BL版権物の二次創作ブログです。現在『メイド*はじめました』で活動中です。
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名前:うさこ
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好き:甘々、主人公総受け
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2008/03/21 (Fri)
兄ちゃんの手が、初めてオレの体に触ったとき――それはオレが覚えている限りでと言う意味だけど――本当は少しだけ怖かった。
してって、ねだったのはオレだったけど、実際のところ今から何が始まるのかなんて、良く分っていなかった。
だってオレはそのとき、キスも、セックスも……それどころか女の子と手を繋いで歩いたこともないぐらい、本当になんにも知らない子供だったんだから。
人間がどうやって繋がるのかなんて、ましてや、男と男がどうやって繋がるのかなんて、知ってるはずがなかった。
*
兄ちゃんに、唇を開いてといわれて、初めてキスがマンガみたいに口を重ねるだけの行為じゃないんだって知った。
寄せては返す波のように、強弱を付けてオレを嵐の海に引き出した兄ちゃんは、もうすっかり覚悟を決めてしまったらしい、強い目をしていた。
未知の、そして禁断の領域に踏み込もうとしているのだという不安に、オレが思わず声を上げると、兄ちゃんは何もかも分っているという顔で、全部任せれば良いと、頷いた。
してって、ねだったのはオレだったけど、実際のところ今から何が始まるのかなんて、良く分っていなかった。
だってオレはそのとき、キスも、セックスも……それどころか女の子と手を繋いで歩いたこともないぐらい、本当になんにも知らない子供だったんだから。
人間がどうやって繋がるのかなんて、ましてや、男と男がどうやって繋がるのかなんて、知ってるはずがなかった。
*
兄ちゃんに、唇を開いてといわれて、初めてキスがマンガみたいに口を重ねるだけの行為じゃないんだって知った。
寄せては返す波のように、強弱を付けてオレを嵐の海に引き出した兄ちゃんは、もうすっかり覚悟を決めてしまったらしい、強い目をしていた。
未知の、そして禁断の領域に踏み込もうとしているのだという不安に、オレが思わず声を上げると、兄ちゃんは何もかも分っているという顔で、全部任せれば良いと、頷いた。
「本当に、学校行くつもりか?」
制服に着替え、いつも通りにアパートを出ようとするオレに、兄ちゃんは眉をしかめた。
あの怒濤の夜の後、気を失うように眠ってしまったオレを心配しているんだ。
兄ちゃんは、オレがちょっとしたことでもすぐに熱を出す虚弱体質なのを、誰よりも良く知っているから。
「うん、行くよ」
オレは兄ちゃんの心配性を吹き飛ばそうと、目一杯に元気よく答えた。
「だって、ホントに全然何ともないんだもん、休む理由がないよ」
「だけど裕太、昨日は初めてのことで、色々と……びっくりしただろ? だから、今日一日ぐらいはゆっくり、体と心を休ませてやらないと……」
「兄ちゃんってば、オレは女の子じゃないんだから、変な心配しなくて良いよ」
オレは笑ったけど、それでもまだ兄ちゃんの顔には、行って欲しくない、と書いてあった。
「もー、ほら、触ってみて、オレ熱ある?」
オレは兄ちゃんの手を取って、自分の額にあてた。
兄ちゃんはしばらく真剣な顔で頬や額をぺたぺた触ってたけど、やがて諦めたように小さく息を吐いて、オレを抱きしめた。
「――途中で具合が悪くなったら、必ず電話しろ。絶対に無理するなよ?」
「わかったからっ。もう行かなきゃ、遅刻だよ」
懇願するように言った兄ちゃんの分厚い胸を、オレは慌てて押し返した。
オレは兄ちゃんの、「ぎゅっ」に弱い。
だから、このまま抱かれてたら、日向ぼっこしてる猫みたいに、ゴロゴロ甘えたい気持ちになって、そのうち、一日ぐらい休んでもいいかな……なんて、きっと流されてしまうだろうと思って、焦ったんだ。
「いってきます!」
オレはこげ茶色のローファーに足を突っ込むと、建付けの緩んだ木製ドアを開けた。
外は、どこまでも遠く、突き抜けるような青空だった。
ペンキの剥げた鉄骨階段は、目がくらむほど眩しい朝日を受けて、白く輝いていた。
空気は凛と澄んで透明だった。
これはなんだろう。
道行く人全てに、おはよう、と声をかけたくなるような、そんな気持ち。
オレは昨日までとは、少しだけ違って見える世界に、にっこりと笑いかけた。
制服に着替え、いつも通りにアパートを出ようとするオレに、兄ちゃんは眉をしかめた。
あの怒濤の夜の後、気を失うように眠ってしまったオレを心配しているんだ。
兄ちゃんは、オレがちょっとしたことでもすぐに熱を出す虚弱体質なのを、誰よりも良く知っているから。
「うん、行くよ」
オレは兄ちゃんの心配性を吹き飛ばそうと、目一杯に元気よく答えた。
「だって、ホントに全然何ともないんだもん、休む理由がないよ」
「だけど裕太、昨日は初めてのことで、色々と……びっくりしただろ? だから、今日一日ぐらいはゆっくり、体と心を休ませてやらないと……」
「兄ちゃんってば、オレは女の子じゃないんだから、変な心配しなくて良いよ」
オレは笑ったけど、それでもまだ兄ちゃんの顔には、行って欲しくない、と書いてあった。
「もー、ほら、触ってみて、オレ熱ある?」
オレは兄ちゃんの手を取って、自分の額にあてた。
兄ちゃんはしばらく真剣な顔で頬や額をぺたぺた触ってたけど、やがて諦めたように小さく息を吐いて、オレを抱きしめた。
「――途中で具合が悪くなったら、必ず電話しろ。絶対に無理するなよ?」
「わかったからっ。もう行かなきゃ、遅刻だよ」
懇願するように言った兄ちゃんの分厚い胸を、オレは慌てて押し返した。
オレは兄ちゃんの、「ぎゅっ」に弱い。
だから、このまま抱かれてたら、日向ぼっこしてる猫みたいに、ゴロゴロ甘えたい気持ちになって、そのうち、一日ぐらい休んでもいいかな……なんて、きっと流されてしまうだろうと思って、焦ったんだ。
「いってきます!」
オレはこげ茶色のローファーに足を突っ込むと、建付けの緩んだ木製ドアを開けた。
外は、どこまでも遠く、突き抜けるような青空だった。
ペンキの剥げた鉄骨階段は、目がくらむほど眩しい朝日を受けて、白く輝いていた。
空気は凛と澄んで透明だった。
これはなんだろう。
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オレは昨日までとは、少しだけ違って見える世界に、にっこりと笑いかけた。
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