BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/05/22 (Thu)
午後五時を過ぎて、天国屋本社ビルは、急に人の出入りが激しくなった。
ロビーで立ち話する周平に、外回りから戻った営業と、定時に上がるOLとが、交互に声をかけて行く。
頷いたり、片手を上げたりと、愛想よく返事を返す周平に、京屋がそっと顔を近づけた。
「その外面に、男も女も騙される」
「――――用が無いなら、さっさと帰れ」
周平は笑顔のまま、口を開けずに言った。
「用? あるよー」
京屋はおもむろにジャケットの内側を探ると、名刺入れを取り出した。
黒皮に青海波の小紋が型押しされた、少し変わったデザインだった。
「去年オヤジ死んでさぁー、俺、一応社長って事になったんで、よろしく」
「お前が社長? それは大変だな――――会社が」
皮肉を言った周平に、京屋はへっと鼻で笑った。
「ご心配なく、実権はオフクロが握ってるよ。俺は名ばかり社長で、実質は使いっぱしりの営業」
突然頭上で始まった名刺交換に、裕太はあんぐりと口を開けた。
ロビーで立ち話する周平に、外回りから戻った営業と、定時に上がるOLとが、交互に声をかけて行く。
頷いたり、片手を上げたりと、愛想よく返事を返す周平に、京屋がそっと顔を近づけた。
「その外面に、男も女も騙される」
「――――用が無いなら、さっさと帰れ」
周平は笑顔のまま、口を開けずに言った。
「用? あるよー」
京屋はおもむろにジャケットの内側を探ると、名刺入れを取り出した。
黒皮に青海波の小紋が型押しされた、少し変わったデザインだった。
「去年オヤジ死んでさぁー、俺、一応社長って事になったんで、よろしく」
「お前が社長? それは大変だな――――会社が」
皮肉を言った周平に、京屋はへっと鼻で笑った。
「ご心配なく、実権はオフクロが握ってるよ。俺は名ばかり社長で、実質は使いっぱしりの営業」
突然頭上で始まった名刺交換に、裕太はあんぐりと口を開けた。
「そうだ、裕太君も、良かったら見に来て、神楽坂で細々と暖簾上げてるから」
ほい、と目の前に差し出された名刺を、裕太は反射的に受け取った。
「京屋、呉服店……?」
「そ、最近はオリジナルの小物も作ってるからさ、彼女のプレゼントにどう?」
「裕太、行くんじゃないぞ」
「おいでよ、尺測って、おそろいの浴衣作ってあげるから」
「危ないから、絶対に行くな」
「何だよ、危ないって。俺の店はハイエナがうろつくサバンナかよ」
「似たようなものだな」
裕太は周平と京屋に挟まれて、仲がいいのか悪いのか分からないやり取りを、キョロキョロと視線で追った。
こんな風に二人の間から、やり合う姿を見上げたことが、過去に何度もあったような気がした。
「あの……」
「なに、裕太くん」
「どうした、裕太」
「あの……ひょっとして……、惣ちゃん?」
ぽつり、と零れた裕太の一言に、京屋は満面の笑みを浮かべた。
「そうだよっ! 裕太君、惣ちゃんだよぉー!」
やっと思い出したか、とぐりぐり頭を撫でる京屋の手にあわせて、裕太もうんうんと頷いた。
「あの、あの、あれだよね、ほら、オレのアイス食べて、兄ちゃんに怒られた」
「そうそう、そんなこともあったよな、懐かしー」
「それからあれ、オレに女の子の着物きせたときは、兄ちゃんに追いかけられて、庭の池に落ちちゃったんだよね」
「そう、そう、底の石で頭打ってな、あの時はホント冗談抜きで死ぬかと――――って、おい、おい、裕太君、そういうのは忘れていいから。いや、むしろ忘れてくれよ、あれは若気の至りって事でさ、ね?」
「え? でも惣ちゃん、さっきだって、オレにス――」
スカート、と言いかけた裕太の口を、京屋の手のひらがぱたっと塞いだ。
「いや、いや、いや、いや! 何でもない、何でもないよなー、裕太くん?」
「京屋……」
「ど、どうしたのかなー周平クンったら、そんな怖い顔しちゃってぇ。ほら、お前のちっちゃな弟が怯えちゃってるぞー?」
「怯えてるのは、お前のせいだ」
周平は裕太の顔の半分以上を覆っている京屋の手を、邪険に払い除けた。
ほい、と目の前に差し出された名刺を、裕太は反射的に受け取った。
「京屋、呉服店……?」
「そ、最近はオリジナルの小物も作ってるからさ、彼女のプレゼントにどう?」
「裕太、行くんじゃないぞ」
「おいでよ、尺測って、おそろいの浴衣作ってあげるから」
「危ないから、絶対に行くな」
「何だよ、危ないって。俺の店はハイエナがうろつくサバンナかよ」
「似たようなものだな」
裕太は周平と京屋に挟まれて、仲がいいのか悪いのか分からないやり取りを、キョロキョロと視線で追った。
こんな風に二人の間から、やり合う姿を見上げたことが、過去に何度もあったような気がした。
「あの……」
「なに、裕太くん」
「どうした、裕太」
「あの……ひょっとして……、惣ちゃん?」
ぽつり、と零れた裕太の一言に、京屋は満面の笑みを浮かべた。
「そうだよっ! 裕太君、惣ちゃんだよぉー!」
やっと思い出したか、とぐりぐり頭を撫でる京屋の手にあわせて、裕太もうんうんと頷いた。
「あの、あの、あれだよね、ほら、オレのアイス食べて、兄ちゃんに怒られた」
「そうそう、そんなこともあったよな、懐かしー」
「それからあれ、オレに女の子の着物きせたときは、兄ちゃんに追いかけられて、庭の池に落ちちゃったんだよね」
「そう、そう、底の石で頭打ってな、あの時はホント冗談抜きで死ぬかと――――って、おい、おい、裕太君、そういうのは忘れていいから。いや、むしろ忘れてくれよ、あれは若気の至りって事でさ、ね?」
「え? でも惣ちゃん、さっきだって、オレにス――」
スカート、と言いかけた裕太の口を、京屋の手のひらがぱたっと塞いだ。
「いや、いや、いや、いや! 何でもない、何でもないよなー、裕太くん?」
「京屋……」
「ど、どうしたのかなー周平クンったら、そんな怖い顔しちゃってぇ。ほら、お前のちっちゃな弟が怯えちゃってるぞー?」
「怯えてるのは、お前のせいだ」
周平は裕太の顔の半分以上を覆っている京屋の手を、邪険に払い除けた。
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