BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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2007/11/09 (Fri)
「裕太!」
三ヶ月ぶりに教室に現れた裕太を見て、俺は鞄を放り投げてその側へ駆け寄った。
「諒、おはよう」
そんな俺を見てにっこりと笑う裕太の、以前と変わらない無邪気な様子に、俺は胸にこみ上げるものを抑えきれず、無言でその体に手を伸ばした。
俺はここが教室のど真ん中であることも忘れて、裕太を思い切り抱きしめようとしたのだ。
だけど、そんな俺の衝動は裕太の後ろから伸ばされた、乱暴な腕の一払いによって阻止された。
「諒。弟に気安く触るんじゃない」
裕太の頭越しに俺をものすごい目で睨んでくるそれが誰かなんて、今更確認する必要もない。
どうせ裕太のあの超過保護な兄貴のことだ、弟の失踪以来始めての登校が心配で一緒にくっついてきたんだろう。
三ヶ月ぶりに教室に現れた裕太を見て、俺は鞄を放り投げてその側へ駆け寄った。
「諒、おはよう」
そんな俺を見てにっこりと笑う裕太の、以前と変わらない無邪気な様子に、俺は胸にこみ上げるものを抑えきれず、無言でその体に手を伸ばした。
俺はここが教室のど真ん中であることも忘れて、裕太を思い切り抱きしめようとしたのだ。
だけど、そんな俺の衝動は裕太の後ろから伸ばされた、乱暴な腕の一払いによって阻止された。
「諒。弟に気安く触るんじゃない」
裕太の頭越しに俺をものすごい目で睨んでくるそれが誰かなんて、今更確認する必要もない。
どうせ裕太のあの超過保護な兄貴のことだ、弟の失踪以来始めての登校が心配で一緒にくっついてきたんだろう。
「兄ちゃん! なにすんの」
裕太は俺の手を叩き落したアイツの突然の振る舞いに、ひどく驚いた声を出した。
それはそうだろう、裕太にとってアイツは「面倒見のいい優しい兄貴」で、その本性がコレだなんて、まったく考え付きもしないんだろうから。
「諒ごめん。手、痛くなかった?」
裕太が気遣わしそうに上目使いで俺を見る。
俺は「何でアイツのしたことにお前が謝るんだ」と内心ではムカムカきてたけど、表面では「大丈夫だよ」と笑って見せた。
アイツとやりあう機会なら、どうせまたいくらでもあるんだろうから、今ここで騒いでせっかく登校してきた裕太を困らせたくない。
俺は背後霊のようにくっついているアイツを無視することに決めて、裕太に向かいなおした。
「――それより裕太、お前もう学校来て大丈夫なのか?」
「え? 大丈夫って……?」
裕太はまるで俺の言葉が理解できないとでも言うように、ポカンと口をあけて、首をかしげた。
「あ、だから……」
俺の家を出て櫻井の所へ行くと言ったっきり、三ヶ月もの間行方不明だった裕太が、赤坂通りに忽然と現れたのはつい先週のことだ。
警察だけじゃない、マスコミも「謎の失踪 懸賞金一千万円」と大々的に取り上げたあの事件は、結局とうの裕太が「何も覚えていない」ということで、うやむやになっている。
通行人に発見されたとき、裕太は外からの問いかけにいっさい反応せず、自分の名前も言えない状態だったという。
俺はそんな裕太に対して何を言うべきで、何を言うべきではないのか、正直戸惑った。
「諒、裕太の心配は兄である俺がする。他人のお前が気にする必要はない」
裕太のまっすぐな瞳に口ごもってしまった俺を、アイツの鋭い視線が貫く。
言外に「余計なことは何も言うな」と命令している。
そうして数瞬睨み合った俺達をどう思ったのか、裕太はその場を取り繕うように、明るい声を出した。
「ま、まあまあ二人とも、朝から喧嘩しないでよ。人類皆兄弟ってね、みんな仲良く――」
「「だれが兄弟だ!!」」
その聞き捨てならない台詞に、俺とアイツは声を揃えて裕太に詰め寄った。
兄弟だって? 誰と誰が、俺とアイツが? 冗談じゃない、アイツが裕太の兄貴だって言うのも我慢ならないのに、ましてや自分のだなんて、想像するだけで虫唾が走る!
もちろんそんなの、アイツだってご同様だろう。
「「裕太、お前なあ……」」
またタイミングを計ったように同時に口を開いた俺達を、裕太がおもしろそうに見た。
「二人ともなんだか、気が合ってるね」
「「ゆ~う~た~」」
あはははと明るい笑い声が教室に響いた。
屈託のないその笑顔に、俺もアイツも毒気を抜かれて、肩をすくめるしかない。
どうせ裕太のことだ、あの三ヶ月の間に何があったのか、本当に忘れてしまったのだろう。
そこで起こった事が辛かったなら辛かっただけ、怖かったなら怖かっただけ、きれいに忘れてしまう。
今までもそうだったように、今度もまたそうなのだろう。
俺にはそれが裕太にとって本当にいいことだとは思わない。
そういう辛さや怖さと向き合っていかないと、裕太は何も成長出来ないと思うから。
でも、今は、今だけは裕太がこうして笑顔で戻ってきてくれたことを、心の底から嬉しいと思う。
「おかえり、裕太。ずっと、待ってた」
俺は裕太の手をそっと握った。
裕太は俺の手を叩き落したアイツの突然の振る舞いに、ひどく驚いた声を出した。
それはそうだろう、裕太にとってアイツは「面倒見のいい優しい兄貴」で、その本性がコレだなんて、まったく考え付きもしないんだろうから。
「諒ごめん。手、痛くなかった?」
裕太が気遣わしそうに上目使いで俺を見る。
俺は「何でアイツのしたことにお前が謝るんだ」と内心ではムカムカきてたけど、表面では「大丈夫だよ」と笑って見せた。
アイツとやりあう機会なら、どうせまたいくらでもあるんだろうから、今ここで騒いでせっかく登校してきた裕太を困らせたくない。
俺は背後霊のようにくっついているアイツを無視することに決めて、裕太に向かいなおした。
「――それより裕太、お前もう学校来て大丈夫なのか?」
「え? 大丈夫って……?」
裕太はまるで俺の言葉が理解できないとでも言うように、ポカンと口をあけて、首をかしげた。
「あ、だから……」
俺の家を出て櫻井の所へ行くと言ったっきり、三ヶ月もの間行方不明だった裕太が、赤坂通りに忽然と現れたのはつい先週のことだ。
警察だけじゃない、マスコミも「謎の失踪 懸賞金一千万円」と大々的に取り上げたあの事件は、結局とうの裕太が「何も覚えていない」ということで、うやむやになっている。
通行人に発見されたとき、裕太は外からの問いかけにいっさい反応せず、自分の名前も言えない状態だったという。
俺はそんな裕太に対して何を言うべきで、何を言うべきではないのか、正直戸惑った。
「諒、裕太の心配は兄である俺がする。他人のお前が気にする必要はない」
裕太のまっすぐな瞳に口ごもってしまった俺を、アイツの鋭い視線が貫く。
言外に「余計なことは何も言うな」と命令している。
そうして数瞬睨み合った俺達をどう思ったのか、裕太はその場を取り繕うように、明るい声を出した。
「ま、まあまあ二人とも、朝から喧嘩しないでよ。人類皆兄弟ってね、みんな仲良く――」
「「だれが兄弟だ!!」」
その聞き捨てならない台詞に、俺とアイツは声を揃えて裕太に詰め寄った。
兄弟だって? 誰と誰が、俺とアイツが? 冗談じゃない、アイツが裕太の兄貴だって言うのも我慢ならないのに、ましてや自分のだなんて、想像するだけで虫唾が走る!
もちろんそんなの、アイツだってご同様だろう。
「「裕太、お前なあ……」」
またタイミングを計ったように同時に口を開いた俺達を、裕太がおもしろそうに見た。
「二人ともなんだか、気が合ってるね」
「「ゆ~う~た~」」
あはははと明るい笑い声が教室に響いた。
屈託のないその笑顔に、俺もアイツも毒気を抜かれて、肩をすくめるしかない。
どうせ裕太のことだ、あの三ヶ月の間に何があったのか、本当に忘れてしまったのだろう。
そこで起こった事が辛かったなら辛かっただけ、怖かったなら怖かっただけ、きれいに忘れてしまう。
今までもそうだったように、今度もまたそうなのだろう。
俺にはそれが裕太にとって本当にいいことだとは思わない。
そういう辛さや怖さと向き合っていかないと、裕太は何も成長出来ないと思うから。
でも、今は、今だけは裕太がこうして笑顔で戻ってきてくれたことを、心の底から嬉しいと思う。
「おかえり、裕太。ずっと、待ってた」
俺は裕太の手をそっと握った。
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