとめて置かれている。
「裕太」
「うん」
「うれしいけど。こういうこと、お前はしなくていいんだよ」
「え? こういうことって、オレなんかした?」
「郵便物を取って来たりしなくていいって、言ってるんだよ」
「えー? なにそれ」
裕太は笑って、周平を振り仰いだ。
周平はネクタイを緩めながら、指先ではがきの束を繰っている。
中には、通信会社から届いた携帯の利用明細があった。
「親展」と書かれた封筒には、話した時間から相手の電話番号まで、詳細に記された通話記録が同封されているが、裕太はそれを知らない。
「オレ、あけて見たりしてないよ?」
「そんなことは、分かってるよ」
別に見られて困るようなものじゃないしな、と周平は余裕の顔で笑った。
*
裕太が初めて持った携帯は、あの日の夏の太陽のように、鮮やかなオレンジ色だった。
一目で気に入った裕太は、以来、お守りのように肌身離さず持って歩いた。
あれから4年経ち、携帯は幾度か機種変更されたが、名義は相変わらず周平のままだ。
だから、毎月届く明細書の中身を、裕太は一度も見たことがない。
周平がその気になれば、Webへのアクセス履歴から、メールの送受信記録まで、全て調べ上げることが出来るのも、裕太は知らない。
しかし、例え知られても、それはそれで一向にかまわないと、周平は思っている。
聞かれないから答えないだけで、別に隠している訳ではない、というのが周平の言い分だ。
裕太に「どうして」と聞かれれば、「お前が心配だから」と、堂々と言ってのける自信が、周平にはあった。
*
「じゃあなんで? どうせついでなのに」
裕太は不満そうに頬を膨らませた。
「ここは、セキュリティーかしっかりしてるからそんなことはめったにないけど、それでもたまに変な広告とかが入ってたりするだろ、そういうのをお前に見せたくないんだよ」
「変な広告?」
「例えば、女の人の写真が載ってるような、さ」
「女の人の写真……」
ああ、と裕太は頷いた。
「分かった、あれでしょ、出張でマッサージしてくれるってやつ。アパートで一人暮らししてるとき、ポストにいっぱい入ってたよ。でも、あれってすごい高いんだよね、30分で一万円とかさ」
「裕太…………」
「なに、兄ちゃん、変な顔して」
裕太はきょとんとして首をかしげた。
周平はどう説明すべきか迷って、言葉を選んでいる。
「あ! そうだ、オレ、マッサージしてあげようか、兄ちゃん疲れてるでしょ?」
「裕太の“マッサージ”?」
腕まくりする裕太を見下ろして、周平は面白そうに笑った。
「うん、肩揉みぐらいしかしたことないけど、オレ頑張るよ」
「それは……まあ、ある意味、楽しみだけど」
周平は、張り切る裕太の肩に腕を回すと、ゆっくりと抱き寄せた。
「俺はされるよりも、するほうが好きなんだよ」
え、と言いかけた裕太の唇を、周平が静かにふさいだ。
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